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リンダーベルに戻ってきたぞー。
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4日後、無事にリンダーベルに戻ってきた私達。
マイホームが出来るまでは今まで通りクラインの家のセカンドハウスに住むのだが、やはりここも暫く生活してるからホームって感じがするわ。落ち着きますねぇ。
ケルヴィンさんにも会いに行かないと。
ミリアンはとりあえず土産を家族に渡して来るわね~♪、と言って自宅に帰っていった。
クラインも自宅に一度戻る、と言うことで途中で別れ、夜ご飯集合にしてそれまではフリータイムだ。
暫く留守にしてたから精霊さんズに出てきて貰って魔法で部屋の掃除をお願いする。
「やるのはいいけどオヤツ~」
「私たちもうハルカのオヤツがないと生けていけないカラダなのぉ」
「がんばって綺麗にするから~」
「大げさね。勿論あるよ。本日はプリンだよー。ぷるんぷるんでほんのり甘くて美味しいわよ」
「きゃー」
「きゃー」
「ぷるんぷるん~」
精霊さんズは大喜びでお仕事に励んでいる。
「さて、ラウールの寝床なんだけどね」
《ん?なんじゃ》
「ベッドは私とプルちゃんとトラちゃんで一つ、もう一つはテンちゃんが使ってるんだけど、ここはこの二つしか今はないのよ。だからマイホームが出来るまでベッドの代わりになるのを考えてるんだけど……」
《ワシは別に床で構わないぞ》
「年寄り床に転がして自分がベッドとか無理。良心がゴリゴリ削られるから。
いや、それでこれを買ったんだけども……」
とアイテムボックスから取り出したもの。
日本で、人をダメにするクッションとか言われてるアレである。ラウールの体ですっぽり乗っかれる一番大きなサイズを選んでみた。
「これ、私も向こうの世界で愛用してたんだけど、なかなか気持ちいいのよ。ちょっと乗ってみて?」
《……おお、なんと柔らかで気持ちいいんだ……。寝心地もいいし体にジャストフィットでクセになりそうだぞ。
こんな良さげなものをワシが貰ってもいいのか?》
「気に入ってくれたなら使ってくれると嬉しいわ。でもまず風呂に入ってからね」
《あいわかった!楽しみじゃの》
プルちゃんが「なんだなんだ~」とふわふわ飛んできて、クッションに気づく。
「これじー様のベッドか?ちょっと感触確かめてもいいか?」
《だからじー様言うなと言っておろうが。おお、乗ってみい。気持ちいいぞ》
プルちゃんがもふっ、とクッションに顔からダイブした。
暫く見てるが、そのまま微動だにしない。
「プルちゃん……?」
私が声をかけると「ぶはっっ」と騒いで飛び上がる。
「ハルカ、これヤバい。抵抗力を無くす魔法がかかってるぞ!」
「かかってないっつうの」
妖精もダメにするとは流石日本の企業力。ダメになる人が多いのは仕方がないのだね。疲れてる人が多いし。
こういう体に楽なシリーズなんだと言うと、
「すげーなニホンの会社は。テン、ちょっと来てみろ」
荷物の片づけをしていたテンちゃんも呼び寄せ、クッションに座らせる。
「…………」
「テンちゃん、起きて」
はっ、と飛び退いたテンちゃんも、
「……ハルカ、これは睡魔に襲われる魔法がかかってる……」
と誰かさんと似たようなことを言っている。
「……魔族もOKか。ほぼ万能だな。シアタールームもこれにするか?いや、みんなだる~んとして寝てしまいそうだ。いやしかし、癒しのアイテムとしてお昼寝用に新居におくのもいいか……」
プルちゃんがなんかぶつぶつ言い出したので放置し、とりあえずこれからの予定を考える。
1、家を建てるため大工さんと会い、建物の間取りやデザインについての相談をする。
2、冒険者引退届を出して、商業ギルドでマーミヤ商会の仕事に注力する。
新商品の調味料開発をばんばんする。
3、お金にも少しゆとりがありそうなので、パティスリーの店用の土地も探して並行して建ててもらう。
(この町の空き店舗を使うには魔法が使いづらいので、どうせなら仕事しやすいように一から作るのが一番良い)
4、安定したら近くに移動しない食堂でもやれるよう考える。
その為の人員も先々確保する。
ぱーっと思いつく限りの重要な事をメモで箇条書きにしてみた。
「……うーん、結構やることあるなぁ」
私はちょっとため息をついた。
嬉しいんだけど、大丈夫かなと心配になる。
だって向こうではただの就職先決まっただけの大学生でぽっくりしてる訳だし。いきなりこっちで冒険者やるわ商売やるわ家を建てようとか店を開こうとか無謀よねー、うん。
(でも養う人達もいるし、頑張らないとな。いや、人じゃないか)
掃除を終わらせた精霊さんズが戻ってきたので、アイテムボックスから小さめに作ったプリンを渡す。
コーヒーに入れる生クリームくらいの器を自作したのだが(私は不器用なので魔法でね)、それでも彼女達にはバケツのようなサイズになってしまった。ま、まぁバケツプリンとかでかい器のプリンもコンビニで見た覚えがあるし。
「ありがとうハルカ~♪」
「また呼んでねー」
「美味しそ~う」
精霊さんズは手をふりながら帰っていった。
安上がりに使われているぞ君たち。でもお金貰っても困るだろうし。その代わり毎回心を込めて用意するから許してね。
ふと気がついて時計を見ると、もう3時である。
「ケルヴィンさんとこに顔出してから市場で買い物するか」
私はテンちゃんに荷物持ちをお願いし、冒険者ギルドへ向かうのだった。
マイホームが出来るまでは今まで通りクラインの家のセカンドハウスに住むのだが、やはりここも暫く生活してるからホームって感じがするわ。落ち着きますねぇ。
ケルヴィンさんにも会いに行かないと。
ミリアンはとりあえず土産を家族に渡して来るわね~♪、と言って自宅に帰っていった。
クラインも自宅に一度戻る、と言うことで途中で別れ、夜ご飯集合にしてそれまではフリータイムだ。
暫く留守にしてたから精霊さんズに出てきて貰って魔法で部屋の掃除をお願いする。
「やるのはいいけどオヤツ~」
「私たちもうハルカのオヤツがないと生けていけないカラダなのぉ」
「がんばって綺麗にするから~」
「大げさね。勿論あるよ。本日はプリンだよー。ぷるんぷるんでほんのり甘くて美味しいわよ」
「きゃー」
「きゃー」
「ぷるんぷるん~」
精霊さんズは大喜びでお仕事に励んでいる。
「さて、ラウールの寝床なんだけどね」
《ん?なんじゃ》
「ベッドは私とプルちゃんとトラちゃんで一つ、もう一つはテンちゃんが使ってるんだけど、ここはこの二つしか今はないのよ。だからマイホームが出来るまでベッドの代わりになるのを考えてるんだけど……」
《ワシは別に床で構わないぞ》
「年寄り床に転がして自分がベッドとか無理。良心がゴリゴリ削られるから。
いや、それでこれを買ったんだけども……」
とアイテムボックスから取り出したもの。
日本で、人をダメにするクッションとか言われてるアレである。ラウールの体ですっぽり乗っかれる一番大きなサイズを選んでみた。
「これ、私も向こうの世界で愛用してたんだけど、なかなか気持ちいいのよ。ちょっと乗ってみて?」
《……おお、なんと柔らかで気持ちいいんだ……。寝心地もいいし体にジャストフィットでクセになりそうだぞ。
こんな良さげなものをワシが貰ってもいいのか?》
「気に入ってくれたなら使ってくれると嬉しいわ。でもまず風呂に入ってからね」
《あいわかった!楽しみじゃの》
プルちゃんが「なんだなんだ~」とふわふわ飛んできて、クッションに気づく。
「これじー様のベッドか?ちょっと感触確かめてもいいか?」
《だからじー様言うなと言っておろうが。おお、乗ってみい。気持ちいいぞ》
プルちゃんがもふっ、とクッションに顔からダイブした。
暫く見てるが、そのまま微動だにしない。
「プルちゃん……?」
私が声をかけると「ぶはっっ」と騒いで飛び上がる。
「ハルカ、これヤバい。抵抗力を無くす魔法がかかってるぞ!」
「かかってないっつうの」
妖精もダメにするとは流石日本の企業力。ダメになる人が多いのは仕方がないのだね。疲れてる人が多いし。
こういう体に楽なシリーズなんだと言うと、
「すげーなニホンの会社は。テン、ちょっと来てみろ」
荷物の片づけをしていたテンちゃんも呼び寄せ、クッションに座らせる。
「…………」
「テンちゃん、起きて」
はっ、と飛び退いたテンちゃんも、
「……ハルカ、これは睡魔に襲われる魔法がかかってる……」
と誰かさんと似たようなことを言っている。
「……魔族もOKか。ほぼ万能だな。シアタールームもこれにするか?いや、みんなだる~んとして寝てしまいそうだ。いやしかし、癒しのアイテムとしてお昼寝用に新居におくのもいいか……」
プルちゃんがなんかぶつぶつ言い出したので放置し、とりあえずこれからの予定を考える。
1、家を建てるため大工さんと会い、建物の間取りやデザインについての相談をする。
2、冒険者引退届を出して、商業ギルドでマーミヤ商会の仕事に注力する。
新商品の調味料開発をばんばんする。
3、お金にも少しゆとりがありそうなので、パティスリーの店用の土地も探して並行して建ててもらう。
(この町の空き店舗を使うには魔法が使いづらいので、どうせなら仕事しやすいように一から作るのが一番良い)
4、安定したら近くに移動しない食堂でもやれるよう考える。
その為の人員も先々確保する。
ぱーっと思いつく限りの重要な事をメモで箇条書きにしてみた。
「……うーん、結構やることあるなぁ」
私はちょっとため息をついた。
嬉しいんだけど、大丈夫かなと心配になる。
だって向こうではただの就職先決まっただけの大学生でぽっくりしてる訳だし。いきなりこっちで冒険者やるわ商売やるわ家を建てようとか店を開こうとか無謀よねー、うん。
(でも養う人達もいるし、頑張らないとな。いや、人じゃないか)
掃除を終わらせた精霊さんズが戻ってきたので、アイテムボックスから小さめに作ったプリンを渡す。
コーヒーに入れる生クリームくらいの器を自作したのだが(私は不器用なので魔法でね)、それでも彼女達にはバケツのようなサイズになってしまった。ま、まぁバケツプリンとかでかい器のプリンもコンビニで見た覚えがあるし。
「ありがとうハルカ~♪」
「また呼んでねー」
「美味しそ~う」
精霊さんズは手をふりながら帰っていった。
安上がりに使われているぞ君たち。でもお金貰っても困るだろうし。その代わり毎回心を込めて用意するから許してね。
ふと気がついて時計を見ると、もう3時である。
「ケルヴィンさんとこに顔出してから市場で買い物するか」
私はテンちゃんに荷物持ちをお願いし、冒険者ギルドへ向かうのだった。
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