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肉フェス当日。
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「………ルカ、ハルカっちょっとっ」
ゆっさゆっさ揺すられてもっと深い眠りに入りそうだった私を、プルちゃんがボディーアタックかけてきたので強制起床させられた。
「………ぐぶほっっ」
とてもレディーの寝起きとは思えぬ豪快な自分の声で、大分目が覚めた。
「………もうお昼?」
目をこしこしこすりながら起き上がると、プルちゃんに尋ねると、まだ10時過ぎといい、
「パウンドケーキとクッキー、幾らで売るか聞いてないぞ」
「………あー、えーと、クッキーも肉も10ドラン、焼肉丼は20ドラン、パウンドケーキは五センチ幅位にカットして、1つ5ドランでいいでしょ。子供のオヤツ的料金で」
「分かった!」
………すぴーーーー。
「ハルカ、済まないが焼肉丼用のタレが無くなりそうなんだが、新しいのはどこにある?」
「………クッキー作ってた下処理用の厨房の冷蔵庫の下の方………」
「分かった。悪かったな、また寝てくれ」
………すぴー。
「………お嬢、焼き場の炭が少なくなってきたんだけど」
「………クロちゃんが木材から焼けば、よかろ?」
「あーそっか。お嬢頭いいなっ」
………すぴ
「申し訳ありませんハルカ様、パウンドケーキの大きさが不公平だと子供と大人が口争いに発展しまして、」
「カットした後の端っこのところを小さかった人におまけしてあげれば………」
「なるほど!!ありがとうございました!」
………す
「お嬢っ、炭が出来たけど俺だと木材のカットが出来ないか」
「眠れんわボケーーーーっっ!!もうほんとに………で、木材はどこ?!」
ソファから毛布を払いのけて仁王立ちした私は、クロちゃんの後についていった。
裏庭に太めの木材が何本か綺麗に炭になっていた。
「エアカッター!」
すぱーんすぱーんとカットしては炭山を作り、炭山を作り。
「はい、終わった」
「ありがとうお嬢!!」
あかん、時計を見るとそろそろ昼である。みんな寝入り端に起こしてくるのでちいとも眠った気がしないが、多分2時間位は眠れただろう。
仕方ない、働きますか。
身支度をして、会場であるゼノンの町の噴水広場までは5分ほどである。
えらい人でございますよ。
噴水のそばでは、音楽隊がタカタカと小太鼓を鳴らしたりラッパを吹いている。
さらにその近くには大道芸人のような人たちがバック転したり松明を近づけて口から火を吹いたりしている。
昨日の今日でよく来られたものである。きっと住人なのだろう。
『ダーククロルの串焼き、たったの10ドランだよー!ミソ焼きとショーユ焼きどっちもバカうまだよぅ~柔らかいよ~』
『腹が減っては戦ができぬ。ダーククロルの焼肉丼は如何っすかぁ~20ドランですよ~』
『トン汁~冷える季節にはトン汁はどーだー10ドランで財布にも優しく体も温まるよ~』
『ホワイトシチューは今まで食べたことない美味しさだよ~♪昼すぎには自宅でも作れるレシピをマーミヤ商会のオーナーが教えてくれちゃうよ~まずは味わってみなよ~』
『お嬢ちゃんお坊っちゃん、お父さんお母さんっ今までのスイーツなんて足元にも及ばない、本当のスイーツだよ!
マーミヤ商会お薦めのクッキー各種とパウンドケーキはどうだい?』
料理人の兄さん、元兄さん達が威勢よく売っている屋台には長蛇の列である。
人件費はボランティアみたいなものだからいいけど、調味料や肉以外の材料費考えると相当売らないと赤字だけど、まあ祭だからいいですよね。
それに営業も兼ねてるし。
町の人達もそれぞれ小物屋だったり飲み物屋だったりと屋台を出しており、なかなかに盛況なようで何より何より。
「ハルカ、起きたのか?」
クッキー売場に行くとクラインがこちらを認めて笑顔になった。
「まあ、起きたというか眠れなかったというか。ところで、結構売れてるねえパウンドケーキもクッキーも。
なんか夢うつつで揉めてたとかなんとか………」
「あー、そうそう。子供が買ったやつの方がでかいとか大人げないこと言うおっさんがいてな。でも切れ端詰めたヤツつけたらご機嫌になったから大したことじゃない」
「そっか。それなら良かった。………ところでプルちゃんは?」
「あそこ」
人だかりが出来ている辺りを指差すのでふらりと近寄ると、なんでか桃●郎侍のプルちゃんがふわりふわりと般若の面をつけて剣舞を披露していた。
ポンポンポンポン。
「ひとつ 人よりお肉が好きで~♪てれれん」
などとやりながら、頭に羽織った半透明の布を効果的に使っていて、周囲の人を喜ばせている。
ダンジョンでは舞い足りなかったのね。
「これがサムラーイというニホンという国の伝統的な格好ですよージャパニーズスピリッツ、カターナ。なんでもすぱーんすぱーん、OK?」
おおおおお、と歓声が上がる。
のーのー伝統的な格好ではないでーす。
それに日本人でもありませーん。OK?
まあ子供達がなんかキラキラと目を輝かせながら観ているので敢えてツッコミはするまい。
「ああいたいたハルカ様、そろそろ料理教室の時間が………」
シュルツさんが小走りでやってきた。
「すみません今行きます!」
さて、私もみんなに負けないよう働こうかな。
ゆっさゆっさ揺すられてもっと深い眠りに入りそうだった私を、プルちゃんがボディーアタックかけてきたので強制起床させられた。
「………ぐぶほっっ」
とてもレディーの寝起きとは思えぬ豪快な自分の声で、大分目が覚めた。
「………もうお昼?」
目をこしこしこすりながら起き上がると、プルちゃんに尋ねると、まだ10時過ぎといい、
「パウンドケーキとクッキー、幾らで売るか聞いてないぞ」
「………あー、えーと、クッキーも肉も10ドラン、焼肉丼は20ドラン、パウンドケーキは五センチ幅位にカットして、1つ5ドランでいいでしょ。子供のオヤツ的料金で」
「分かった!」
………すぴーーーー。
「ハルカ、済まないが焼肉丼用のタレが無くなりそうなんだが、新しいのはどこにある?」
「………クッキー作ってた下処理用の厨房の冷蔵庫の下の方………」
「分かった。悪かったな、また寝てくれ」
………すぴー。
「………お嬢、焼き場の炭が少なくなってきたんだけど」
「………クロちゃんが木材から焼けば、よかろ?」
「あーそっか。お嬢頭いいなっ」
………すぴ
「申し訳ありませんハルカ様、パウンドケーキの大きさが不公平だと子供と大人が口争いに発展しまして、」
「カットした後の端っこのところを小さかった人におまけしてあげれば………」
「なるほど!!ありがとうございました!」
………す
「お嬢っ、炭が出来たけど俺だと木材のカットが出来ないか」
「眠れんわボケーーーーっっ!!もうほんとに………で、木材はどこ?!」
ソファから毛布を払いのけて仁王立ちした私は、クロちゃんの後についていった。
裏庭に太めの木材が何本か綺麗に炭になっていた。
「エアカッター!」
すぱーんすぱーんとカットしては炭山を作り、炭山を作り。
「はい、終わった」
「ありがとうお嬢!!」
あかん、時計を見るとそろそろ昼である。みんな寝入り端に起こしてくるのでちいとも眠った気がしないが、多分2時間位は眠れただろう。
仕方ない、働きますか。
身支度をして、会場であるゼノンの町の噴水広場までは5分ほどである。
えらい人でございますよ。
噴水のそばでは、音楽隊がタカタカと小太鼓を鳴らしたりラッパを吹いている。
さらにその近くには大道芸人のような人たちがバック転したり松明を近づけて口から火を吹いたりしている。
昨日の今日でよく来られたものである。きっと住人なのだろう。
『ダーククロルの串焼き、たったの10ドランだよー!ミソ焼きとショーユ焼きどっちもバカうまだよぅ~柔らかいよ~』
『腹が減っては戦ができぬ。ダーククロルの焼肉丼は如何っすかぁ~20ドランですよ~』
『トン汁~冷える季節にはトン汁はどーだー10ドランで財布にも優しく体も温まるよ~』
『ホワイトシチューは今まで食べたことない美味しさだよ~♪昼すぎには自宅でも作れるレシピをマーミヤ商会のオーナーが教えてくれちゃうよ~まずは味わってみなよ~』
『お嬢ちゃんお坊っちゃん、お父さんお母さんっ今までのスイーツなんて足元にも及ばない、本当のスイーツだよ!
マーミヤ商会お薦めのクッキー各種とパウンドケーキはどうだい?』
料理人の兄さん、元兄さん達が威勢よく売っている屋台には長蛇の列である。
人件費はボランティアみたいなものだからいいけど、調味料や肉以外の材料費考えると相当売らないと赤字だけど、まあ祭だからいいですよね。
それに営業も兼ねてるし。
町の人達もそれぞれ小物屋だったり飲み物屋だったりと屋台を出しており、なかなかに盛況なようで何より何より。
「ハルカ、起きたのか?」
クッキー売場に行くとクラインがこちらを認めて笑顔になった。
「まあ、起きたというか眠れなかったというか。ところで、結構売れてるねえパウンドケーキもクッキーも。
なんか夢うつつで揉めてたとかなんとか………」
「あー、そうそう。子供が買ったやつの方がでかいとか大人げないこと言うおっさんがいてな。でも切れ端詰めたヤツつけたらご機嫌になったから大したことじゃない」
「そっか。それなら良かった。………ところでプルちゃんは?」
「あそこ」
人だかりが出来ている辺りを指差すのでふらりと近寄ると、なんでか桃●郎侍のプルちゃんがふわりふわりと般若の面をつけて剣舞を披露していた。
ポンポンポンポン。
「ひとつ 人よりお肉が好きで~♪てれれん」
などとやりながら、頭に羽織った半透明の布を効果的に使っていて、周囲の人を喜ばせている。
ダンジョンでは舞い足りなかったのね。
「これがサムラーイというニホンという国の伝統的な格好ですよージャパニーズスピリッツ、カターナ。なんでもすぱーんすぱーん、OK?」
おおおおお、と歓声が上がる。
のーのー伝統的な格好ではないでーす。
それに日本人でもありませーん。OK?
まあ子供達がなんかキラキラと目を輝かせながら観ているので敢えてツッコミはするまい。
「ああいたいたハルカ様、そろそろ料理教室の時間が………」
シュルツさんが小走りでやってきた。
「すみません今行きます!」
さて、私もみんなに負けないよう働こうかな。
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