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オープン。

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「いらっしゃいませぇー♪」

 朝7時半から前倒しでオープンしたレストランマーミヤとパティスリーハルカは、それこそ「あ」っと言う間に座席が埋まった。
 両店併せて百人近い収容力だった筈だが、外の列は余り人数が減った気がしない。
 何故だ。解せぬ。

 ハルカがプルに問いかけると、

「町の外まで延々と続いてたから、そっちは減ったんじゃない?」

 と、しょうが焼き定食と親子丼を載せたトレイを運びながら、プルはそばのテーブルの注文を取るという荒業を使いながら去っていった。

「ハルカちゃん、こっちはウナーギ丼とチキン南蛮定食、かみさんにはカツ丼と、隣のスイーツ頼めるかい?俺と違ってそんなに食べられないからさ」

「大丈夫ですよー、今スイーツのメニュー持って来ますね」

 市場の八百屋のおじさん夫婦が声をかけてきたので笑顔で応えると、

「え?スイーツも頼めるの?こっちのテーブルにもメニューもらえる?」

 女の子のグループはやはりスイーツに惹かれるようだ。

 隣り合わせの店なので、どちらのメニューも対応出来るようにしている。
 逆にパティスリーの方で定食を食べたいとかも出来る。

 定食といっても、ご飯と味噌汁と漬物がつくだけなのだが、丼でなくおかずとご飯が分かれてる方が、一緒に来た人と交換が出来るので別の味も楽しめて良いと好評である。


 バイトさん達も、全メニューを覚えてる子も何人かいて、どんな料理なのかも丁寧にお客さんに説明している。
 初日からみんな出来る。素晴らしい。

 ハルカは注文を厨房に通しながら厨房の様子も覗く。5人のバイト君達が忙しそうに動き回っている。

「唐揚げ定食三人前、焼き肉丼二人前、ウナーギ丼二人前、カツ丼と親子丼入りまーす」

「唐揚げもオークカツも、あまり高温で揚げると中まで火が通らないうちに周りがカリカリになっちまうから気をつけろよー」

「了解!!」

「ほら、フロアー、三番テーブルのしょうが焼き定食とトロロご飯定食出来てんぞー!」

「はーいすみません!すぐ運びます」


(………みんな働き者だわぁ。チューナーさん本当にいい子達ばっか紹介してくれて有り難いわね……なんか落ち着いたらお礼しないと)

 ハルカはスイーツメニューも取りがてら隣のパティスリーも様子を見に行った。


「ショートケーキとシュークリームね」

「私はフランボワーズってのとミルフィーユお願い」

「アーモンドクッキーとパウンドケーキ、ねぇパウンドケーキって数日は持つわよね?」

「大丈夫ですが、なるべく冷暗所に保管して早めに食べて下さいね」

「ケーキは本日中に食べて下さいねー」

「はい、こちら合計で58ドランです。お客さまは72ドランになります」

 メイド服に身を包んだ可愛いバイトの子たちと、執事仕様の制服を着たテンに、レジをやっている落ち着いたハルカよりは上だろうと思うバイト君(まだ名前が覚えきれないのだ)も、流れるようにお客さんを捌いているが、飲み物出すのが少し遅い。
 ちなみに飲み物は品数に入らない。

 パティスリーのキッチンに行くと、まだコーヒーと紅茶の入れ方にもたついているようだ。

「ケーキセットなんだから、飲み物も同時に出さないとダメよ」

「すみません店長!」

「初日だから慌てちゃうだろうけど、お客さんに失礼がないように対応してたら何てことないから。私も手伝うから、まだ注文を取ってないお客さんいないか確認してね」

「はい!」

 一人が客席に向かい、もう一人と一緒に注文を捌く。

 ハルカは伝票を見ながら、コーヒーのドリップをする。

 オレンジジュースは冷蔵庫にいれてたのが無くなりそうなので補充した。

 コーヒーのいい香りに目を細めたら、そのまま睡魔に襲われそうになったのでほっべたをパンパン叩く。

 フォースの力を信じるのじゃー、と呟きながらハルカは睡魔を追い払う。
 

「店長、少し寝た方がいいですよ。目の下のくまがすごいですし、2、3時間位なら何とかなりますから」

「でも………」

「店長が元気でいてくれないと、お店の士気に関わりますから。お客さんの注文を間違えたりしたら大変ですよ」

「私も少し自信ないわ今の状態だと………」

「じゃ、2階の休憩所で仮眠取って下さいね。クラインさん達には伝えておきますから」

「分かった。………ごめんねみんな大変な時に」

「その前は店長がめちゃくちゃ忙しかったんですからお気になさらず。ちゃんと用があったら起こしに行きますから」

「お願い………」

 階段を上り、倉庫の横の休憩所に入る。
 ここは皆がひと休みしたり、賄いを食べるところでもある。

 具合が悪くなった時のためにソファーベッドを入れておいたのだが、最初に私が眠るために使うのは、なんか申し訳ない気がして…眠れな……………すぴーーー。

 横になって1分も立たずにハルカは爆睡した。




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