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第1章
第153話《総一郎の着信攻撃に静かにキレる巧斗さん》
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そうして俺たちはシマちゃんと別れ、メイド喫茶を完全に後にした。
相田君と合流する前に今の時間を確認しようとスマホを開くと、いつの間にか兄やつばめからメッセージが届いていたので、巧斗さんに断りを入れて、近くのベンチに座り、確認と返信をすることにした。
メッセージアプリを開くと妹からは
『すずめちゃ~ん❕やっほ~🎶鷲ノ宮さんとはうまくやってる~❓👀👀うちはね~、なんとだちょ君におデートに誘われて文化祭超エンジョイ中~❕🥰💗あ。デートに伴ってお兄ちゃんは一旦たこ焼き屋のキャプテンさんの所に預けてきたけど大丈夫そ?💋』
と、やたらテンション高めのメッセージが届いていた。
どうやら相田君にデートに誘われたのが余程嬉しいらしい。
(ふふ。相田君、つばめをお祭りデートに誘うって言ってたもんな。つばめが楽しそうで何よりだ。…お兄ちゃん的は全然だいじょばないかもしれないけど…。)
つばめもあの兄を嫁に迎える気満々のキャプテンさんに兄を預けるとはなんとも間の悪い…
(きっと今頃お兄ちゃんはキャプテンさんに迫られてしおしおなんだろうな…)とほんの少し憐れみながら兄からのメッセージを開くと、
『よお、すずめ。あの後鷹崎くんとはうまくやってるか?兄ちゃんは何故か今根田さん(※キャプテンさん)にまた抱っこされて、ひたすらたこ焼きをあーんされてるぜ…。…いやマジでどうしてこうなった?!』
と、キャプテンさんとのツーショット付きのメッセージが送られてきていた。
写真の中の兄はキャプテンさんにベンチの上でお姫様抱っこされてて、口もとに青のりがついている。
そしてその一方でキャプテンさんは俺達には見せない様なデレ顔で愛おしそうに兄のこめかみにキスを落としていた。
(…んん??……意外とこの二人、案外すぐにくっつきそうだな…?)
この写真だけ見たら、もう誰がどう見てもバカップルとしか思えないだろう。
キャプテンさんがドロドロに甘い眼差しを兄に向けているのはまぁ、当然分かるとして、兄の方も自分では気づいていないだろうが、彼を受け入れて満更でもなさそうな顔をしているのだ。
『どうしてこうなった!?』とか言ってるけど、兄は昔から好き嫌いがはっきりしていて、嫌いな人にはかなり高圧的なαらしい一面も持ち合わせていたはずだ。
なので本気でキャプテンさんの事をウザがっていたら、威嚇フェロモンを出して指一本自分に触れさせないだろう。
(そっかぁ~。妹だけじゃなくて兄にもとうとう春が…。喜ばしい事だけど、そうなるともしかしたら3兄妹の中で俺が一番結婚が遅くなるのでは?)
総一郎とは遅かれ早かれ復讐が終われば別れるつもりなので、また一から恋をして付き合って~となるとなんだか途方も無い話だ。
何故かそこで無意識に隣にいる巧斗さんの顔をちら、と見上げてしまい、目がバチっと合ってしまった。
「?どうしました?もうメッセージの返信が終わったんですか?」
ふっと優しく微笑まれ、どうしてかまた心臓がバクバクした俺は、『ま、まだ!ちょっと待って!』と慌てて二人への返事をぽちぽちと打ち込む。
妹には『巧斗さんとはうまくやってるよ。お兄ちゃんは…なんか全然大丈夫みたいだからコンテストギリギリまでデート楽しんで👍』と返して、
兄には『総一郎くんの事はうまいこといってるよ。俺の事は大丈夫だからキャプテンさんとたこ焼きデート楽しんで👍』と返しておいた。
…なんか返信二つともほぼ似たような文面になったけど、そもそも二人が似たような事を送ってきてたんだよなぁ。流石は兄妹だ。
(よし、兄と妹へのやり取りはこれでOKとして、問題は総一郎だよな…。)
おそらく総一郎からもアクションがきているのだろうが着信拒否と、メッセージの通知をオフにしているので、一見平和だ。
…一応、怖いもの見たさで迷惑電話の履歴を見ると、相変わらず凄まじい数の着信が来ていて一気にどん引く。
(あ~…やっぱり…。なんだか待ち合わせをすっぽかした時間帯に特に着信が集中してるな。家政婦扱いの俺がたかだかデートに行かなかっただけでこんな怒り狂ったみたいに連絡してくるなんて、なんともみみっちい奴だ。)
まぁ、俺も総一郎に約束すっぽかされたら多分同じ位キレると思うので、そこは似た者同士ってことか。
「さて!返信も終わったし、そろそろコンテストの控室に行かなきゃだね。」
それからスマホの画面を切った俺は総一郎の事を頭から払うようにぶんぶんと頭を振って、勢いよくベンチを立つ。
すると巧斗さんもそれに倣ってベンチを立ち、またいつものようにエスコートをしようと手を差し伸べてくる。
「ええ、そうですね。…ところで…例のカレから何か連絡が来ていましたか?」
「あっ、それは、えっと…すごい数の着信が来てたみたい…。」
つい先ほど巧斗さんには総一郎とのやり取りの事で隠し事はしない事にした俺は、ふいに図星をさされてギクっとしながらも正直に着信の事について話すと、巧斗さんは『ふむ…。』と呟きながら首を傾げた後、
「………すずめ、近いうちに電話番号を変えに行きましょうね?^^」
と、何故かまたどこか圧を感じるような綺麗で穏やかな笑顔で言いながら俺の頭を撫でた。
(いやそれはそれで、これからあいつらに復讐する上で不便だからちょっと困るんだけど…、なんだかこれ断れる雰囲気じゃないな…?)
相田君と合流する前に今の時間を確認しようとスマホを開くと、いつの間にか兄やつばめからメッセージが届いていたので、巧斗さんに断りを入れて、近くのベンチに座り、確認と返信をすることにした。
メッセージアプリを開くと妹からは
『すずめちゃ~ん❕やっほ~🎶鷲ノ宮さんとはうまくやってる~❓👀👀うちはね~、なんとだちょ君におデートに誘われて文化祭超エンジョイ中~❕🥰💗あ。デートに伴ってお兄ちゃんは一旦たこ焼き屋のキャプテンさんの所に預けてきたけど大丈夫そ?💋』
と、やたらテンション高めのメッセージが届いていた。
どうやら相田君にデートに誘われたのが余程嬉しいらしい。
(ふふ。相田君、つばめをお祭りデートに誘うって言ってたもんな。つばめが楽しそうで何よりだ。…お兄ちゃん的は全然だいじょばないかもしれないけど…。)
つばめもあの兄を嫁に迎える気満々のキャプテンさんに兄を預けるとはなんとも間の悪い…
(きっと今頃お兄ちゃんはキャプテンさんに迫られてしおしおなんだろうな…)とほんの少し憐れみながら兄からのメッセージを開くと、
『よお、すずめ。あの後鷹崎くんとはうまくやってるか?兄ちゃんは何故か今根田さん(※キャプテンさん)にまた抱っこされて、ひたすらたこ焼きをあーんされてるぜ…。…いやマジでどうしてこうなった?!』
と、キャプテンさんとのツーショット付きのメッセージが送られてきていた。
写真の中の兄はキャプテンさんにベンチの上でお姫様抱っこされてて、口もとに青のりがついている。
そしてその一方でキャプテンさんは俺達には見せない様なデレ顔で愛おしそうに兄のこめかみにキスを落としていた。
(…んん??……意外とこの二人、案外すぐにくっつきそうだな…?)
この写真だけ見たら、もう誰がどう見てもバカップルとしか思えないだろう。
キャプテンさんがドロドロに甘い眼差しを兄に向けているのはまぁ、当然分かるとして、兄の方も自分では気づいていないだろうが、彼を受け入れて満更でもなさそうな顔をしているのだ。
『どうしてこうなった!?』とか言ってるけど、兄は昔から好き嫌いがはっきりしていて、嫌いな人にはかなり高圧的なαらしい一面も持ち合わせていたはずだ。
なので本気でキャプテンさんの事をウザがっていたら、威嚇フェロモンを出して指一本自分に触れさせないだろう。
(そっかぁ~。妹だけじゃなくて兄にもとうとう春が…。喜ばしい事だけど、そうなるともしかしたら3兄妹の中で俺が一番結婚が遅くなるのでは?)
総一郎とは遅かれ早かれ復讐が終われば別れるつもりなので、また一から恋をして付き合って~となるとなんだか途方も無い話だ。
何故かそこで無意識に隣にいる巧斗さんの顔をちら、と見上げてしまい、目がバチっと合ってしまった。
「?どうしました?もうメッセージの返信が終わったんですか?」
ふっと優しく微笑まれ、どうしてかまた心臓がバクバクした俺は、『ま、まだ!ちょっと待って!』と慌てて二人への返事をぽちぽちと打ち込む。
妹には『巧斗さんとはうまくやってるよ。お兄ちゃんは…なんか全然大丈夫みたいだからコンテストギリギリまでデート楽しんで👍』と返して、
兄には『総一郎くんの事はうまいこといってるよ。俺の事は大丈夫だからキャプテンさんとたこ焼きデート楽しんで👍』と返しておいた。
…なんか返信二つともほぼ似たような文面になったけど、そもそも二人が似たような事を送ってきてたんだよなぁ。流石は兄妹だ。
(よし、兄と妹へのやり取りはこれでOKとして、問題は総一郎だよな…。)
おそらく総一郎からもアクションがきているのだろうが着信拒否と、メッセージの通知をオフにしているので、一見平和だ。
…一応、怖いもの見たさで迷惑電話の履歴を見ると、相変わらず凄まじい数の着信が来ていて一気にどん引く。
(あ~…やっぱり…。なんだか待ち合わせをすっぽかした時間帯に特に着信が集中してるな。家政婦扱いの俺がたかだかデートに行かなかっただけでこんな怒り狂ったみたいに連絡してくるなんて、なんともみみっちい奴だ。)
まぁ、俺も総一郎に約束すっぽかされたら多分同じ位キレると思うので、そこは似た者同士ってことか。
「さて!返信も終わったし、そろそろコンテストの控室に行かなきゃだね。」
それからスマホの画面を切った俺は総一郎の事を頭から払うようにぶんぶんと頭を振って、勢いよくベンチを立つ。
すると巧斗さんもそれに倣ってベンチを立ち、またいつものようにエスコートをしようと手を差し伸べてくる。
「ええ、そうですね。…ところで…例のカレから何か連絡が来ていましたか?」
「あっ、それは、えっと…すごい数の着信が来てたみたい…。」
つい先ほど巧斗さんには総一郎とのやり取りの事で隠し事はしない事にした俺は、ふいに図星をさされてギクっとしながらも正直に着信の事について話すと、巧斗さんは『ふむ…。』と呟きながら首を傾げた後、
「………すずめ、近いうちに電話番号を変えに行きましょうね?^^」
と、何故かまたどこか圧を感じるような綺麗で穏やかな笑顔で言いながら俺の頭を撫でた。
(いやそれはそれで、これからあいつらに復讐する上で不便だからちょっと困るんだけど…、なんだかこれ断れる雰囲気じゃないな…?)
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