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ルルガ到着!
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待ちに待ったルルガへの出発は四日後となった。
パトリックの仕事が終わるのを待っていたのもあるが、ジルからも、
「数日留守にするのなら、ちっとは勉強してからいくんだよ。どうせルルガではやらないんだろうからね」
と釘を刺されたからである。
多分、俺の浮かれた気分を見透かされたのではないかと思う。
うちの子たちは賢いので心配ないのだが、現在の海鮮欲にまみれた三十路の俺では、何日も勉強しなければ、忘れる単語もあるかもしれない。
今では簡単な文章ぐらいは読み書き出来るようになったものの、違う国の言葉を学ぶと言うのは大変だ。油断すると一週間前には書けていた単語もど忘れしていたりする。
なまじ会話だけは出来てしまうので、必死さが足りないのだろうか。
でも、十代の知識の吸収性って徐々に失われつつあるんだよなあ。
仕事に必要な知識はすぐに叩き込めるのに。ちょっと切ないお年頃なのである。
だが今後を考えたら困るのは確実だし、やらねばなるまい。
俺はせっせと絵本を読む勉強をし、新たな単語を書きまくる。
うちの子たちは、勉強を挟みつつも、朝方は寒いぐらいの気温になっても嬉々として水遊びをし、ご飯を食べて眠る、というゆとり溢れる日々を過ごしていた。
気づけばあっという間にルルガへ出発する当日になっており、エドヤの前には、早朝から馬車に乗ったパトリックが現れ、元気よく挨拶をしてきた。
「いやあ、仕事の絡まない旅なんて、大人になってから初めてかもしんねえな」
パトリックは出発時からご機嫌である。
今回は彼の馬車でルルガに向かう。
「俺の馬車で行けば、わざわざ借りなくて済むじゃないか。それに仕事用で大きめだから、ダニーたちや荷物を乗せてもゆとりあるしな」
と提案してくれたので、ありがたく俺とうちの子たち+トランクは、例のダマスク柄のコジャレた幌の馬車に乗せてもらうことになったのだ。
急ぎの旅でもないのでのんびりと進んでいるうちに、サッペンスへの移動の話になる。
うちの子たちは馬車を急がせようとすると、肉づきが良かったり球体に近かったりするせいか、どうしてもコロンコロンと荷台で転がってしまうことがある。
一応いくつもクッションを置いてるし、ケガすることもない。
本人たちも遊びのように楽しんでいるのだが、自分が馬車を走らせている時は、当然後ろは見えないので不安はある。
なんかいい方法はないですかねえと話をしていたら、慌てて彼が馬車の方向を戻し、自分の家の前に着けた。
「おいおい、もしクッションがずれて頭や体を強打したら大ケガするじゃねえか」
俺よりもパトリックの方が心配性のようだ。
父親というより母親みたいな感じだ。
しかし母親のように気遣いをみせてもそこは大工である。
「ちっと待ってろ」
と家の中に入っていくと、仕事で余っていた木材や布を持って出て来た。
手際よくシャーコシャーコのこぎりで木材を切ったかと思えば、それを組み立ててトッカントッカン金づちで釘を打ち始める。
何をしているのか分からずボーっと眺めていると、作った長方形の大きな木箱の内側を、かなり厚みのある可愛い赤のチェック柄のキルトで覆い、布用ボンドのような糊をペタペタして、しっかりと木に貼り付けていく。
自宅にこんな可愛い柄の布が常備されている点を考えても、彼は本当に可愛いものが好きなんだろうなと思う。一体何に使うつもりだったのかは不明だけど。
一時間もかからずに、うちの子たちが全員入れそうな、蓋のないギフトボックスのようなものが完成した。
「あのうパトリックさん、それはもしかして……」
「ん? ダニーたちの馬車用ソファーみたいなもんだな。おい、ダニー、ジロー、ウルミ。サイズは多分問題ないと思うが、試しに入って見てくれないか?」
『キュ』
『ポッポ』
『……ナ?』
まだ辛うじて起きていたウルミが寝ぼけたような声で返事をすると、ダニーがウルミを抱えてボックスの中に入れた。自分もそのまま入り込み、一番ボリューミーなジローが続く。
まあボリューミーとはいっても水に濡れたら三割減なので、そこまできつくはないと思う。
「どうだ? これなら馬車を走らせても転がらないと思うんだが」
パトリックはそう言うと、ボックスを持ち上げて馬車に乗っているていで前後に揺らす。
高級フルーツの箱に入ってるみたいで、多少揺れはするが箱のクッションで大きく転がることも飛び出ることもない。素晴らしい。
「ジロー、お前は一番体が大きいだろ? 苦しくはないか?」
俺が尋ねると、
『ポポポッ!』
とご機嫌な返事が返ってきた。ダニーも問題なさそうだ。
ウルミはどうかと聞こうと思ったらもう夢の世界に旅立っていた。
だがまあよほど嫌な空間だったら表に出て眠るだろうし、嫌いではなかったのだろう。
「パトリックさんすみません、旅行前にこんな仕事させてしまって。助かります。ちゃんと材料費と手間賃はお支払い致しますので──」
「快適な旅行には快適な環境が必要ってことよ。気にすんな。俺とケンタローが座る御者席だって、しっかりケツが痛くならないように分厚いクッション敷いてんだろ?」
言われてみれば、すぐパトリックの家に向かって降りてしまったのでうっかりしていたが、やけに馬車の乗り心地がいいなとは思っていた。
改めてよく見ると、十センチぐらいの厚みの座布団らしきものが敷いてあった。そして柄も紺色で目立たないが、縁取りには銀糸で細かい刺繍が施されていて、とても手が込んでいる。
女子力が高いというか妥協をしないというか。
モノづくりも得意で、お洒落で優しくて懐が広くて動物好きで、惚れ惚れするような筋肉ボディに傷さえなければかなりのイケメン。俺が女だったら間違いなく即堕ち案件なんだけどなあ。
俺なんて傷もないけど筋肉もない。顔に特徴もなければ、料理と営業スキルぐらいしか売りがないモブ仕様なので、心底羨ましいと覆う。
「俺も仕事で長時間馬車を乗り回すこともあるからよ。大工は腰が命だからよ、こういうことには気を遣わねえとな! はっはっはっ」
「確かに大事ですよね。商人も腰は命ですよ。ちなみにこのボックス、我が家にも一つ作ってもらえないでしょうか? 旅の時に便利なので。もちろんお金はお支払いします」
「いや材料費もらえばいくらでも作るけどよ。エドヤって儲かってんだろう? なんで店で馬車を買わねえんだ?」
パトリックに聞かれて、正直に馬の世話までする時間も場所もないのだと伝える。
「地元ではリヤカーで事足りますしね」
「リヤカー? なんだそれ」
俺はアーニーに作ってもらったリヤカーの説明をし、今は荷台をつけない奴も頼んでいると話した。
「ほー、ホラールにはそんなのもあるのか。確かに近場に行くのにわざわざ馬車を出すのは面倒だよな。まあ俺は仕事で必要って名目で、堂々と馬を可愛がれるってよこしまな目的もあんだけどよ」
「馬車は馬車で持っといて、近所用にアーネストさんにリヤカー作ってもらうのもいいんじゃないですか? 興味があるなら、ルルガから戻ったらご紹介しますよ」
「そりゃいいや。よろしく頼むぜ」
そんな雑談で盛り上がっているうちに、うちの子たちはみんな眠ってしまったようだ。
パトリックが軽々とボックスを持ち上げると、荷台に乗せる。
けっこう重たいんだけどな、みんな合わせると。俺も少し鍛えた方がいいかもしれない。
いつもはダニーたちを一方的な話し相手にしてサッペンスを行き来していたが、会話が出来る相手と旅をするのは楽しい。
特に気心が知れて来た相手ならなおさらだ。
教わったマップを頼りに、少し道に迷ったりはしたが、五時間弱で夢の町ルルガに到着した。
話し相手がいると思った以上に早く感じるな。
さあ、祭りだぜい。
俺は潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、まずは停車場とホテルだな、と心を落ち着かせていた。
パトリックの仕事が終わるのを待っていたのもあるが、ジルからも、
「数日留守にするのなら、ちっとは勉強してからいくんだよ。どうせルルガではやらないんだろうからね」
と釘を刺されたからである。
多分、俺の浮かれた気分を見透かされたのではないかと思う。
うちの子たちは賢いので心配ないのだが、現在の海鮮欲にまみれた三十路の俺では、何日も勉強しなければ、忘れる単語もあるかもしれない。
今では簡単な文章ぐらいは読み書き出来るようになったものの、違う国の言葉を学ぶと言うのは大変だ。油断すると一週間前には書けていた単語もど忘れしていたりする。
なまじ会話だけは出来てしまうので、必死さが足りないのだろうか。
でも、十代の知識の吸収性って徐々に失われつつあるんだよなあ。
仕事に必要な知識はすぐに叩き込めるのに。ちょっと切ないお年頃なのである。
だが今後を考えたら困るのは確実だし、やらねばなるまい。
俺はせっせと絵本を読む勉強をし、新たな単語を書きまくる。
うちの子たちは、勉強を挟みつつも、朝方は寒いぐらいの気温になっても嬉々として水遊びをし、ご飯を食べて眠る、というゆとり溢れる日々を過ごしていた。
気づけばあっという間にルルガへ出発する当日になっており、エドヤの前には、早朝から馬車に乗ったパトリックが現れ、元気よく挨拶をしてきた。
「いやあ、仕事の絡まない旅なんて、大人になってから初めてかもしんねえな」
パトリックは出発時からご機嫌である。
今回は彼の馬車でルルガに向かう。
「俺の馬車で行けば、わざわざ借りなくて済むじゃないか。それに仕事用で大きめだから、ダニーたちや荷物を乗せてもゆとりあるしな」
と提案してくれたので、ありがたく俺とうちの子たち+トランクは、例のダマスク柄のコジャレた幌の馬車に乗せてもらうことになったのだ。
急ぎの旅でもないのでのんびりと進んでいるうちに、サッペンスへの移動の話になる。
うちの子たちは馬車を急がせようとすると、肉づきが良かったり球体に近かったりするせいか、どうしてもコロンコロンと荷台で転がってしまうことがある。
一応いくつもクッションを置いてるし、ケガすることもない。
本人たちも遊びのように楽しんでいるのだが、自分が馬車を走らせている時は、当然後ろは見えないので不安はある。
なんかいい方法はないですかねえと話をしていたら、慌てて彼が馬車の方向を戻し、自分の家の前に着けた。
「おいおい、もしクッションがずれて頭や体を強打したら大ケガするじゃねえか」
俺よりもパトリックの方が心配性のようだ。
父親というより母親みたいな感じだ。
しかし母親のように気遣いをみせてもそこは大工である。
「ちっと待ってろ」
と家の中に入っていくと、仕事で余っていた木材や布を持って出て来た。
手際よくシャーコシャーコのこぎりで木材を切ったかと思えば、それを組み立ててトッカントッカン金づちで釘を打ち始める。
何をしているのか分からずボーっと眺めていると、作った長方形の大きな木箱の内側を、かなり厚みのある可愛い赤のチェック柄のキルトで覆い、布用ボンドのような糊をペタペタして、しっかりと木に貼り付けていく。
自宅にこんな可愛い柄の布が常備されている点を考えても、彼は本当に可愛いものが好きなんだろうなと思う。一体何に使うつもりだったのかは不明だけど。
一時間もかからずに、うちの子たちが全員入れそうな、蓋のないギフトボックスのようなものが完成した。
「あのうパトリックさん、それはもしかして……」
「ん? ダニーたちの馬車用ソファーみたいなもんだな。おい、ダニー、ジロー、ウルミ。サイズは多分問題ないと思うが、試しに入って見てくれないか?」
『キュ』
『ポッポ』
『……ナ?』
まだ辛うじて起きていたウルミが寝ぼけたような声で返事をすると、ダニーがウルミを抱えてボックスの中に入れた。自分もそのまま入り込み、一番ボリューミーなジローが続く。
まあボリューミーとはいっても水に濡れたら三割減なので、そこまできつくはないと思う。
「どうだ? これなら馬車を走らせても転がらないと思うんだが」
パトリックはそう言うと、ボックスを持ち上げて馬車に乗っているていで前後に揺らす。
高級フルーツの箱に入ってるみたいで、多少揺れはするが箱のクッションで大きく転がることも飛び出ることもない。素晴らしい。
「ジロー、お前は一番体が大きいだろ? 苦しくはないか?」
俺が尋ねると、
『ポポポッ!』
とご機嫌な返事が返ってきた。ダニーも問題なさそうだ。
ウルミはどうかと聞こうと思ったらもう夢の世界に旅立っていた。
だがまあよほど嫌な空間だったら表に出て眠るだろうし、嫌いではなかったのだろう。
「パトリックさんすみません、旅行前にこんな仕事させてしまって。助かります。ちゃんと材料費と手間賃はお支払い致しますので──」
「快適な旅行には快適な環境が必要ってことよ。気にすんな。俺とケンタローが座る御者席だって、しっかりケツが痛くならないように分厚いクッション敷いてんだろ?」
言われてみれば、すぐパトリックの家に向かって降りてしまったのでうっかりしていたが、やけに馬車の乗り心地がいいなとは思っていた。
改めてよく見ると、十センチぐらいの厚みの座布団らしきものが敷いてあった。そして柄も紺色で目立たないが、縁取りには銀糸で細かい刺繍が施されていて、とても手が込んでいる。
女子力が高いというか妥協をしないというか。
モノづくりも得意で、お洒落で優しくて懐が広くて動物好きで、惚れ惚れするような筋肉ボディに傷さえなければかなりのイケメン。俺が女だったら間違いなく即堕ち案件なんだけどなあ。
俺なんて傷もないけど筋肉もない。顔に特徴もなければ、料理と営業スキルぐらいしか売りがないモブ仕様なので、心底羨ましいと覆う。
「俺も仕事で長時間馬車を乗り回すこともあるからよ。大工は腰が命だからよ、こういうことには気を遣わねえとな! はっはっはっ」
「確かに大事ですよね。商人も腰は命ですよ。ちなみにこのボックス、我が家にも一つ作ってもらえないでしょうか? 旅の時に便利なので。もちろんお金はお支払いします」
「いや材料費もらえばいくらでも作るけどよ。エドヤって儲かってんだろう? なんで店で馬車を買わねえんだ?」
パトリックに聞かれて、正直に馬の世話までする時間も場所もないのだと伝える。
「地元ではリヤカーで事足りますしね」
「リヤカー? なんだそれ」
俺はアーニーに作ってもらったリヤカーの説明をし、今は荷台をつけない奴も頼んでいると話した。
「ほー、ホラールにはそんなのもあるのか。確かに近場に行くのにわざわざ馬車を出すのは面倒だよな。まあ俺は仕事で必要って名目で、堂々と馬を可愛がれるってよこしまな目的もあんだけどよ」
「馬車は馬車で持っといて、近所用にアーネストさんにリヤカー作ってもらうのもいいんじゃないですか? 興味があるなら、ルルガから戻ったらご紹介しますよ」
「そりゃいいや。よろしく頼むぜ」
そんな雑談で盛り上がっているうちに、うちの子たちはみんな眠ってしまったようだ。
パトリックが軽々とボックスを持ち上げると、荷台に乗せる。
けっこう重たいんだけどな、みんな合わせると。俺も少し鍛えた方がいいかもしれない。
いつもはダニーたちを一方的な話し相手にしてサッペンスを行き来していたが、会話が出来る相手と旅をするのは楽しい。
特に気心が知れて来た相手ならなおさらだ。
教わったマップを頼りに、少し道に迷ったりはしたが、五時間弱で夢の町ルルガに到着した。
話し相手がいると思った以上に早く感じるな。
さあ、祭りだぜい。
俺は潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、まずは停車場とホテルだな、と心を落ち着かせていた。
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