土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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敵襲じゃー【1】

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「……え?」
 
 食後、私は居間でくつろいだ面々の話をお茶を飲みつつ聞いていたが、お義父様の話す内容の意味がよく分からずにちょっと首を傾げた。
 
「だからね、ちょっと数日でいいから私の屋敷の方に来て欲しいんだよ」
 
「そうなのよ」
 
 モリーも頷く。
 
「……父さんすまない、何を言いたいか良く分からないんだが」
 
 隣のダークが私の意見を代弁してくれた。
 流石マイダーリン。
 
「悪かった。ちゃんと説明する」
 
 
 
 説明によると、お義父様の住むド田舎もとい自然豊かな領地であるポルタポルタ町の町長が、
 
「マーブルマーブル町も演劇フェスやら感謝祭など色んなイベントを始めたし、観光客で賑わい出したと聞く。
 農業が主な産業である我が町も、のどかなだけでいいのか? 私らも老朽化する町役場や橋などこれからどんどん掛かる経費もある。
 何かポルタポルタ町と言えばコレ、というようなイベントで観光客を集め、町独自の収入アップも図るべきではなかろうか」
 
 と町興しを考え始めたとの事。
 
「……はあ、よろしいのではないかと思いますが」
 
 
 マーブルマーブル町のそれは、単に町に(というか国自体に)イベントが少なくて増やしたかっただけだし、貰ったお金も町に還元できて一石二鳥だっただけである。
 
 王国から当然町関連の修復のお金などは出してくれるハズだけど、タイムラグもあるだろうし、祭りとか娯楽的な意味合いも絡むと請求はしにくいだろう。
 町の発展と地元にプールしておけるお金は大切である。
 
 
 それに、私が巻き込まれた演劇フェスや思ったより大事になった感謝祭については、そんな壮大な話ではなくて、王族に色々やらせておけば我がシャインベック家の平穏も長引くであろうという本音があったのだが、相変わらずうちの国の王族は我が家でご飯を貪っているし、別の国の王族が旅先に現れて娘とイチャイチャしたりするし、更には別の国の王族までアロハを着て陽気なオイチャンと娘に擬態して私たちと釣り友だちになりつつ息子を王配に引きずり込もうとしていたりする。
 
 いち使用人であるルーシーの結婚披露パーティーにも友だち枠でナスターシャ妃殿下がスイーツや料理を食べていたりと、心休まる日々がなし崩しに侵食されているのだ。 
 
 
 王族ワンダーランドになった時点で私とダークの目がかなりデッドフィッシュ化したので、この頃では、
 
 “なるべくイベントには関わらず、出来る限り静かに屋敷内で生息する。全ての出来事には罠があり王族がいると思え”
 
 と夫婦で誓い合ったばかりである。
 
 町興しイベントは確かに結構な事だが、我が家を巻き込もうとする気配には超敏感肌なのである。
 
 
「……それと、何故リーシャが父さんの屋敷に行くのとが関係するんだ? ウチには小さな子供もいるし、遠出をするのは簡単な話じゃないのは分かってるだろう?」
 
 ダークも危機察知能力が上がったのか、回避方向に話を持っていこうとする。頑張ってー。ダーク愛ちてるー。
 
「それは分かってるんだが、先日ほら、カメラが発売になっただろう? エンジェル電気から」
 
「ええ出ましたわねえ」 
 
 
 
 
 先日我が家でもルーシーが1台、シャインベック家で1台購入したばかりだ。
 
 プレミアム会員でモニター会員でもあるルーシーに、知る限りのカメラ情報を図解説明し、プロの方に後は技術的な事は考えてもらおうと丸投げした。
 
 あくまでもルーシーの独創的センスとして、
 
「もしこういう感じの物が出来たら売れるのではございませんかしら? 専門家の方の方がお詳しいでしょうけれど」
 
 などと言って、乗り気になった職人が精魂込めて何度も試行錯誤で作り上げたのだ。
 基本的に職人というのは知識と技術を上げるためにも新しいチャレンジは常にやりたいのだろう。
 
 
 まあ今のところはサイズ的な問題は解決出来ておらず、1台の大きさがジーコロジーコロダイヤルを回す昔の電話機ぐらいあるし、重さもそのぐらいでかなり重たい。フィルムも12枚のヤツしか出てない。たかが12枚のフィルムが1000ビルもするのだ。たっか。
 
 更には商売上手なことにエンジェル電気のチェーン店の窓口でしか現像も頼めないし、1回現像に出すと12枚のもので4000ビル位はする。まあはっきり言って高級品である。
 
 本体も驚きの30万ビルだ。
 パソコンか。テレビか。まだないけど。
 
 でも私もルーシーも迷いなく買った。
 子供たちやダークの写真が撮れるのだ、欲しいに決まってるじゃないか。
 
 
 ルーシーにはウチのを貸すから別に買わなくてもいいと言ったのに、
 
「自分が撮りたい時にすぐ撮れなければ意味がござません。余り給料の使い道がなくて貯まる一方でしたから問題ありません。
 少しは減らさねば、リーシャ様に安い給料でこき使われているという頑張ってるけなげなメイドアピールも出来ませんし」
 
 と山ほどフィルムも買い込んで、すぐ子供たちや私、たまにグエンをパチパチと撮ってはいそいそと現像に持って行っていた。篠山ルーシーと呼んであげよう。
 
 私も撮ってみたのだが、筋力のない私ではカメラの重たさで手ぶれが起きてしまい、ダークや子供たちが心霊写真のようになることが多発した。
 勿体ないと思い、ルーシーに全部フィルムを渡して綺麗な写真を撮って貰う事にした。
 
 私と子供たちの写真が異常に多く、ダークの写真が少ないので文句を言うと、
 
「被写体はカメラマンのモチベーションが大切なのでございます。旦那様は正面からと横側からと2枚でよろしくありませんか?」
 
 と犯罪者のマグショットみたいな事を言い出した。
 
「ダメに決まってるでしょうよ。私なんかの写真より子供たちとダークの写真をメインにしてちょうだい」
 
「なんか、とは何でございますかなんかとは。
 リーシャ様の神々しい美しさをまだ写しきれて居ないのですわたくしは!
 どれだけ撮影しても究極の美のほんの一握りしか表現できておりません。まだまだ修行あるのみです」
 
「元からないのよそんなものは。本人が言うんだから間違いないわ。ダークの方がぶっちぎりで美形だと何度も言ってるでしょう?」
 
「そんな1人しか感じないマイノリティな意見は却下ですわ。わたくしは世界にリーシャ様の人間離れした女神のような美しさを示したいのです」
 
「女神はエロい小説もマンガも描かないわよ」
 
「……それは仕方がないのです。リーシャ様の溢れる才能の1つとして、俗世の煩悩をもなだめる癒し効果まであるのですから」
 
 ……やばいまた鳥肌が。このままでは土偶博物館みたいなアルバムになってしまう。
 
「……ダークを激写してくれなきゃ長期休暇与えるわよ」
 
「直ぐに撮影して参ります。騎士団での鍛練中の写真なども激アツかと思われますがいかがでしょうか?」
 
「そうよそれよ。分かってるじゃないの」
 
「恐れ入ります」
 
 などというやり取りがあったのだが、それはさておき。
 
 
 
「でな、我が町では『カメラコンテスト』というのを押しにすることになった。あれは絶対にこの先流行る。
 もっと庶民にも手に入る値段で本体も買えるようになる筈だ。つまりは伸びしろがあるって言う事だな」
 
 
 うん、知ってる。
 
 日本では何ちゃら映えとか言って写真を取りまくっているセミプロが大勢いたし。
 
「私も同感ですわ。ですが、それと私と何の関係が……」
 
「今回のテーマは自然と家族なんだ。
 で、私も参加するのだが、是非ともリーシャをモデルにしたいんだ」
 
 
 
 やですよお義父様ったら。
 だが断る。
 
 
 
 我がシャインベック家に暗雲が立ち込めて来た。
 
 
 
 
 
 
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