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一歩を踏み出す時
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「……困るわ……本当に困るのよ……」
衣裳部屋でウロウロ動き回っていただけのつもりが、呟きがベティーに届いてしまっていたようで、メイク道具の準備をしていた彼女が私に問い掛けた。
「エマ様、何が困るのでしょう?」
「……あら聞こえてしまったのね。独り言のつもりだったのだけれど」
私はベティーに案内された椅子に座る。
「ルーク様が近頃おかしいのよ」
「おかしいとは?」
パタパタと白粉をはたくベティーに私は訴える。
「食事の時も、お仕事を終えて戻られてからも、とても機嫌が良いのはいいのだけれど、何と言えばいいのかしら……私との距離が近いというか、やたらと話し掛けて来るの」
「結構なことではございませんか。何が問題なのですか」
「話し掛けられても普通に返せるぐらいに私も成長したとは思っているから、それは良いのよ。でも、ふとした瞬間に手を握って来たり、肩に手を乗せたりするし、ぼんやりした視界でも分かるような破壊力のある笑みをやたらと振りまいて来るのよ。しかも、しかもよ? 『エマは優しい』とか『エマがいるだけで癒されるね』『いつ見ても可愛いね』とかすごく褒めて来るのよ。変じゃない?」
あの女性の扱いに慣れていないと言っていたルークが、えらい変わりようなのである。
「先日のプレゼントがよほど嬉しかったのではございませんか? 大層喜んでおられましたし」
ピンク系のアイシャドーを私の瞼に乗せながらベティーが不思議そうな顔をする。
「何がご不満なのですか? 距離が縮まるのは良いことではありませんか。エマ様が大切に思われている証拠のようなものですし、エマ様だって早くルーク様と仲良し夫婦になるわ! と鼻息を荒くしておられたのですから万々歳では?」
「鼻息荒くって……確かに間違ってはいないけれど……でもプレゼントしたぐらいでこんなに急に態度が変わるものなのかしら? 特に高額なものでもないのだし」
いくら好みのものだったからといっても、マグカップや毛布をプレゼントするぐらいで愛情メーターが振り切れるぐらい上がるとも思えない。
「それに、私は徐々に関係が深まるのが望ましいというか、急に距離を詰められても対応が難しいのは分かっているでしょう? 心臓に悪いのよ」
ド近眼のフィルターが掛かっていてもルークは顔立ちも魅力的だし、逞しい体も素敵だし、声も耳に心地良い。もう存在自体が包容力の塊のような人なのである。
まだルークが傍にいることに完全に慣れていない私には、正直に言えば初恋を拗らせている女。
グイグイ来られても、素直に感情を表せない。だって素直に出したら単に危ない変態だもの。
顔がハッキリ見えてしまうと興奮して変なことを口走りそうだから、失礼にならない程度に微妙に視線を逸らさないといけないし、かと言って遠く離れ過ぎたら寂しい。
自分で言うのも何だが、本当に面倒くさい女なのだ。
「……でも、もしかしたらルーク様には別に好きな女性がいるのでは、という疑念もあったり」
「……は?」
「だって急にルーク様があんなに私に対して持ち上げ出したってことはよ? もしかしたら新たに親密になった女性がいて、その経験から女性あしらいが上手くなったとかそういう……彼は絶対モテるもの。だって王族だし、あれだけ人間的に素晴らしい人なん、だ、もの……」
私は冗談っぽく言おうとして失敗し、目が涙が浮かんだ。
跡継ぎを必ず設けなければならない責任がある、大国で唯一の王子なのだ。
正妃、つまり私が確実に息子を産めるかどうかも分からないし、五人も十人も産める保証はない訳で、もし王子が産まれたとしても、病気や事故で亡くなることだってある。
ある程度の爵位や領地を持つ貴族は、リスク回避のために愛人を作ることを推奨されることもある。私が恋心を拗らせた変態であるため、結婚してもまだ初夜すらまともにこなせていない。
ルークは徐々に仲良くなろう、焦らないでいいと言ってくれたけれど、彼も若い男性である。欲望だってきっとあるだろう。
閨を共にすることも出来ない幼馴染みの妻というのは、なまじ長い付き合いがあるだけに邪険にも出来ず、彼にとっては重荷なのかも知れない。
本気で愛人を疑っている訳ではなかったが、正直今のままではあっても私に文句は言えない。
「ベティー、どうしたらいいのかしら私……もう今夜にでも鼻血が出ないように鼻の穴に綿を詰めてルーク様に迫るべきかしら。いえそうすべきよね」
「それで濃厚なキスでもされたら呼吸も出来ませんし、ついでに申し上げるなら、万が一それで気を失ったりすれば、介抱するルーク様に鼻の中の綿が見られるでしょう。色っぽいムードが一気に笑えない喜劇に早変わりですわ」
「じゃあどうしたらいいのよ!」
思わず焦りが怒りの声となってしまった。
完全に私が原因なのに、ベティーに当たるのは間違っている。
「……ごめんなさいねベティー、あなたは何も悪くないのに」
すぐに謝ったが、ベティーは首を振った。
「まあルーク様が浮気するとは到底思えませんし、きっとあの方なりに親密度を上げようとされているのでしょう。男性はたまに見当違いの方向に努力しがちですわ。……ですが、エマ様からもそろそろ一歩を踏み出す時でしょうね。このままでは良くないのはエマ様もご理解されてますわよね? いつまでも変態であることにあぐらをかいていては、まともな進歩もままなりません」
「ええ、もちろんよ」
「あちらはあちらで何かお考えがあるのでしょうから、こちら側もこちら側で着実に進まねばなりませんわ。さささ、ひとまずお耳を」
笑顔で手招きするベティーに若干の不安を覚えつつも、私はゆっくりと近づいて行くのだった。
衣裳部屋でウロウロ動き回っていただけのつもりが、呟きがベティーに届いてしまっていたようで、メイク道具の準備をしていた彼女が私に問い掛けた。
「エマ様、何が困るのでしょう?」
「……あら聞こえてしまったのね。独り言のつもりだったのだけれど」
私はベティーに案内された椅子に座る。
「ルーク様が近頃おかしいのよ」
「おかしいとは?」
パタパタと白粉をはたくベティーに私は訴える。
「食事の時も、お仕事を終えて戻られてからも、とても機嫌が良いのはいいのだけれど、何と言えばいいのかしら……私との距離が近いというか、やたらと話し掛けて来るの」
「結構なことではございませんか。何が問題なのですか」
「話し掛けられても普通に返せるぐらいに私も成長したとは思っているから、それは良いのよ。でも、ふとした瞬間に手を握って来たり、肩に手を乗せたりするし、ぼんやりした視界でも分かるような破壊力のある笑みをやたらと振りまいて来るのよ。しかも、しかもよ? 『エマは優しい』とか『エマがいるだけで癒されるね』『いつ見ても可愛いね』とかすごく褒めて来るのよ。変じゃない?」
あの女性の扱いに慣れていないと言っていたルークが、えらい変わりようなのである。
「先日のプレゼントがよほど嬉しかったのではございませんか? 大層喜んでおられましたし」
ピンク系のアイシャドーを私の瞼に乗せながらベティーが不思議そうな顔をする。
「何がご不満なのですか? 距離が縮まるのは良いことではありませんか。エマ様が大切に思われている証拠のようなものですし、エマ様だって早くルーク様と仲良し夫婦になるわ! と鼻息を荒くしておられたのですから万々歳では?」
「鼻息荒くって……確かに間違ってはいないけれど……でもプレゼントしたぐらいでこんなに急に態度が変わるものなのかしら? 特に高額なものでもないのだし」
いくら好みのものだったからといっても、マグカップや毛布をプレゼントするぐらいで愛情メーターが振り切れるぐらい上がるとも思えない。
「それに、私は徐々に関係が深まるのが望ましいというか、急に距離を詰められても対応が難しいのは分かっているでしょう? 心臓に悪いのよ」
ド近眼のフィルターが掛かっていてもルークは顔立ちも魅力的だし、逞しい体も素敵だし、声も耳に心地良い。もう存在自体が包容力の塊のような人なのである。
まだルークが傍にいることに完全に慣れていない私には、正直に言えば初恋を拗らせている女。
グイグイ来られても、素直に感情を表せない。だって素直に出したら単に危ない変態だもの。
顔がハッキリ見えてしまうと興奮して変なことを口走りそうだから、失礼にならない程度に微妙に視線を逸らさないといけないし、かと言って遠く離れ過ぎたら寂しい。
自分で言うのも何だが、本当に面倒くさい女なのだ。
「……でも、もしかしたらルーク様には別に好きな女性がいるのでは、という疑念もあったり」
「……は?」
「だって急にルーク様があんなに私に対して持ち上げ出したってことはよ? もしかしたら新たに親密になった女性がいて、その経験から女性あしらいが上手くなったとかそういう……彼は絶対モテるもの。だって王族だし、あれだけ人間的に素晴らしい人なん、だ、もの……」
私は冗談っぽく言おうとして失敗し、目が涙が浮かんだ。
跡継ぎを必ず設けなければならない責任がある、大国で唯一の王子なのだ。
正妃、つまり私が確実に息子を産めるかどうかも分からないし、五人も十人も産める保証はない訳で、もし王子が産まれたとしても、病気や事故で亡くなることだってある。
ある程度の爵位や領地を持つ貴族は、リスク回避のために愛人を作ることを推奨されることもある。私が恋心を拗らせた変態であるため、結婚してもまだ初夜すらまともにこなせていない。
ルークは徐々に仲良くなろう、焦らないでいいと言ってくれたけれど、彼も若い男性である。欲望だってきっとあるだろう。
閨を共にすることも出来ない幼馴染みの妻というのは、なまじ長い付き合いがあるだけに邪険にも出来ず、彼にとっては重荷なのかも知れない。
本気で愛人を疑っている訳ではなかったが、正直今のままではあっても私に文句は言えない。
「ベティー、どうしたらいいのかしら私……もう今夜にでも鼻血が出ないように鼻の穴に綿を詰めてルーク様に迫るべきかしら。いえそうすべきよね」
「それで濃厚なキスでもされたら呼吸も出来ませんし、ついでに申し上げるなら、万が一それで気を失ったりすれば、介抱するルーク様に鼻の中の綿が見られるでしょう。色っぽいムードが一気に笑えない喜劇に早変わりですわ」
「じゃあどうしたらいいのよ!」
思わず焦りが怒りの声となってしまった。
完全に私が原因なのに、ベティーに当たるのは間違っている。
「……ごめんなさいねベティー、あなたは何も悪くないのに」
すぐに謝ったが、ベティーは首を振った。
「まあルーク様が浮気するとは到底思えませんし、きっとあの方なりに親密度を上げようとされているのでしょう。男性はたまに見当違いの方向に努力しがちですわ。……ですが、エマ様からもそろそろ一歩を踏み出す時でしょうね。このままでは良くないのはエマ様もご理解されてますわよね? いつまでも変態であることにあぐらをかいていては、まともな進歩もままなりません」
「ええ、もちろんよ」
「あちらはあちらで何かお考えがあるのでしょうから、こちら側もこちら側で着実に進まねばなりませんわ。さささ、ひとまずお耳を」
笑顔で手招きするベティーに若干の不安を覚えつつも、私はゆっくりと近づいて行くのだった。
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