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第1章

第141話《シマちゃんと巧斗さんの謎のマウント?合戦》

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メイド喫茶は満員だったが、俺たちが到着したタイミングでちょうど1席空いた。そこに向かうと、猫耳メイド姿のシマちゃんがすぐに駆け寄ってきた。

「あっ、シマちゃん!こんにちは。」
「いらっしゃいませ♪ すずめちゃん♬ も~、待ちくたびれちゃったよ~!っと…?隣の素敵な佇まいのお方は?」

俺は少し緊張しながら、シマちゃんの期待に満ちた視線を感じつつ、隣にいる友人を紹介した。

「あ、この人は巧斗さんって言って、俺の――」

意気揚々とシマちゃんに巧斗さんの事を説明しようとしたところで、言いよどむ。

そういえば人に紹介する時、巧斗さんの事をなんと言えばいいんだ?

友達…とはまた違うし、彼氏は不本意ながらまだ総一郎のままだし(※まぁ、総一郎の存在が無くても巧斗さんが俺を選ぶ事は無いと思うけど)、ただの知り合いっていうには何故だかすごく抵抗がある…。

(う~ん、関係性を表す言葉が中々思いつかないな。でもまぁ、強いて言うなら…)


「えっと…だ、大事な人…かな?」

「「!!!!」」


ちょっと独特な言い回しかもしれないけど、これ以外に良いようが思いつかないんだよな。


でも、巧斗さんとシマちゃんの目を限界まで見開いたような表情を見るに、どうやら失言?したっぽい__?

(というか、よくよく考えたら俺、すごいこっ恥ずかしい事言ってないか?!)


思わず顔が真っ赤になって、慌てて訂正しようと口を開きかけたその時、巧斗さんが俺に恥をかかせないようにしようとしたのか、俺の言葉に乗っかって晴れやかな笑顔で自己紹介を始めた。


「はじめまして。鷲ノ宮巧斗と申します。すずめとは大変親密にさせていただいております。どうぞよろしくお願いします。」


彼の自己紹介にシマちゃんは大きな目を零れんばかりにぱちくりさせた後、巧斗さん同様に、にっこりと笑って自己紹介を返した。


「…これはどうもご丁寧に~!僕はすずめちゃんと《一番》親密にさせてもらってる江永シマです♪江永さんって呼んでね♪どうぞそこにおかけください~。」


最初は可愛らしいメイドさんみたいな口調だったのに、途中から面接官みたいな言い回しで空いてる席に俺達が座るように促した。

そして、キッチンの方へ向かって「江永、休憩入りまぁ~す!」と大声で知らせると、俺たちの前にあるテーブルを挟んで向かい側の席に腰を下ろし、面接官のように肘をついて、指を組んだ手に顎を乗せながら質問を投げかけてきた。


「えへへ、色々話したすぎて休憩とっちゃった♪なーんか傍から見てて仲良しな雰囲気だけど、二人っていつ頃出会ったの~??」

「え、昨日…かな?」
「存在を認知したのはもっと前ですが。初めて会話したのは昨日が初めてですね。」

「そっかぁ昨日…割と最近知り合ったばかりなんだね。あっ。ちなみに僕とすずめちゃんの出会いは《一昨日》なんだけどね?」

友達に変な嘘はつきたくないので素直に話すと、
シマちゃんは何故かドヤ顔で《一昨日》の部分を強調して、ふんす、と鼻を鳴らす。


「まぁ大事なのは、どれだけ濃厚な時間を過ごしたか、ですけどね。」
「の、濃厚…?あーね?ノウコウね??そういえば、僕もすずめちゃんとはドラマティックな出会い方したし、昨日なんかハグとちゅーもしちゃったもんね???」


巧斗さんとシマちゃんが二人して笑顔で圧?的なものを掛け合っているのを見て、俺は何だか間に挟まれた気分になって戸惑う。

(あれ??なんだかこの二人、相性が悪い…?)


「キス…?……。それはどこに…?まさか口ではありませんよね?」
「いや…あはは。あれはコンテストの審査に必要だったからで、軽く手にしただけだよ。」

「あっ!もう、すずめちゃん~!バラしちゃダメでしょ!僕と鷲ノ宮さんはすずめちゃんの大親友の座をどっちが取るかの戦いをしてるんだから!」


巧斗さんが、総一郎を差し置いて俺とシマちゃんも実は恋愛関係で浮気しているのかと疑い掛けた?気配がしたので、一応釈明をしておくと、シマちゃんが頬を膨らませて怒ってきた。


「……ん?大親友の座?なんの事ですか?それは…?」


すると巧斗さんが先ほどまで張り詰めていた表情をスッと和らげて戸惑いの声をあげたのだった。
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