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足掻いてみせようホトトギス。
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あの恐るべきお茶会から二年が経った。
日々が過ぎるのは本当にあっという間である。
私も25、ダークも39になった。
カイルは6歳、ブレナン5歳、アナスタシアとクロエはそれぞれ3歳になった。
相変わらず神が匙加減を間違えたようなダークの美貌は、無駄に輝きを増しており、私にとってはイケオジというより美青年と言った方がしっくり来る。
全く年を取ってないように見えるのは、常に身体の鍛練を欠かさないせいなのだろうか。
私には目の毒でしかない腹筋や大胸筋などは、いつもつい撫で回してしまいたくなるほど見事なものである。
いい筋肉って触りたくなるのは仕方がないと思うのよ。自然の摂理と言うか。
………いや、マンガのポージングのデッサンもさせてもらってるし、実際撫で回しているのだけれど、本人は全く嫌がらないので妻の役得といったところだろうか。
ただ、やり過ぎるとフェロモンを撒き散らしてベッドに連れ込まれるのでなるべく控えるようにしている。
そして、アナとクロエが1歳を過ぎた頃から執筆業にも復帰したが、2年も休んでいた割に、未だに人気があって驚いた。
「リーシャ様ほどのクオリティが出せる方は、小説もマンガ業界でもそうそうおられませんから、少々休んだ位で人気が落ちることなどございません」
とルーシーが鼻の穴を広げる勢いで言っていたが、身内贔屓だと思っていたのに本当だったようだ。
そして、ライフワークにしようと思っていた長編『ヨーデルの流れ』を、思うところあって、ようやく先月終わらせた。
ライラはとても残念がっていたそうだが、ルーシーもダークも納得している。
そう、長編を書いていて未完のまま筆を置かざるを得ないような、不測の事態に陥るのを回避するためである。
これからは、薄い本一冊で終わるような作品しか書かないと決めたのは、アナとクロエに万が一の事があった場合のためであるが、億が一でもないことを祈りたい。
祈れば何とかなるものならいくらでも祈ろう。
◇ ◇ ◇
「「「「レイモンドさま、ごきげんよー」」」」
「………よくくるなおまえたち。ひまなのか」
「「「「じゃあかえりまーす」」」」
「まてまてまて。どうせきたんだ。
あそびにつきあってやってもいいぞ」
4歳になられたレイモンド王子はツンデレである。
が、今のところデレ要素は薄い。
ナスターシャ妃殿下に似て、キツネ目というか糸目の可愛い顔をしておられるのだが、いつも気難しい表情をしている。
せっかくの可愛い顔が台無しだが、別に機嫌が悪い訳ではない。これがデフォルトなのである。
最初はうちの子供たちと遊ぶのがイヤなのかと思い、これ幸いとフェードアウトを目論んだが、レイモンド王子が拒否したようで、毎月一度だった王宮への訪問も、なし崩し的に月に二度になり、現在は月に三度へと増やされてしまっている。
私とルーシーが引率者として、子供たちを連れて王宮までやって来て、1、2時間ほど話をしたり鬼ごっこをしたり、おやつを食べたりして、また連れ帰るのである。
簡単そうだと思うだろう。
私も最初はそう思ったのだ。
だが、甘かった。
ふと油断してると、ライリー殿下が仕事の合間にお茶を飲みにやってくる。
「近くまで来たから息子に会いに」
とナスターシャ妃殿下が庭に顔を出す。
国王陛下と王妃までが、
「孫の顔を見に」
現れるのだ。
わざわざ客来てる時に来なくても良くない?どうせ2時間もしないで帰るんだしさ。いつでも見れるし会えるでしょうよ。
ポロリだらけの芸能人水泳大会でもこんなにポロリしないだろう、と言うほどの王族ポロリ率である。
ルーシーも私も今日はいつ現れるか、それとも現れないのかと生きた心地がしないのだ。
そして、カイルやブレナンに笑顔で話しかけ、アナとクロエの拙い挨拶も嬉しそうに「小さいのにお利口さんだね」と頭を撫でたり、意味深な目配せを交わしたりする。
これがまた不安を煽られるのだ。
先日自宅でくつろいでいる時にルーシーが、前世で言うフローチャートのようなものを書いて見せてくれた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【アナスタシア様とクロエ様のドキドキ王族への道】
★王族の誰かから高い好感度を得る
(概ね高すぎる好感度clear!)
↓
★後継者との親密度アップ&幼馴染み発展
(clear!)
↓
★このまますくすく成長し、アナスタシア様とクロエ様以上の有望な婚約者候補が見つからない(もしくは見つけようとしない)可能性高まる
◆◆◆(イマココ)◆◆◆
↓
★レイモンド王子がよそのご令嬢になびかない限り、どちらかとめでたくご婚約
(その間に釣り合いを取るため旦那様に職務で伯爵位以上の功績を与える可能性アリ)
↓
★ご成婚=王族ルートへ
(リーシャ様引退の危機!!絶対回避)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「………………ルーシー、このルートだとレイモンド王子とよそのご令嬢くっつけないと、アナとクロエのどちらかで詰みだわね」
「正直申し上げて、アナスタシアお嬢様とクロエお嬢様を超えるレベルの美貌を誇る方は現時点でおられません。
その上性格も優しく、中身も極上となると………」
「いや、これから生まれる可能性もあるわよね?」
「リーシャ様を超える美貌などこの世に存在しませんので、どう奇跡が起きてもそこそこ止まりでございます」
「ちっ………なぜこの国は大和民族にとことん甘いのかしらね………小さな島国の風貌の希少性かしらね」
「そのやまと民族というのは存じ上げませんが、この国ではリーシャ様もお子様方も超希少な存在でございます」
「自宅で探偵団ごっこしてるようなアホな子たちなのだけどねえ………ってアナーーーっ!何でグラスの水を頭からかぶってるのーーっ、ってそのまま床に寝なーい!」
「いけでころされたのわたし。だからぬれてないとだめなの」
「濡れてる振りだけでいいじゃないのよ。風邪引くわよ」
「………かーさま、きょうはぼくがじけんをかいけつするひとなの。かっこいいの。
しょうこはあがってるぞ、はんにんはおまえだークロエ!」
ブレナンがペンでびしーっとクロエを指した。
「………だって、だってそのおんなにおっとがだまされてから、わたしたちのかぞくはバラバラになってしまったのよ。にくかったのよー」
棒読みの台詞に思わず笑いそうになったが、黙って見守る。
「………ちょっとクロエ、もうすこしかんじょうこめなさいよ。わたしがからだをはってころされてるんだから」
「ごめんねアナ。ちょっとはずかしくて………がんばる」
台詞を言い直すクロエをみつめ、
「くわしいはなしはきしだんのつめしょできこう」
とカイルが腰に紐を巻いて連れていく。
「きょうのじけんはこころがいたくなったが、つみをつぐなってかえりをまってるとごしゅじんからのでんごんだぜ」
「あなたーーーわあぁぁぁ」
子供たちの小芝居を眺めながら、
「………うちの子供たちって、申し訳ない位、私の血が入ってるわね」
とダークに土下座したい気持ちに襲われた。
「わたくしは毎日楽しくて宜しいのですが」
アナにタオルを渡したルーシーは、
「………あ、今ちょっといい考えが浮かびました」
と私に悪い笑顔を向けるのだった。
日々が過ぎるのは本当にあっという間である。
私も25、ダークも39になった。
カイルは6歳、ブレナン5歳、アナスタシアとクロエはそれぞれ3歳になった。
相変わらず神が匙加減を間違えたようなダークの美貌は、無駄に輝きを増しており、私にとってはイケオジというより美青年と言った方がしっくり来る。
全く年を取ってないように見えるのは、常に身体の鍛練を欠かさないせいなのだろうか。
私には目の毒でしかない腹筋や大胸筋などは、いつもつい撫で回してしまいたくなるほど見事なものである。
いい筋肉って触りたくなるのは仕方がないと思うのよ。自然の摂理と言うか。
………いや、マンガのポージングのデッサンもさせてもらってるし、実際撫で回しているのだけれど、本人は全く嫌がらないので妻の役得といったところだろうか。
ただ、やり過ぎるとフェロモンを撒き散らしてベッドに連れ込まれるのでなるべく控えるようにしている。
そして、アナとクロエが1歳を過ぎた頃から執筆業にも復帰したが、2年も休んでいた割に、未だに人気があって驚いた。
「リーシャ様ほどのクオリティが出せる方は、小説もマンガ業界でもそうそうおられませんから、少々休んだ位で人気が落ちることなどございません」
とルーシーが鼻の穴を広げる勢いで言っていたが、身内贔屓だと思っていたのに本当だったようだ。
そして、ライフワークにしようと思っていた長編『ヨーデルの流れ』を、思うところあって、ようやく先月終わらせた。
ライラはとても残念がっていたそうだが、ルーシーもダークも納得している。
そう、長編を書いていて未完のまま筆を置かざるを得ないような、不測の事態に陥るのを回避するためである。
これからは、薄い本一冊で終わるような作品しか書かないと決めたのは、アナとクロエに万が一の事があった場合のためであるが、億が一でもないことを祈りたい。
祈れば何とかなるものならいくらでも祈ろう。
◇ ◇ ◇
「「「「レイモンドさま、ごきげんよー」」」」
「………よくくるなおまえたち。ひまなのか」
「「「「じゃあかえりまーす」」」」
「まてまてまて。どうせきたんだ。
あそびにつきあってやってもいいぞ」
4歳になられたレイモンド王子はツンデレである。
が、今のところデレ要素は薄い。
ナスターシャ妃殿下に似て、キツネ目というか糸目の可愛い顔をしておられるのだが、いつも気難しい表情をしている。
せっかくの可愛い顔が台無しだが、別に機嫌が悪い訳ではない。これがデフォルトなのである。
最初はうちの子供たちと遊ぶのがイヤなのかと思い、これ幸いとフェードアウトを目論んだが、レイモンド王子が拒否したようで、毎月一度だった王宮への訪問も、なし崩し的に月に二度になり、現在は月に三度へと増やされてしまっている。
私とルーシーが引率者として、子供たちを連れて王宮までやって来て、1、2時間ほど話をしたり鬼ごっこをしたり、おやつを食べたりして、また連れ帰るのである。
簡単そうだと思うだろう。
私も最初はそう思ったのだ。
だが、甘かった。
ふと油断してると、ライリー殿下が仕事の合間にお茶を飲みにやってくる。
「近くまで来たから息子に会いに」
とナスターシャ妃殿下が庭に顔を出す。
国王陛下と王妃までが、
「孫の顔を見に」
現れるのだ。
わざわざ客来てる時に来なくても良くない?どうせ2時間もしないで帰るんだしさ。いつでも見れるし会えるでしょうよ。
ポロリだらけの芸能人水泳大会でもこんなにポロリしないだろう、と言うほどの王族ポロリ率である。
ルーシーも私も今日はいつ現れるか、それとも現れないのかと生きた心地がしないのだ。
そして、カイルやブレナンに笑顔で話しかけ、アナとクロエの拙い挨拶も嬉しそうに「小さいのにお利口さんだね」と頭を撫でたり、意味深な目配せを交わしたりする。
これがまた不安を煽られるのだ。
先日自宅でくつろいでいる時にルーシーが、前世で言うフローチャートのようなものを書いて見せてくれた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【アナスタシア様とクロエ様のドキドキ王族への道】
★王族の誰かから高い好感度を得る
(概ね高すぎる好感度clear!)
↓
★後継者との親密度アップ&幼馴染み発展
(clear!)
↓
★このまますくすく成長し、アナスタシア様とクロエ様以上の有望な婚約者候補が見つからない(もしくは見つけようとしない)可能性高まる
◆◆◆(イマココ)◆◆◆
↓
★レイモンド王子がよそのご令嬢になびかない限り、どちらかとめでたくご婚約
(その間に釣り合いを取るため旦那様に職務で伯爵位以上の功績を与える可能性アリ)
↓
★ご成婚=王族ルートへ
(リーシャ様引退の危機!!絶対回避)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「………………ルーシー、このルートだとレイモンド王子とよそのご令嬢くっつけないと、アナとクロエのどちらかで詰みだわね」
「正直申し上げて、アナスタシアお嬢様とクロエお嬢様を超えるレベルの美貌を誇る方は現時点でおられません。
その上性格も優しく、中身も極上となると………」
「いや、これから生まれる可能性もあるわよね?」
「リーシャ様を超える美貌などこの世に存在しませんので、どう奇跡が起きてもそこそこ止まりでございます」
「ちっ………なぜこの国は大和民族にとことん甘いのかしらね………小さな島国の風貌の希少性かしらね」
「そのやまと民族というのは存じ上げませんが、この国ではリーシャ様もお子様方も超希少な存在でございます」
「自宅で探偵団ごっこしてるようなアホな子たちなのだけどねえ………ってアナーーーっ!何でグラスの水を頭からかぶってるのーーっ、ってそのまま床に寝なーい!」
「いけでころされたのわたし。だからぬれてないとだめなの」
「濡れてる振りだけでいいじゃないのよ。風邪引くわよ」
「………かーさま、きょうはぼくがじけんをかいけつするひとなの。かっこいいの。
しょうこはあがってるぞ、はんにんはおまえだークロエ!」
ブレナンがペンでびしーっとクロエを指した。
「………だって、だってそのおんなにおっとがだまされてから、わたしたちのかぞくはバラバラになってしまったのよ。にくかったのよー」
棒読みの台詞に思わず笑いそうになったが、黙って見守る。
「………ちょっとクロエ、もうすこしかんじょうこめなさいよ。わたしがからだをはってころされてるんだから」
「ごめんねアナ。ちょっとはずかしくて………がんばる」
台詞を言い直すクロエをみつめ、
「くわしいはなしはきしだんのつめしょできこう」
とカイルが腰に紐を巻いて連れていく。
「きょうのじけんはこころがいたくなったが、つみをつぐなってかえりをまってるとごしゅじんからのでんごんだぜ」
「あなたーーーわあぁぁぁ」
子供たちの小芝居を眺めながら、
「………うちの子供たちって、申し訳ない位、私の血が入ってるわね」
とダークに土下座したい気持ちに襲われた。
「わたくしは毎日楽しくて宜しいのですが」
アナにタオルを渡したルーシーは、
「………あ、今ちょっといい考えが浮かびました」
と私に悪い笑顔を向けるのだった。
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