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マーブルマーブル感謝祭【7】

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【大人競技】

◎大体100メートル走
◎大体100メートル×4リレー
★エキシビション
◎大玉転がし
◎障害物競走
◎綱引き
◎借り物競争

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


 今日は昨日の3倍を越える参加者+応援する家族や観客もいるので大賑わいで、出店では既にホットドッグや飲み物を売り始めていた。


「ちょっと出遅れたかしらね。見やすい場所が取れるといいのだけど」

 私はダークとちょっと慌ててトラックの周囲を見た。もうかなり沢山のラグマットが敷かれている。

 うーん、こりゃしくじったかな。
 またバラけて座るしかないかしらね。

 ウチのファミリーもかなり大所帯なので、場所の確保についてはもっとちゃんと考えておくべきだった。

 私が反省していると、


「リーシャさぁん、場所ありますよ~こっちこっち~」

 先ほどライリー殿下へ挨拶に行くと言って消えたジークライン王子の声がして、辺りをキョロキョロ見渡すと、確かに王子が立っているところには広々としたスペースが空いていて、しかもレースが見やすく私たちがまとめて座れそうなとてもいい場所だった。

 ジークライン王子やるわね~朝ご飯食べさせた甲斐があったわぁ、と笑顔になりかけて、慌てて見つからない素振りで背を向けた。

 見やすくない方がとっても嬉しいライリー殿下やナスターシャ妃殿下、さらには国王陛下や王妃様まで隣のエリアに当たり前に座っているのが、チラリと視界の隅に入ったからだ。

 本日絶対行きたくない場所ナンバーワンで嬉々として手招きしおって。
 何さらしとるんじゃあの王子は。
 帰れ帰れーもう国へ帰れー。


 私の動揺に、ダークやルーシーたちも危機を察知したのか、

「なあ、あそこなんかどうだろうか?」

 とわざとらしく指をさしたり、

「そうですわね!あの辺が少し高台になっていて見やすそうですわね」

 などとルーシーも棒読みで迎合しつつ、サリーやミルバの腕を掴んで同様に背を向けた。

「あれ?ジークさまのこえが」

 と周りを見ようとしたクロエを抱き上げ、

「気のせいじゃない?ほら、あっちの広場になってるところ、応援しやすそうでいいんじゃないかしら?」

 と強引に顔を向けさせた。

 そのまま気づかなかった体で歩き出した私たちの夢のセーフティゾーンへの退避は、ジークライン王子がご親切にも「聞こえなかったのかな?」と走ってこちらにやってきたお陰でぶち壊された。


 何度も何度も、何度も申し訳ないからと辞退して逃げようとしたのに、

「遠慮なんて僕たちの間柄ではなしにしましょう。ね、クロエ?」

「ジークさま、ありがとございます。かっこよくてやさしいです。とーさまみたい!」

 とかニギニギ手を握り合うバカップルのお陰でサラッと退路を断たれてしまった。

「申し訳ありません、それではお言葉に甘えまして………ほら、みんなも御礼をね(超意訳:てめえら今日は逃がさねえよ?)」

 と言うしかないではないか。

 みんなも諦めたのか、それぞれ頭を下げる。

 ばーかばーか。遠慮なんてしてる訳ないだろーが。本当にヤダなんだから気づけ。クロエに振られろー。ばかー。帰れー。

 私は心で悪態をつきまくりながら、みんなを引き連れて、王族倍々プッシュの魔のエリアに足を踏み入れるのだった。


◇  ◇  ◇


 大人競技は、成人した16歳以上の男女が参加するため、女子→男子の順でレースが分かれている。

 何故か女性もやたらと気合いの入った上下のジャージのように動きやすいスポーツ着の人たちが多い。

 そして、陽射しは暖かいものの、冬場なのにも関わらず、男性は半袖のTシャツ(それも体にピッタリフィットしたのが多い)に、動きやすいストレッチ素材のスポーティーなパンツ姿の人を多く見かける。

 確実に本気(ガチ)レベル。

 そして、間違いなく女性たちへの筋肉アピールも兼ねている。

 若い女性から妙齢の女性まで、密やかに熱い眼差しが注がれているのは、私の腐女子として培ってきた長年のヲタアイにはまるっとお見通しなのだ。

 何故なら私も魂(ソウル)がごうごうと萌え盛っているからである。


 仕事へ活かす為という大義名分を掲げ、ストレッチをしている男性を見つめる。

 騎士団の第三、第四部隊の参加者もかなりいるようだ。
 私にはとっても美貌の兄さんたちが、これまたとっても美しい筋肉を晒しながら身体をほぐしている姿は、眼福以外の何物でもない。

 まるで萌えの宝石箱やぁぁぁ、と前世の料理コメンテーター的な台詞が脳内を駆け巡り、私の低迷していた体力ゲージが一気に上昇する。

(あの赤毛の若い男性と、横の金髪の壮年の男性とのカップリングは如何ですか?)

(それも悪くないけど、あの茶髪の癖毛の子と武骨そうな横のおじ様との絡みも悪くないんじゃなあい?)

 ルーシーやフランも同じ思いなのか、こそこそと囁いてくる。

 王族軍団は、子供たちを愛でて楽しんでるので現状ほっといても問題はない。
 いつ萌え補充をするの。今でしょ。今!


 しかし非公式だからと言いながらもノリノリの国王陛下による開会の挨拶の後に、厳かに始まったはずの最初の競技、大体100メートル走。

 女性参加者の戦いは、何と言うか………その、デパートの歳末大売り出しの様相を呈していた。



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