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レッツサバイバル!【6】
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各々ご飯をよそってやって来た隊員たちは、何故かお玉を持った私やクロエ、アナの前に長い列を作った。
ダークのところには10人も並んでいない。明らかに急いで食べたい派であろう。みんな身体が大きいし。
……んー、あれだな、お酒を注いでもらうならオッサンよりは女の方がいいという感じだな。
私もイケメンさんとジー様がお玉を持って待機してたらイケメンさんの方に行くから責められん。
別にイケメンがものすごく好きってわけじゃないんだけどな。ダークがイケメンというだけで。
しかしゾンビになりかけのヨレヨレな状態なのに、男性としての魂(ソウル)は死んでないのが凄い。
ルーシーは私と子供たちの背後でいつでもサポート出来るように控えている。
「お前ら、リーシャやアナとクロエが疲れるだろうが。均等に並べ!」
ダークの 一喝にも彼らは怯まず、
「俺たちは、この日をメモリアルデーにしたいんです!!滅多にある事じゃないんですよシャインベック夫人の料理を食べられるなんてっ!!」
「指揮官は毎日毎日、こぉんな夢見るような美しい奥様やお子さんたちに囲まれて食事したりしてるじゃないですか!
僕らにだってささやかな幸せをくれてもいいでしょう!」
「だが俺とリーシャは夫婦だから──」
「指揮官横暴~っ!!」
「そうだそうだ~っ!大人げないぞ~っ!!」
私は、大人げないのはお前らもだぞと突っ込みたくなったが、まあここでウダウダしていても仕方ない。
「アナ、クロエ、お兄さんたちにカレーを盛るの頑張ろうか?」
「「はいっ!」」
大人の手伝いをするのが楽しいお年頃である。元気な返事にちょっと笑ってしまった。
「ダーク、私たちは大丈夫よ。早くしないとカレーもご飯も冷めてしまうわ」
ダークの腕をポンポン、と叩くと、
「…………何て羨ましい……ボディタッチして貰えるなんて……」
と呟く声がした。
いや待て君たち。
妻が夫に触れただけだからね?これ別に普通だからね?と危うく返してしまいそうになり口をつぐんだ。
アイドルの握手会じゃねーだよセニョール。
しかしみんなのやつれようから見ても、かなり疲労が溜まっているようだ。
きっと心がささくれるほど疲れてるんだろう。
顔をしかめていたダークも、「大人げない」の一言にぐっ、と息を詰め、
「……それじゃカレー入れてもらったらすぐ下がれよ、後ろに並んでる奴らいるんだからな」
「「「了解しましたー!!」」」
返事がやたらと爽やかなゾンビ予備軍は、私やアナ、クロエがバターチキンカレーを盛り付けると、拝むように頭を下げて下がっていく。
ようやく皆に行き渡って、私たちも食べようとみんなの分を盛り付ける。
「いっただっきまーす!」
「おいしいねー!」
「鳥さんがまた美味しくていらっしゃる」
子供たちとはぐはぐと食べていると、胡座をかきながら貪るように食べていたゾンビもとい隊員さんたちが呻くような声を上げていた。
「くっそウメエ……」
「何だよ……料理上手で超絶美人で子供たちまで可憐とかイケメンとか……もげればいいのに……」
「だが指揮官は剣の腕も一流だし、俺らのような不細工な奴らにも平等に指導してくれるし、えこひいきもしないしさ、トップとしてはいい人なんだよな…………」
「ヒューイ副指揮官も面倒見よくて優しいしな…………」
「クソッ、何だよ、悔しいのに恨みきれないじゃねえかちくしょう!」
「俺たちもいつかシャインベック夫人のような見目麗しくて眩しい女神のような女性が現れるのかな……いや、別に普通の女性でいいけど愛してくれるなら」
「奇跡って、滅多に起きないから奇跡なんだぞ」
「だよな……それにしても間近で見ると噂以上の美しさだよな……俺の人生であんな綺麗な人、今まで見たことないわ」
「おれもおれも!」
「カレーの聖女さまだな」
「カレーの聖女……そうだ、神が俺たちにカレーの聖女をもたらしたんだ。これからも精進すればいつかまた現れるかも知れん」
「頑張ろうぜ」
「そうだ!やってやるぜ!」
……背後の方から聞こえる自分への要らん賛辞が辛い。どんな辱しめだろうか。
というか、カレーの聖女さまってなんだ。
パチもんのカレールーみたいな通り名を増やすな。
ダークのところには10人も並んでいない。明らかに急いで食べたい派であろう。みんな身体が大きいし。
……んー、あれだな、お酒を注いでもらうならオッサンよりは女の方がいいという感じだな。
私もイケメンさんとジー様がお玉を持って待機してたらイケメンさんの方に行くから責められん。
別にイケメンがものすごく好きってわけじゃないんだけどな。ダークがイケメンというだけで。
しかしゾンビになりかけのヨレヨレな状態なのに、男性としての魂(ソウル)は死んでないのが凄い。
ルーシーは私と子供たちの背後でいつでもサポート出来るように控えている。
「お前ら、リーシャやアナとクロエが疲れるだろうが。均等に並べ!」
ダークの 一喝にも彼らは怯まず、
「俺たちは、この日をメモリアルデーにしたいんです!!滅多にある事じゃないんですよシャインベック夫人の料理を食べられるなんてっ!!」
「指揮官は毎日毎日、こぉんな夢見るような美しい奥様やお子さんたちに囲まれて食事したりしてるじゃないですか!
僕らにだってささやかな幸せをくれてもいいでしょう!」
「だが俺とリーシャは夫婦だから──」
「指揮官横暴~っ!!」
「そうだそうだ~っ!大人げないぞ~っ!!」
私は、大人げないのはお前らもだぞと突っ込みたくなったが、まあここでウダウダしていても仕方ない。
「アナ、クロエ、お兄さんたちにカレーを盛るの頑張ろうか?」
「「はいっ!」」
大人の手伝いをするのが楽しいお年頃である。元気な返事にちょっと笑ってしまった。
「ダーク、私たちは大丈夫よ。早くしないとカレーもご飯も冷めてしまうわ」
ダークの腕をポンポン、と叩くと、
「…………何て羨ましい……ボディタッチして貰えるなんて……」
と呟く声がした。
いや待て君たち。
妻が夫に触れただけだからね?これ別に普通だからね?と危うく返してしまいそうになり口をつぐんだ。
アイドルの握手会じゃねーだよセニョール。
しかしみんなのやつれようから見ても、かなり疲労が溜まっているようだ。
きっと心がささくれるほど疲れてるんだろう。
顔をしかめていたダークも、「大人げない」の一言にぐっ、と息を詰め、
「……それじゃカレー入れてもらったらすぐ下がれよ、後ろに並んでる奴らいるんだからな」
「「「了解しましたー!!」」」
返事がやたらと爽やかなゾンビ予備軍は、私やアナ、クロエがバターチキンカレーを盛り付けると、拝むように頭を下げて下がっていく。
ようやく皆に行き渡って、私たちも食べようとみんなの分を盛り付ける。
「いっただっきまーす!」
「おいしいねー!」
「鳥さんがまた美味しくていらっしゃる」
子供たちとはぐはぐと食べていると、胡座をかきながら貪るように食べていたゾンビもとい隊員さんたちが呻くような声を上げていた。
「くっそウメエ……」
「何だよ……料理上手で超絶美人で子供たちまで可憐とかイケメンとか……もげればいいのに……」
「だが指揮官は剣の腕も一流だし、俺らのような不細工な奴らにも平等に指導してくれるし、えこひいきもしないしさ、トップとしてはいい人なんだよな…………」
「ヒューイ副指揮官も面倒見よくて優しいしな…………」
「クソッ、何だよ、悔しいのに恨みきれないじゃねえかちくしょう!」
「俺たちもいつかシャインベック夫人のような見目麗しくて眩しい女神のような女性が現れるのかな……いや、別に普通の女性でいいけど愛してくれるなら」
「奇跡って、滅多に起きないから奇跡なんだぞ」
「だよな……それにしても間近で見ると噂以上の美しさだよな……俺の人生であんな綺麗な人、今まで見たことないわ」
「おれもおれも!」
「カレーの聖女さまだな」
「カレーの聖女……そうだ、神が俺たちにカレーの聖女をもたらしたんだ。これからも精進すればいつかまた現れるかも知れん」
「頑張ろうぜ」
「そうだ!やってやるぜ!」
……背後の方から聞こえる自分への要らん賛辞が辛い。どんな辱しめだろうか。
というか、カレーの聖女さまってなんだ。
パチもんのカレールーみたいな通り名を増やすな。
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