浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第155話《またもや一触即発の鷲と鷹》

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「そ、総一郎君…?こんなところに突っ立ってどうしたの?コンテストの準備は?」
「準備はまだ時間があるから大丈夫だよ。ここでずっと待っていれば、コンテストを見に来るすずめと鉢会えると思ったんだけどbingoだったな。さ、早くこっちにおいで?」


総一郎の存在に戸惑う俺に対して、まるで仲違いなんて無かったかのように、平然と手をこちらに差し伸べる総一郎に身の毛がよだつ。

(怖っっ!こいつがやってる事って一歩間違えたらストーカーじゃないか!この流れで誰が行くか!!)


総一郎の考えている事が分からず、巧斗さんの腕にしがみついていた手が思わず強くなると、巧斗さんが一歩前に出て、一見穏やかな声で総一郎を窘めた。



「鷹崎さん、すずめはこれからしばらくの間、大事な予定があって貴方にお時間を割くのが難しいんです。もし何かご用があるのなら、また《年月》を改めてご隠居でもなさってからお話しされた方がゆっくり時間も取れて良いのではありませんか?」

「は?年月、だと…?貴様…あまり調子に乗るなよ…。貴様がそうやって必死こいて俺からすずめを遠ざけようと画策しているのは分かってるんだぞ…!!…いやまぁいい。貴様の事は後々潰すとして、今はすずめに用があるんだ。」



被服室の時の応酬のようにヒートアップしそうになった総一郎だが何とか怒りの感情を抑え、巧斗さんの後ろに隠れている俺を覗き込んで、ふっと微笑む。


「すずめ?どうして隠れてるんだ?__ああ、もしかしてこのα男とのやり取りでまた怖がらせてしまったかな?
…でもこのクズαは僕たちの仲違いを利用して君を僕から無理やり引き離して、外堀を埋めて自分の番にして囲おうとしている凶悪犯なんだ。それに対して僕が怒るのは正当な事なんだよ?」

「ええっ!いや、巧斗さんに限ってそれは流石に無いよ…。」


総一郎が突然あまりに突拍子もない事をつらつらと言い出したので、俺は慌てて否定した。

どうやら総一郎の頭の中では、巧斗さんが俺をあの手この手で手に入れようとする独占欲の強いαだと決めつけられているらしい。

確かに世の中のαにはそういう習性を持つ人が多いらしいけど、巧斗さんは紳士だし、そもそも(地位的にも物理的にも)雲の上の存在だからお相手なんて選び放題だし、俺の事はただ弟みたいな存在として守ってくれようとしているだけなのに…。


「おや、凶悪犯呼ばわりに《関しては》心外ですね。すずめ、彼の戯言に騙されてはいけませんよ?彼は少々嘘つきな所がありますから…。」
「う、うんそうだよね…。ごめんね巧斗さん。総一郎君、今頭に血が上って混乱しているみたいで滅茶苦茶な事を…。」


総一郎の勝手な妄想に対し、やんわりと否定する巧斗さんに、俺も申し訳なくなって代わりに謝った。

すると、巧斗さんは俺の頬を撫でながら、
「大丈夫。すずめさえ分かっていてくれればそれでいいのですよ。」
と、優しく微笑んでくれたので、ほっと胸を撫でおろす。



「っ!!鷲ノ宮…!!このたぬき野郎が…!!!ぶっ×してやる…!!!!」


と、ここで、俺が総一郎の代わりに巧斗さんに謝ったことが余程気にくわなかったのか、総一郎が巧斗さんに殺意を向けて殴りかかった。
そして、巧斗さんもそれに対して威嚇のフェロモンを出して応戦しようとしたので、さすがに俺も焦る。

(やばい…また大変な事になった…!なんでこの二人、会う度にこんなに喧嘩するんだ…?!)



「わわ…えっと…そ、そういえば総一郎君!!サプライズがあるって言ってたよね?!待ち遠しいから早く俺に教えて欲しいな??」


一触即発の雰囲気になったところで、とりあえず巧斗さんにこれ以上迷惑を掛けたくなかった俺は、一刻も早く総一郎の用事をすまそうと強引に話を進めた。

すると、総一郎は一旦怒りを鎮め、「!!全く、すずめはせっかちだなぁ。そんなに気になるなら今から見せてあげようね?」と、急にご機嫌になる。


(うるさいな…。お前からのプレゼントなんて気になる訳ないだろ。もう今更何貰っても嬉しくないぞ。…まぁ食べ物系だったらそれ自体に罪は無いし貰ってあげなくもないけど…。)

総一郎がゴソゴソと大きな持ち運びのケースを開けて高級そうな紙袋を取り出して俺に渡してくる。
巧斗さんはそれを止めようとしたが、俺としては一刻も早く総一郎の話を終わらせたかったので、手を伸ばしてそれを受け取った。


(はあ…どうせならあんこ入り和菓子とかであってくれ!)

ここまで振り回されたんだから、少しでも自分のメリットになるような贈り物が入っている事を願いながら袋に手を突っ込むと、何やら布状のものに手が触れる。



(…………。どう考えてもお菓子…じゃないな…。…なんだこれ。ドレス……???…なんで?)

そのままスッと袋から中のものを取り出すと、それは社交ダンス等で海外セレブが着るような煌びやか装飾が施されたスリットの入ったドレスだった。

「………???あっ、えっと…。これつばめへのプレゼント、だよね?」



暗にまさかこれを俺に着ろと言ってるんじゃないよな?という目を総一郎に向けると、奴は得意げに微笑んで「いや、すずめへのプレゼントだよ?」と否定してきた。
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