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第1章

第147話《ひなと何やら確執があるらしいシマちゃん》

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「さてさて、楽しいお絵描きも終った事だし、僕たちもオムライスを食べよっか♬いっただきまぁす!」
「いただきます!」

やたら上機嫌のシマちゃんがパンと手を合わせていただきますをしたので、俺もそれに倣って手を合わせ、オムライスに手を付ける。

「わ~美味しいね!俺、この味付けすごい好みかも…!ね?巧斗さん!美味しいよね?……?巧斗さん?」


あまりに美味しいオムライスにテンションが上がって、隣にいる巧斗さんにも話を振ると、彼は目の前のケチャップまみれのオムライスを見つめては、すう~~と深呼吸して眉間を抑えていた。

(え…本当にどうしたんだろう。アメーバオムライス…やっぱり食べるの嫌だったりする…?)


「ぶふっw…あ~、すずめちゃん、鷲ノ宮さんは今自分と戦ってるみたいだからそっとしておいてあげて♬てか、それより僕と沢山お話しようよ~♪」
「う、うん…そうだね?えっと、じゃぁ、そうだ!オメコンの話なんだけど、今どんな感じ?順調?」

「勿論順調♡…って言いたい所だけど、朝のリハーサルで急に最終審査について予定変更だって言われちゃってさぁ。やんなっちゃうよねぇホント。」

シマちゃんの言う通りに巧斗さんの事は一旦置いておいて、話題をオメコンに切り替えて聞いてみると、シマちゃんは肩をすくめ、頬をふくらませながら愚痴をこぼした。


「!ああ…やっぱり…?」
「?やっぱりって、事はすずめちゃんもこうなることを予想してたの?」


俺の反応が薄いことにシマちゃんが、首を傾げながらきょとんとした顔でこちらを見てくる。

「まあ、ミスターコンの方でも突然のルール変更があったらしいからね…。なんでも採点基準が変わるんだって。どうせオメコンもそんな感じでしょ?」

「ん~採点基準かぁ。それだけだったらまだよかったんだけど、こっちはコンテストのお題ごと変わっちゃったんだよねぇ。」
「ええ!?お題変更…??!それってかなり酷くない?皆最終審査に向けて準備してたのに…」

予想外に酷い変更内容に俺は目を丸くした。
最終審査当日にまさかのお題変更…こんなことをされては、他の参加者もたまったものじゃないだろう。


「そうなんだよ~!僕だって準備バッチリだったのに、急にスポンサーの手先みたいな奴がヘラヘラとやってきて、
『今回は優勝賞品が超有名芸能事務所のスカウトだと言う事で、急ではありますが芸能に関係のあるお題に替えたいと思いま~す!!』
…だとかなんとかふざけた事を抜かやがっ…抜かしちゃってさ…。酷いよね!?」

シマちゃんはぷくっと頬をふくらませ、怒りを滲ませた声を漏らす。


「うん…でも、そんな事したら今から準備出来ない出場者もいるよね…?そうなったらもうコンテストとして破綻しちゃうし、ブーイングが怒るんじゃないかな?」

「そう思うでしょ~?でも、新しいお題が『【アドリブ】演技力対決!!』だなんて言われたら中々文句も言えないよね…。まぁ実際スポンサーの手先の胸倉ひっ掴んでハチャメチャに言ったんだけどさ。」

(言ったんだ…。)
流石はシマちゃんだ。あの権力の犬なダメ司会者を一瞬でも従わせただけのことはある。


「全く…元々の最終審査のお題は僕の得意な『お料理対決♡』だったのに…あれ絶対ひなちゃんへの忖度だよねぇ。あの子全然料理出来ないし…。」
「まぁ俺もそう思う…。ってなんでひなちゃんが料理出来ない事知ってるの?!」


当然のようにひなが料理下手な事を知っているシマちゃんに思わず大声で質問してしまう。
(やっぱり、ひなとシマちゃんって、元々知り合いだったのか?)

思えば、ひなはシマちゃんの事を先輩だの年増だのと言っていたし、シマちゃんのひなに対する謎の憎悪も気になっていたところだ。


「そりゃ知ってるよ~。だって去年まであの子と一緒のサークルに入ってたんだもん。ま、《何故か》今年になって突然テニサーのマネージャーになったらしいけど?」
「え!そうだったんだ?知らなかった…。…それで一緒のサークルの時はどんな感じだったの??」


俺が興味津々な目でオムライスを食べる手を止めると、シマちゃんはむすくれた顔で忌々し気にひなとの確執について話し始めた。
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