土偶と呼ばれた女は異世界でオッサンを愛でる。R18

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ

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学習能力は大昔に遊びに行ったきりです。

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 幸いにも、商店街のおじさんおばさんたちは、町が賑やかになるのは大歓迎だそうで、翌日早速出掛けていったルーシーが、

「他でもないリーシャちゃんの頼みなら、と快く商店街の町会長さんから公園の使用許可は取れました。
 飲み物や軽食の屋台なども乗り気で、是非参加したい、との事でございました」

「まあ良かったわね!」


 ほんと良かった。


 地道だが商店街へ買い物に行く度に頑張って話しかけたりして、ヒッキーなりにもコミュニケーションを図った甲斐があったと言うものである。


 だが先ずは一段階クリアしただけだ、と自分の気を引き締める。


 成功例にしなくては、毎年の定期開催など夢のまた夢なのだ。


 そして、仕事を片付けてからの空き時間に延々と悩んでいた種目の件だが、どうしても前世の日本で生きていた時に、自分が実体験したものや見た記憶のあるものしか思い浮かばない。


 まあこちらの人は知らないんだし、楽しい事はどの国でもきっと楽しめるだろう。
 深く拘らないゆるくざっくりとした考え方が私の長所だ。
 多分長所だ。


 公園(と言っても遊具がある訳でもないだだっ広い芝生の空間である)を2日確保して、初日は子供、2日目は大人が競う事になる。

 そりゃ親だって、子供を応援する時は集中して応援したいだろう。もし自分も出場したいと考えているなら尚更である。

 未婚の人も、参加しなくても、小さな子供たちの競技を見てほのぼのとした気持ちになって、翌日、大人競技の闘いに集中出来るのではなかろうか。


 そして、ちょいちょい遊びに来ては夕食を食べて帰るようになったレイモンド王子にも、「こんなのを計画してましてね、へへへ」などと会話のネタにしたら、翌日にはライリー殿下とナスターシャ妃殿下の【参加許可証】と『開催支援準備金』という名目で、何やらまた大金が届けられた。


「だから頂いたオゼゼを減らそうとしてるんだってばYO!邪魔しないで欲しいんだYO!
  油断したらどんどん大事(おおごと)になってるじゃないのYO!」

 とレイモンド王子が帰った後に思わず逆ギレしてしまい、ダークとルーシーになだめられた。

「ほらリーシャ様、折角ですから町に還元すべく賞金も弾んで、お菓子も高級フルーツとかバターを使って、粉も一級品にして、普段滅多に食べられないようなタルトやケーキを作りましょう!ね?ね?
 なんなら参加賞としてクッキーなんかもワッサワッサ焼くのはどうでございますか?」

「そうだな。リーシャの作るお菓子は本当に美味いからな!甘いのが苦手だった俺でもリーシャの作るケーキやクッキーは普通に美味しく食べられるんだ。
 きっと、イチゴやチェリーなんかをふんだんに使ったケーキとか、すごく美味いんだろうなぁ。子供たちだって、絶対喜ぶんじゃないかなぁ!」

「……そうかしら?」

「勿論だ!俺はリーシャに嘘なんかついたことないだろう?」

「………うん、そうね………そうか。参加賞とか、優勝した時のケーキをうんと豪勢にするのはいい手よね。
 よおし、普段ならお高くて絶対手が出ないダークチェリーとか、キウイとか、スウィートラズベリーとか贅沢に沢山使っちゃおうかしらね、折角だし!」

「楽しみですわ!試作品が出来たら味見させて下さいませ」

「俺もだ」

 気分を持ち直した私は、2人に頷きながら、まだ完成していない競技種目の案をせっせと練るのだった。


 数日後。


 ルーシーやダークとその種目について説明しながら、最終的な競技種目を決定した。


【子供競技】

 大人も子供も、個人戦だけやるよりも紅白戦に分けた方が仲良くなれるし盛り上がるんじゃないかと言う事になった。

 子供たちには各優勝者から3位までにはお菓子がつく。参加賞としてクッキーを配る。


◎大体50メートル走
◎大体30メートル×4リレー
◎玉入れ
◎障害物競走
◎組みダンス


【大人競技】

◎大体100メートル走
◎大体100メートル×4リレー
◎大玉転がし
◎障害物競走
◎綱引き
◎借り物競争


 片付けもあるし、あまり盛り込みすぎると参加人数によっては1日で終わらなくなってしまうので、数時間で終われそうな競技数にした。

 進行状況によって、来年から種目を増やしてみてもいい。


 とりあえずダークは個人の力が問われる100メートル走と、面白そうなので借り物競争に出ると言う。
 種目も少ないんだから1つにしてと言ったら拗ねた。

「もし1つにして優勝出来なかったら、リーシャに合わせる顔がない」

 いや、でも借り物競争は、引いた紙の内容によるから運もあるわよ?と言うと、

「リーシャを嫁にした時点で俺には幸運の女神がついてる」

 と謎の持論を展開し、一歩も引かない。

 もし2つとも優勝出来なかったら、ダブルで合わせる顔がなくならないかしら?とからかうと、今気づいた、というようなショックを受けた顔をして、暫く考えた後に、

「………じゃ借り物競争だけにする」

 と妥協してくれた。


 子供たちは、リレーと組みダンスに出たいと言う。兄弟姉妹で4人だから丁度いいし、ダンスには自信があると得意気だ。

「分かってると思うけど、ノーふんばばよ?」

 みんなに念を押すと、ハッ!とした様子で俯いたが、それでも踊るのが好きだからちゃんと別の踊りを考える、と言うので認めた。

 どうせそんなに沢山の子供も出ないだろうし、サクラ代わりになるかも知れない。


 早速ポスターを作って、競技内容も図解で説明したものを載せてアチコチに貼ってもらった。

 開催は年末である。
 1か月半ほど先だ。

 知り合いの造園業者のおじさんにお願いして、芝生が生えておらず、利用者もほぼいない公園のはしっこのエリアにほぼ400メートルのトラックを描いて貰った。

 お菓子や賞金も出るし、物珍しいイベントだからか、かなり参加者も増えていると聞いた。

 カイルも学校で宣伝しているそうだ。
 ダークの方は、第3、第4部隊が大乗り気で、こそこそと体力作りを始める奴らも増えたと教えてくれた。

 皆さんが楽しめるといいなー、と思う。


 まぁ練習したりする時間も考えると少し周知期間が短いと思われるかも知れないが、どうせ初回は競技のお披露目みたいなものである。

 早めにやって、競技を知って慣れて貰えればいい。


 ※   ※   ※


「おみそしるおかわりおねがいします。それでですねリーシャおばさま、オレ………ワタシもそのリレーというのにでたいのです」

 昨日から泊まりに来ていたレイモンド王子がミルバにお椀を渡すと、もぎゅもぎゅとご飯を飲み込んでから口を開いた。

 皆で協力して勝ちを狙うというのが彼の心の琴線に触れたらしい。


 最初は緊張したが、人間慣れと言うものがある。今では使用人含め皆、言葉こそ丁寧だがレイモンド王子を王族として恭しく扱うのではなく、子供たちと仲良しのご近所の貴族の友達レベルでもてなしている。

 それにしてもよくご飯を食べる子よのぅ。

 王宮で接しているだけの頃は、線の細いしかめっ面の神経質な感じの子に見えたが、今では………表情筋については絶滅危惧種ではあるが、ごく普通の子に思える。

 しかし、何故我が家は表情筋の主張がか弱い人間ばかり集まるのだろうか。謎だ。


「出ればいいじゃありませんか。あ、卵焼き食べますか?今日は甘めの方ですけど」

「いただきます。ですが、ワタシにはともだちがカイルたちしかいないのです」

 あー、4人リレーだもんね。兄弟で出たらあぶれてしまうのね。

「なるほど………」

 さて、どうしたもんかと思っていると、クロエが、

「かーさま、とーさま、クロエははしるのにがてなの。だからたまいれにでたいです」

 だからレイモンド王子が代わりにリレーに出てくれると嬉しいと呟いた。

「そうか。じゃあクロエの分もオレががんばるからな!」

 レイモンド王子がご機嫌になるが、クロエは優しい子なので、きっと譲ったのだろう。

 いくら苦手な競技でも、ぼっちで違う競技に出たいと思う子がいる訳なかろう。

 その辺の思いやりがいつかレイモンド王子にも伝わってくれると、将来いい国王になるだろうな。

「………それはそうとリーシャ」

 ダークが、鮭の塩焼きの皮をぴろろ~っと剥がしてつまみながら、私を見た。

「あのな、うちの奴らが勝った時は賞金とお菓子をどちらか選ぶように出来ないか、と言うんだ。
 前にリーシャから貰ったクッキーやらマドレーヌがかなり美味しかったそうで、出来るならそちらの方が嬉しいと言う者もいる。勿論無理ならそう伝えるが」

 本当はイヤだけど、盛り上がるのは間違いないから、と呟くダークはまた無駄に可愛い。相変わらず老けないわねこの人。

「別に構わないけど、それなら商店街に手伝いをして貰える女性を頼んで、日持ちのするパウンドケーキとかも大量に作ろうかしら?」

 私はルーシーを見た。

「………その場合は『リーシャお手製』ではなく『リーシャレシピのお菓子』にしませんと、看板に偽りありになってしまいますわね」

「いや、同じ美味しいお菓子なら良くない?同じ作り方だもの」

「全く違うな」

「全然違いますわ」

「何でよ。まあお菓子作るのは好きだから、私が作った方がいいなら作るけど?」

「すみませんが、その方が抜群に盛り上がると思います」

「………だろうなぁ。悪いなリーシャ」

 作るだけなら大した手間でもないのに、なんで2人とも申し訳なさそうな顔をしてるのだろうか。

 せいぜい数10人の子供たちと100人前後の大人たちが食べる分なんて、まあ少し多いのは確かだけど大した事ないじゃない。



 などと大分呑気に構えていたが、最終的な参加者が、子供が300人近く、大人に至っては700人を超えたとルーシーから聞いて、ちょっとオイチャンになった事はダークには内緒である。

 

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