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第1章
第144話《口説きモードの巧斗さんと寝たふりシマちゃん》
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そう言いながら巧斗さんは、俺の頬に手を当ててじっとこちらの顔を伺ってくる。
(巧斗さん…、巻き込まれた立場だというのに俺を気遣ってくれるだなんて、本当に大人だな…。)
「あ、ありがとう…、巧斗さんがいてくれるだけですごく心強いよ。…それと、俺が勝手に総一郎君の待ち合わせをすっぽかしたせいで、変に巻き込んじゃってごめんね…。」
「…いえ、すっぽかしに関しては俺は逆に嬉しかったですけどね…?正直、さっきはすずめがいつの間にか鷹崎さんと待ち合わせの約束をしていたのを知って、一瞬頭が真っ白になりましたから。」
(う…。やっぱり巧斗さん、俺が勝手に総一郎の誘いに『行けたら行くよ』って返信した事をあまる良く思ってなかったんだ。)
そりゃ、巧斗さんは巧斗さんで親切心で俺を守ってくれたり、協力してくれているんだから、せめて報連相くらいはちゃんとしなきゃだよな。
「ごめん巧斗さん!黙って行動しちゃって心配かけたよね?これからはちゃんと総一郎君から接触されたら報告するね。」
「?それは、ありがたいですが…そうではなくて、ね_?」
巧斗さんが俺の髪を軽くかき上げジッと俺の顔を極上の美しさを誇る眼で見つめてくる。
(…っ!なんだかこの人にこんな風に見つめられると、まるで口説かれているような錯覚に陥って心臓に悪い…!!…というか、シマちゃんさっきから無言だけど、どうしたんだろ…?)
巧斗さんにそんなつもりは一切無いのだろうが、こっちの気持ちの問題で妙な雰囲気になってしまい、助けを求めるようにシマちゃんに視線を送ると、さっきから俺の肩にもたれかかっているシマちゃんは、
「ずー。ずー。むにゃ。続きをドウゾ…。ずー。ずー。」
等と寝言といびきを織り交ぜながらぐっすり寝ていた。
(ええー?!ちょっとシマちゃん?!そんなわざとらしい寝言ある??)
まぁシマちゃんも色々あって、本当に疲れて寝ているのかもしれないと思った俺はそっと上着をシマちゃんにかけようとすると、丁度そのタイミングで厨房からメイドさんがオムライスを3つ運んできた。
「お待たせいたしましたご主人様♬こちら当店自慢の猫耳メイドのお絵描きおむらいちゅでございます!」
(!!メイドさん!た、助かった…!)
その場の空気を跳ね飛ばすような溌剌とした元気な声でやってきたメイドさんに、ほっと胸を撫でおろすと、巧斗さんはスッと俺から離れ、俺の肩で眠っていたシマちゃんもあくびをしながら覚醒したようだ。
「…おや。これは美味しそうなオムライスが来ましたね…。」
「チッ。ふあ…?わ~やった!オムライス~!お絵描きは僕がするからね♬まずはすずめちゃんのお皿から描くにゃん♡」
いつの間にか、猫耳を装着したシマちゃんは料理を運んできたメイドさんからケチャップを受け取り、俺の目の前のオムライスに大きいハートを描いてくれた。
流石本職のメイドさん(※文化祭期間限定)なだけあって、とても綺麗に描けている。
「わぁ、シマちゃんありがとう!ハートすっごい上手だね!」
「えへへ。シマにゃんからすずめちゃんにBIGな愛をプレゼントだにゃん♡」
それからシマちゃんは、次に巧斗さんのオムライスに絵を描こうとしたところで、「あっ!そうだ!」と声をあげてケチャップを俺に手渡してきた。
「いい事思いついた!折角だから皆でメイドさんになりきって、ハートを描き合いっこしようよ~!僕からすずめちゃんに描いたから、今度はすずめちゃんから鷲ノ宮さんにハートを描くの♪面白そうでしょ?」
「えっ俺が巧斗さんに?!」
「!それは、ナイスアイデアですね。とても面白そうです。」
突然のシマちゃんの提案に戸惑っていると、何故か巧斗さんが乗り気になってしまった。
(お、面白いかな…?巧斗さん、意外とこういう遊び好きなのか?)
(巧斗さん…、巻き込まれた立場だというのに俺を気遣ってくれるだなんて、本当に大人だな…。)
「あ、ありがとう…、巧斗さんがいてくれるだけですごく心強いよ。…それと、俺が勝手に総一郎君の待ち合わせをすっぽかしたせいで、変に巻き込んじゃってごめんね…。」
「…いえ、すっぽかしに関しては俺は逆に嬉しかったですけどね…?正直、さっきはすずめがいつの間にか鷹崎さんと待ち合わせの約束をしていたのを知って、一瞬頭が真っ白になりましたから。」
(う…。やっぱり巧斗さん、俺が勝手に総一郎の誘いに『行けたら行くよ』って返信した事をあまる良く思ってなかったんだ。)
そりゃ、巧斗さんは巧斗さんで親切心で俺を守ってくれたり、協力してくれているんだから、せめて報連相くらいはちゃんとしなきゃだよな。
「ごめん巧斗さん!黙って行動しちゃって心配かけたよね?これからはちゃんと総一郎君から接触されたら報告するね。」
「?それは、ありがたいですが…そうではなくて、ね_?」
巧斗さんが俺の髪を軽くかき上げジッと俺の顔を極上の美しさを誇る眼で見つめてくる。
(…っ!なんだかこの人にこんな風に見つめられると、まるで口説かれているような錯覚に陥って心臓に悪い…!!…というか、シマちゃんさっきから無言だけど、どうしたんだろ…?)
巧斗さんにそんなつもりは一切無いのだろうが、こっちの気持ちの問題で妙な雰囲気になってしまい、助けを求めるようにシマちゃんに視線を送ると、さっきから俺の肩にもたれかかっているシマちゃんは、
「ずー。ずー。むにゃ。続きをドウゾ…。ずー。ずー。」
等と寝言といびきを織り交ぜながらぐっすり寝ていた。
(ええー?!ちょっとシマちゃん?!そんなわざとらしい寝言ある??)
まぁシマちゃんも色々あって、本当に疲れて寝ているのかもしれないと思った俺はそっと上着をシマちゃんにかけようとすると、丁度そのタイミングで厨房からメイドさんがオムライスを3つ運んできた。
「お待たせいたしましたご主人様♬こちら当店自慢の猫耳メイドのお絵描きおむらいちゅでございます!」
(!!メイドさん!た、助かった…!)
その場の空気を跳ね飛ばすような溌剌とした元気な声でやってきたメイドさんに、ほっと胸を撫でおろすと、巧斗さんはスッと俺から離れ、俺の肩で眠っていたシマちゃんもあくびをしながら覚醒したようだ。
「…おや。これは美味しそうなオムライスが来ましたね…。」
「チッ。ふあ…?わ~やった!オムライス~!お絵描きは僕がするからね♬まずはすずめちゃんのお皿から描くにゃん♡」
いつの間にか、猫耳を装着したシマちゃんは料理を運んできたメイドさんからケチャップを受け取り、俺の目の前のオムライスに大きいハートを描いてくれた。
流石本職のメイドさん(※文化祭期間限定)なだけあって、とても綺麗に描けている。
「わぁ、シマちゃんありがとう!ハートすっごい上手だね!」
「えへへ。シマにゃんからすずめちゃんにBIGな愛をプレゼントだにゃん♡」
それからシマちゃんは、次に巧斗さんのオムライスに絵を描こうとしたところで、「あっ!そうだ!」と声をあげてケチャップを俺に手渡してきた。
「いい事思いついた!折角だから皆でメイドさんになりきって、ハートを描き合いっこしようよ~!僕からすずめちゃんに描いたから、今度はすずめちゃんから鷲ノ宮さんにハートを描くの♪面白そうでしょ?」
「えっ俺が巧斗さんに?!」
「!それは、ナイスアイデアですね。とても面白そうです。」
突然のシマちゃんの提案に戸惑っていると、何故か巧斗さんが乗り気になってしまった。
(お、面白いかな…?巧斗さん、意外とこういう遊び好きなのか?)
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