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【閑話】クライン里帰り。
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「やあクライン、お帰り!」
王宮に戻ると、満面の笑みで出迎えにやって来たのは第2王子のミハイルだった。
「おいおい、仏頂面してるな。楽しい旅だったんだろう?」
「ええまあ。少し疲れてるだけですよ」
「いい茶葉があるんだ。土産話聞かせておくれよ」
「そんな大した話もないですけどね」
と言いながらも荷物を置いてミハイルの部屋へ向かう。
「ふう……ミハイル兄さんは紅茶を入れるのが美味いですね。これでお茶菓子でもあれば……あ、忘れてた。ちょっと失礼します兄さん。すぐ戻ります」
慌てて自分の部屋に戻ると、ハルカがご家族に、と持たせてくれたプリンとチーズハンバーグ弁当を取り出して、ついでに両親と第1王子で王太子のアルベルト兄夫婦と甥っ子のエンリケの分も小分けにする。
先日旅に出る前に、ミハイル兄さんの勧めで、『社会勉強も兼ねて友人のハルカのところで仕事の手伝いをしてる』と言うのを家族には明かしてあった。
流石にあまりにも不在が多いので、明確に居場所を把握出来ないのは困ると国王陛下と王妃(つまりは父と母)に詰め寄られたためだ。
何故か大喜びされた。
「うん、社会勉強は大事だな」
「あのシェフと友達ならもっと早くいってくれれば良いのに。お弁当もスイーツも頼み放題じゃないの!」
と王妃には息子の安否確認とは別の意味で小言をくらった。
謝るついでに頼み放題と思われると困るし、友人に負担がかかるのでたまにならいいですよと釘を刺しておいた。
「おお!また新メニューだね!」
戻ってきた俺の手提げの袋から漏れでる匂いにミハイルは相好を崩す。
「プリンとチーズハンバーグ弁当です。良かったら」
「ハンバーグは夜のお楽しみだね。ティータイムだからスイーツかな」
ミハイルはいそいそとプリンを取り出すと、早速口に運ぶ。
「あっはっはっ!またバカみたいに美味いなこれも。このぷるぷるした食感の舌触りのいい奴と茶色いソースの苦味が絶妙だなあ」
見た目は上品に、しかし恐ろしい勢いでプリンが無くなって行く。
二つ目を取り、食べていいかな?と聞きながら「どうぞ」の声も聞かないうちに手をつける。
まぁ自分はハルカのところで食べられるしいいのだが。
一番食に興味がなかった兄ですらこれだ。元々グルメだったアルベルト兄さん夫婦や両親など、お忍び名目でハルカの食堂に足しげく通っていたようだし、土産は喜ばれるだろう。
まあグルメといって今までのサウザーリンでは調味料も乏しいし食材にこだわる位しか出来なかったが、ショーユやミソ、そしてこれから出るであろう様々な調味料がこの国の食に多大なる影響を与えるのだと考えると、己の恋愛感情は抜きにして、ハルカがこの国に転生してくれて本当に良かったと俺は思っていた。
うちの家族は先日みーんな食いしん坊だというのが発覚した。
単に国に美味いモノが少なかったせいで表面化してなかっただけだ。
可愛い甥っ子のエンリケですら3歳にしてハルカの作る料理の美味さに気づいてしまった。
こちらでももうショーユとミソは欠かせない味つけのマストアイテムになりつつあるとの話もミハイル兄さんが教えてくれた。
ただやっぱりまだ使いなれてないのか、ハルカのような味には至らないみたいだが、格段に良くはなったようだ。
バルバロスやクラーケン討伐の話や、幻獣が仲間入りした話などに花を咲かせていると、ダダダダッ、と足音がして扉がばーんっと開かれた。
「クラインおじうえっ!お帰りなさいっ!」
現れたのはエンリケだった。
そのあとをぱたぱた追ってきたのかアルベルト兄さんと、ちょっと遅れて義姉フランと父ザック、母アゼリアまでやって来た。
「戻って親に挨拶に来ないのは感心せんぞクライン」
「そうよクライン。それになんだか美味しそうなものを二人だけで食べてるし」
「いやミハイル兄さんだけです」
「お友達のハルカのところのかしら?私たちにはないの?」
アゼリアがしょんぽりしたように尋ねる。
「勿論ありますよ。後でお届けしようと思ってまーー」
「今欲しいわ。ねえダーリン?」
「そうだな。家族が揃った事だしな」
「久々のクライン様との邂逅もエンリケは楽しみにしてたんですのよ」
フランも笑顔で言い添える。
「僕達だって会いたかったさ。ミハイル、私も紅茶をくれると有り難いんだが」
アルベルトもいつの間にかテーブル席に腰かけていた。
あんたら仕事はどうした。
会いたかったんじゃなくて食いたかったの間違いじゃないのか。
会いたかった本人いるのになんでソワソワしてるんだおい。
心ではそんな感情が渦巻いていたが、自分も食いしん坊の自覚はある。気持ちは分かる。
「少しお待ち下さい。只今こちらにお持ちしますので」
家族の紅茶を入れるのに忙しいミハイルを眺め、俺もそそくさと部屋にプリンとチーズハンバーグ弁当を取りに戻るのであった。
王宮に戻ると、満面の笑みで出迎えにやって来たのは第2王子のミハイルだった。
「おいおい、仏頂面してるな。楽しい旅だったんだろう?」
「ええまあ。少し疲れてるだけですよ」
「いい茶葉があるんだ。土産話聞かせておくれよ」
「そんな大した話もないですけどね」
と言いながらも荷物を置いてミハイルの部屋へ向かう。
「ふう……ミハイル兄さんは紅茶を入れるのが美味いですね。これでお茶菓子でもあれば……あ、忘れてた。ちょっと失礼します兄さん。すぐ戻ります」
慌てて自分の部屋に戻ると、ハルカがご家族に、と持たせてくれたプリンとチーズハンバーグ弁当を取り出して、ついでに両親と第1王子で王太子のアルベルト兄夫婦と甥っ子のエンリケの分も小分けにする。
先日旅に出る前に、ミハイル兄さんの勧めで、『社会勉強も兼ねて友人のハルカのところで仕事の手伝いをしてる』と言うのを家族には明かしてあった。
流石にあまりにも不在が多いので、明確に居場所を把握出来ないのは困ると国王陛下と王妃(つまりは父と母)に詰め寄られたためだ。
何故か大喜びされた。
「うん、社会勉強は大事だな」
「あのシェフと友達ならもっと早くいってくれれば良いのに。お弁当もスイーツも頼み放題じゃないの!」
と王妃には息子の安否確認とは別の意味で小言をくらった。
謝るついでに頼み放題と思われると困るし、友人に負担がかかるのでたまにならいいですよと釘を刺しておいた。
「おお!また新メニューだね!」
戻ってきた俺の手提げの袋から漏れでる匂いにミハイルは相好を崩す。
「プリンとチーズハンバーグ弁当です。良かったら」
「ハンバーグは夜のお楽しみだね。ティータイムだからスイーツかな」
ミハイルはいそいそとプリンを取り出すと、早速口に運ぶ。
「あっはっはっ!またバカみたいに美味いなこれも。このぷるぷるした食感の舌触りのいい奴と茶色いソースの苦味が絶妙だなあ」
見た目は上品に、しかし恐ろしい勢いでプリンが無くなって行く。
二つ目を取り、食べていいかな?と聞きながら「どうぞ」の声も聞かないうちに手をつける。
まぁ自分はハルカのところで食べられるしいいのだが。
一番食に興味がなかった兄ですらこれだ。元々グルメだったアルベルト兄さん夫婦や両親など、お忍び名目でハルカの食堂に足しげく通っていたようだし、土産は喜ばれるだろう。
まあグルメといって今までのサウザーリンでは調味料も乏しいし食材にこだわる位しか出来なかったが、ショーユやミソ、そしてこれから出るであろう様々な調味料がこの国の食に多大なる影響を与えるのだと考えると、己の恋愛感情は抜きにして、ハルカがこの国に転生してくれて本当に良かったと俺は思っていた。
うちの家族は先日みーんな食いしん坊だというのが発覚した。
単に国に美味いモノが少なかったせいで表面化してなかっただけだ。
可愛い甥っ子のエンリケですら3歳にしてハルカの作る料理の美味さに気づいてしまった。
こちらでももうショーユとミソは欠かせない味つけのマストアイテムになりつつあるとの話もミハイル兄さんが教えてくれた。
ただやっぱりまだ使いなれてないのか、ハルカのような味には至らないみたいだが、格段に良くはなったようだ。
バルバロスやクラーケン討伐の話や、幻獣が仲間入りした話などに花を咲かせていると、ダダダダッ、と足音がして扉がばーんっと開かれた。
「クラインおじうえっ!お帰りなさいっ!」
現れたのはエンリケだった。
そのあとをぱたぱた追ってきたのかアルベルト兄さんと、ちょっと遅れて義姉フランと父ザック、母アゼリアまでやって来た。
「戻って親に挨拶に来ないのは感心せんぞクライン」
「そうよクライン。それになんだか美味しそうなものを二人だけで食べてるし」
「いやミハイル兄さんだけです」
「お友達のハルカのところのかしら?私たちにはないの?」
アゼリアがしょんぽりしたように尋ねる。
「勿論ありますよ。後でお届けしようと思ってまーー」
「今欲しいわ。ねえダーリン?」
「そうだな。家族が揃った事だしな」
「久々のクライン様との邂逅もエンリケは楽しみにしてたんですのよ」
フランも笑顔で言い添える。
「僕達だって会いたかったさ。ミハイル、私も紅茶をくれると有り難いんだが」
アルベルトもいつの間にかテーブル席に腰かけていた。
あんたら仕事はどうした。
会いたかったんじゃなくて食いたかったの間違いじゃないのか。
会いたかった本人いるのになんでソワソワしてるんだおい。
心ではそんな感情が渦巻いていたが、自分も食いしん坊の自覚はある。気持ちは分かる。
「少しお待ち下さい。只今こちらにお持ちしますので」
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