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即売会は即買会。
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「………少々出遅れたわね………」
「思っていたより出足が早うございましたね。
ですが、時間をかけただけあって『魔女っ子ペルリン』のコスプレ、とてもお似合いでございます」
「ルーシー、貴女の『旋律のノスタルジア』のアレクサンドラ王女も素晴らしい完成度ね」
「恐縮でございます」
「ああ、二人ともとても似合ってるしすごく可愛いと思う………しかしだな、俺までコスプレとやらをする必要はあったのだろうか?
その………並んでる人たちの8割方が普通の格好に見えるのだが」
ダークが恥ずかしそうに己の格好を見下ろした。
ダークの衣装はルーシー渾身の力作、お気に入り作家さんの大人気連載『遥かなる母国へ』の主人公、オーガスタである。
鍛えた身体に黒の軍服そして黒のマントがイケメン度を果てしなく上げている。
しかし、何故軍服制服と言うのは夜間のタクシー料金のようにぐいぐい男前度が割増になるのだろうか。
私の拝み指数も振り切れんばかりである。
「ダークがここまで黒の軍服が似合うとは………。でもね、あのマンガを読んだ時に、絶対ダークに似合うと思ったのよ。予想通りだったわ!」
「わたくしも頑張った甲斐がございました。………思ったよりお似合いになりますわ旦那様」
ルーシーの美醜に関する価値観はこの国の大多数の人と同じなので、決してダークを格好いいとかイケメンとは言わないが、そのルーシーが似合うと言う位である。
もう私などは鼻血と吐血が一気に押し寄せるレベルである。
「………なあ、俺は悪目立ちしてるんじゃないだろうか?」
入場待ちの列に並ぶと、あちこちからの視線を感じるようで、ダークが小声で私に聞いてくる。
「何を言ってるのよ、本当に素敵よダーク。惚れ直すわ!というよりもうこれ以上惚れるのは無理なぐらい」
「………そうか?リーシャが好んでくれるのなら頑張るが」
私はこそっと、
「お願いがあるの。
今夜は寝室で、その格好であの名台詞『ひるむな!迎え撃てぇぇ!!』って言ってくれる?
………いえやっぱりダメだわ自分の煩悩が抑えられる気がしない。いきなり押し倒して馬乗りになってマントや軍服のボタンをぶちぶち外してる変態痴女の姿しか想像できないわ。今のは忘れてちょうだーー」
「絶対にやる」
「いや、本当に無理。私の理性なんて信用したらダメだってば。ゴミよゴミ」
「何が何でもやる」
「………前々から気になってたんだけど、もしかしてダークは襲われたいタイプなの?」
「リーシャ限定だが」
「………真面目なダークをここまで堕落させてしまったのは私の腐った魂なのよね。
本当に申し訳ないと思ってるわ。責任を取って貴方と結婚する」
「もうしてる」
「あらそうだったわね。それじゃ、出会った頃の初々しいお付き合いに戻って手を繋ぐところからまたスタートしましょう。
きっと私の歪んだ影響を受けてない頃の真っ当な貴方に戻れるわ」
「リスタートは断固拒否する」
「頑ななんだから。この話は家に戻ってからまた改めて………あら、フランじゃない!」
私たちが不毛な言い争いをしていると、早歩きをしているフランを見つけ、手を振った。
「リーシャ!」
と嬉しそうに近寄ってきたフランは1ヶ月ぶりに会うが、相変わらずの和風美人である。
「まあ、ルーシーもダーク様もご一緒なのね!皆様なんてクオリティの高いコスプレかしら。
ペルリンにアレクサンドラにオーガスタなんて。リーシャ、貴女のペルリンは魔女と言うより聖女ばりのオーラが出てるわよ」
「ルーシーの衣装再現度が凄いのよ。
そう言うフランこそ、もしかして『悪役令嬢』のパトリシアでしょ?紫の縦ロールのウィッグなんてよく作れたわね」
「ありがとう。結構大変でね………ああ、どんどん列が出来てるわ。もっと話していたいけど私も並ばないと。後日お互いの戦利品でアツく感想を語り合いましょう!」
「分かったわ」
去っていくフランを見送ると、私はルーシーやダークと改めて購入ルート会議を始めるのだった。
そして、私とルーシーは、入場と同時に流れるような無駄のない動きでお目当ての本を全てゲットして、一時間とかからずにダークと待ち合わせをしているベンチへ向かったが、既にダークが待っていたのには少々驚いた。
「まさかダークの方が早いなんて………お目当ての本は全部買えたの?」
「………あぁ、まあな」
「じゃ、子供たちも待ってるし、早く帰りましょうか?」
「………おう」
リーシャたちと歩きながら、ダークが切ない目をしていたことには気づかなかった。
ダークは、なまじ誰でも分かるような完成度の高いコスプレをしたせいで人目を集めやすくなってしまい、そのキャラである高潔な性格のオーガスタが『やるわけがない』成人向けマンガの購入が一切出来なかったのである。
(次は絶対にコスプレはしない。目立たない格好で一冊でも入手してみせる!
そう!次回こそこの手に掴むのだ!)
ダークがそんな固い決意をしていたことなど私には知る由もなく、
(次回はダークと同じマンガのキャラで『合わせ』にしてもいいわねぇ………この世界にカメラがあったなら今日のダークも加納典●ばりに激写していたのに)
などと考えてにへらにへら不気味な笑いを浮かべているのだった。
そして、本当にダークが寝室であの台詞を言ったかについては、ノーコメントである。
「思っていたより出足が早うございましたね。
ですが、時間をかけただけあって『魔女っ子ペルリン』のコスプレ、とてもお似合いでございます」
「ルーシー、貴女の『旋律のノスタルジア』のアレクサンドラ王女も素晴らしい完成度ね」
「恐縮でございます」
「ああ、二人ともとても似合ってるしすごく可愛いと思う………しかしだな、俺までコスプレとやらをする必要はあったのだろうか?
その………並んでる人たちの8割方が普通の格好に見えるのだが」
ダークが恥ずかしそうに己の格好を見下ろした。
ダークの衣装はルーシー渾身の力作、お気に入り作家さんの大人気連載『遥かなる母国へ』の主人公、オーガスタである。
鍛えた身体に黒の軍服そして黒のマントがイケメン度を果てしなく上げている。
しかし、何故軍服制服と言うのは夜間のタクシー料金のようにぐいぐい男前度が割増になるのだろうか。
私の拝み指数も振り切れんばかりである。
「ダークがここまで黒の軍服が似合うとは………。でもね、あのマンガを読んだ時に、絶対ダークに似合うと思ったのよ。予想通りだったわ!」
「わたくしも頑張った甲斐がございました。………思ったよりお似合いになりますわ旦那様」
ルーシーの美醜に関する価値観はこの国の大多数の人と同じなので、決してダークを格好いいとかイケメンとは言わないが、そのルーシーが似合うと言う位である。
もう私などは鼻血と吐血が一気に押し寄せるレベルである。
「………なあ、俺は悪目立ちしてるんじゃないだろうか?」
入場待ちの列に並ぶと、あちこちからの視線を感じるようで、ダークが小声で私に聞いてくる。
「何を言ってるのよ、本当に素敵よダーク。惚れ直すわ!というよりもうこれ以上惚れるのは無理なぐらい」
「………そうか?リーシャが好んでくれるのなら頑張るが」
私はこそっと、
「お願いがあるの。
今夜は寝室で、その格好であの名台詞『ひるむな!迎え撃てぇぇ!!』って言ってくれる?
………いえやっぱりダメだわ自分の煩悩が抑えられる気がしない。いきなり押し倒して馬乗りになってマントや軍服のボタンをぶちぶち外してる変態痴女の姿しか想像できないわ。今のは忘れてちょうだーー」
「絶対にやる」
「いや、本当に無理。私の理性なんて信用したらダメだってば。ゴミよゴミ」
「何が何でもやる」
「………前々から気になってたんだけど、もしかしてダークは襲われたいタイプなの?」
「リーシャ限定だが」
「………真面目なダークをここまで堕落させてしまったのは私の腐った魂なのよね。
本当に申し訳ないと思ってるわ。責任を取って貴方と結婚する」
「もうしてる」
「あらそうだったわね。それじゃ、出会った頃の初々しいお付き合いに戻って手を繋ぐところからまたスタートしましょう。
きっと私の歪んだ影響を受けてない頃の真っ当な貴方に戻れるわ」
「リスタートは断固拒否する」
「頑ななんだから。この話は家に戻ってからまた改めて………あら、フランじゃない!」
私たちが不毛な言い争いをしていると、早歩きをしているフランを見つけ、手を振った。
「リーシャ!」
と嬉しそうに近寄ってきたフランは1ヶ月ぶりに会うが、相変わらずの和風美人である。
「まあ、ルーシーもダーク様もご一緒なのね!皆様なんてクオリティの高いコスプレかしら。
ペルリンにアレクサンドラにオーガスタなんて。リーシャ、貴女のペルリンは魔女と言うより聖女ばりのオーラが出てるわよ」
「ルーシーの衣装再現度が凄いのよ。
そう言うフランこそ、もしかして『悪役令嬢』のパトリシアでしょ?紫の縦ロールのウィッグなんてよく作れたわね」
「ありがとう。結構大変でね………ああ、どんどん列が出来てるわ。もっと話していたいけど私も並ばないと。後日お互いの戦利品でアツく感想を語り合いましょう!」
「分かったわ」
去っていくフランを見送ると、私はルーシーやダークと改めて購入ルート会議を始めるのだった。
そして、私とルーシーは、入場と同時に流れるような無駄のない動きでお目当ての本を全てゲットして、一時間とかからずにダークと待ち合わせをしているベンチへ向かったが、既にダークが待っていたのには少々驚いた。
「まさかダークの方が早いなんて………お目当ての本は全部買えたの?」
「………あぁ、まあな」
「じゃ、子供たちも待ってるし、早く帰りましょうか?」
「………おう」
リーシャたちと歩きながら、ダークが切ない目をしていたことには気づかなかった。
ダークは、なまじ誰でも分かるような完成度の高いコスプレをしたせいで人目を集めやすくなってしまい、そのキャラである高潔な性格のオーガスタが『やるわけがない』成人向けマンガの購入が一切出来なかったのである。
(次は絶対にコスプレはしない。目立たない格好で一冊でも入手してみせる!
そう!次回こそこの手に掴むのだ!)
ダークがそんな固い決意をしていたことなど私には知る由もなく、
(次回はダークと同じマンガのキャラで『合わせ』にしてもいいわねぇ………この世界にカメラがあったなら今日のダークも加納典●ばりに激写していたのに)
などと考えてにへらにへら不気味な笑いを浮かべているのだった。
そして、本当にダークが寝室であの台詞を言ったかについては、ノーコメントである。
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