107 / 169
第1章
第107話《ふわふわ毛布に籠城するすずめに悶えるタクト》
しおりを挟む
衝撃のカミングアウトの後、ついさっきあの鷲田タクトさんに夢の中だからといって我儘を言いまくった事を思い出して、悶えに悶えまくった。
(~~!もうやだ。穴があったら入りたい……!…って、いや待て。今の状況は現実にしてもさっきの鷲田さんとやり取りは夢だった可能性があるよな…!?)
俺は万が一の可能性に賭けようと、往生際悪く、サッとポケットからスマホを取り出し写真フォルダを開く。
(さっきの出来事が現実ならここに、鷲田さんと二人で撮った写真があるはずだ。)
ツイツイと未だ慣れない新しいスマホを操作してファルダを見てみると、そこには見事に鷲田さんに俺が抱き着いて甘えている写真が見つかり、余計に数倍のダメージが入った。
「うわああぁぁぁ!やっぱり夢じゃなかったんだ…!」
(最っ悪だ…!あの国民的俳優にかわいいって言うように要求したり抱っこを強制したり…めちゃくちゃに調子に乗っちゃったぞ…?!ああ、俺もう、巧斗さんの顔見れない…!)
パニックになって、あまりの恥ずかしさに耐えられなくなった俺は、リビングに駆け込んで咄嗟に寝ている間俺に被せてあったラビットファーのふわふわの毛布にくるまって籠城してしまう。
その後、俺を追ってリビングに戻ってきた巧斗さんが、そんな俺の様子を見て何故か顔を両手で抑え俺と同じようも身悶え始めた。
「すずめ?どうしましt……!!!あああ、かわいい…!なんですかこのうさぎさんは…。まさか、巣作り…ではないですよね……。とりあえず写真を撮ってもいいですか??」
「な?!だ、駄目―!!」
とんでもない事を言い出す巧斗さんに、俺は更にぎゅっと毛布を掴んで潜りこんで体をプルプルさせる。
「ああ…、もう…君がかわいすぎて、脳が溶けそうですよ…。」
それからというもの、巧斗さんは、毛布に包まってミノムシのように縮こまった俺の背中を、『大丈夫ですよ。』と、毛布ごと優しく撫でながらなだめてくれて、そのおかげで10分程経ってようやっと落ち着くことができた。
「…巧斗さん…。さっきは我儘ばかり言って馴れ馴れしくしちゃって本当にごめんなさい…。鷲田タクトさんが何故かこのリビングに居て、俺に膝枕してたから…てっきり夢かと思って…どうかしてた…。」
「そんな、とんでもない!あれはむしろ俺の方が美味しい思いをさせてもらって、感謝したいくらいなのに。」
冷静さを取り戻し、やっとまともに話せるようになった俺の様子を見て、
巧斗さんは微笑みながらそっと手を差し伸べてくる。
「すずめ。そろそろ毛布を取っても大丈夫ですか?」
耳元で優しく囁いてきた巧斗さんに、俺は思わずドキドキしながらこくんと何も言わずに頷く。
すると巧斗さんは、ラビットファーのふわふわ素材なので激しく剥いでも怪我をさせる心配は無いというのに、そっと壊れ物を扱うかのように毛布を剥ぎ取ってくれた。
「流石に朝まで毛布一枚だと風邪ひきますから、寝室へ案内させてくださいね?あ、お腹は空いてませんか?」
「!それは…空いてる、かも…。」
流石に昼食と夕食抜きはきついものがあるので、素直に空腹を打ち明けると、丁度いいタイミングで俺のお腹の音もぐるるる…と鳴った。
「ふふ、じゃあ今日はもう夜も遅いし、デリバリーでも頼みましょうか。すずめはどういうものが食べたい?」
「あ…えっと、じゃあ軽食がいいかな。」
本当はお腹も空いてるし、がっつりとしたお肉でも食べたいところだけど、それをこの人に言ってしまったら最後、お高そうな和牛肉を頼んでしまいそうなので差し控える。
「軽食でいいんですか?分かりました。それなら、少しでもスタミナをつけるためにもハンバーガーなんていかがです?」
「!ハンバーガー!食べたい!」
巧斗さんの丁度いい食べ物の提案に俺はぱぁっと目を輝かせる。
値段が比較的安価になりやすいジャンクフードの提案は本当にありがたい。
俺の反応に巧斗さんは『決まりですね。』と、笑顔で頷き、早速デリバリーに電話をかける。
「もしもし、1190号室の鷲ノ宮です。ハンバーガーとポテトを二つずつお願いできますか?」
注文をする電話の奥で、『かしこまりました…!すぐにでもお持ちいたします!!!』と、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
(…ん?今の声って…このマンションのオーナーさん?)
こういうのって普通、オーナーじゃなくて、コンシェルジュとかデリバリーを請け負っている所のスタッフさんが対応するものでは…?
少しだけ嫌な予感がしながらもデリバリーを待っていると、やはりこのマンションのオーナーさんがワゴンに高級料理でしか見ない銀色のドーム形の蓋(クローシュというらしい)が被せられた料理を乗せて運んできた。
「お待たせいたしました!こちらA5ランク黒毛和牛100%のハンバーグをふんだんに挟んだハンバーガーに、最高級の皮つき男爵芋を極上オリーブオイルでカラッと揚げたフライドポテトになります…!」
(????軽食とは…?)
こうなると思って軽食が食べたいと進言したのに、まさかお肉が食べたいと言わなくても、和牛を頼んでしまうとは…流石巧斗さんだ…。
(~~!もうやだ。穴があったら入りたい……!…って、いや待て。今の状況は現実にしてもさっきの鷲田さんとやり取りは夢だった可能性があるよな…!?)
俺は万が一の可能性に賭けようと、往生際悪く、サッとポケットからスマホを取り出し写真フォルダを開く。
(さっきの出来事が現実ならここに、鷲田さんと二人で撮った写真があるはずだ。)
ツイツイと未だ慣れない新しいスマホを操作してファルダを見てみると、そこには見事に鷲田さんに俺が抱き着いて甘えている写真が見つかり、余計に数倍のダメージが入った。
「うわああぁぁぁ!やっぱり夢じゃなかったんだ…!」
(最っ悪だ…!あの国民的俳優にかわいいって言うように要求したり抱っこを強制したり…めちゃくちゃに調子に乗っちゃったぞ…?!ああ、俺もう、巧斗さんの顔見れない…!)
パニックになって、あまりの恥ずかしさに耐えられなくなった俺は、リビングに駆け込んで咄嗟に寝ている間俺に被せてあったラビットファーのふわふわの毛布にくるまって籠城してしまう。
その後、俺を追ってリビングに戻ってきた巧斗さんが、そんな俺の様子を見て何故か顔を両手で抑え俺と同じようも身悶え始めた。
「すずめ?どうしましt……!!!あああ、かわいい…!なんですかこのうさぎさんは…。まさか、巣作り…ではないですよね……。とりあえず写真を撮ってもいいですか??」
「な?!だ、駄目―!!」
とんでもない事を言い出す巧斗さんに、俺は更にぎゅっと毛布を掴んで潜りこんで体をプルプルさせる。
「ああ…、もう…君がかわいすぎて、脳が溶けそうですよ…。」
それからというもの、巧斗さんは、毛布に包まってミノムシのように縮こまった俺の背中を、『大丈夫ですよ。』と、毛布ごと優しく撫でながらなだめてくれて、そのおかげで10分程経ってようやっと落ち着くことができた。
「…巧斗さん…。さっきは我儘ばかり言って馴れ馴れしくしちゃって本当にごめんなさい…。鷲田タクトさんが何故かこのリビングに居て、俺に膝枕してたから…てっきり夢かと思って…どうかしてた…。」
「そんな、とんでもない!あれはむしろ俺の方が美味しい思いをさせてもらって、感謝したいくらいなのに。」
冷静さを取り戻し、やっとまともに話せるようになった俺の様子を見て、
巧斗さんは微笑みながらそっと手を差し伸べてくる。
「すずめ。そろそろ毛布を取っても大丈夫ですか?」
耳元で優しく囁いてきた巧斗さんに、俺は思わずドキドキしながらこくんと何も言わずに頷く。
すると巧斗さんは、ラビットファーのふわふわ素材なので激しく剥いでも怪我をさせる心配は無いというのに、そっと壊れ物を扱うかのように毛布を剥ぎ取ってくれた。
「流石に朝まで毛布一枚だと風邪ひきますから、寝室へ案内させてくださいね?あ、お腹は空いてませんか?」
「!それは…空いてる、かも…。」
流石に昼食と夕食抜きはきついものがあるので、素直に空腹を打ち明けると、丁度いいタイミングで俺のお腹の音もぐるるる…と鳴った。
「ふふ、じゃあ今日はもう夜も遅いし、デリバリーでも頼みましょうか。すずめはどういうものが食べたい?」
「あ…えっと、じゃあ軽食がいいかな。」
本当はお腹も空いてるし、がっつりとしたお肉でも食べたいところだけど、それをこの人に言ってしまったら最後、お高そうな和牛肉を頼んでしまいそうなので差し控える。
「軽食でいいんですか?分かりました。それなら、少しでもスタミナをつけるためにもハンバーガーなんていかがです?」
「!ハンバーガー!食べたい!」
巧斗さんの丁度いい食べ物の提案に俺はぱぁっと目を輝かせる。
値段が比較的安価になりやすいジャンクフードの提案は本当にありがたい。
俺の反応に巧斗さんは『決まりですね。』と、笑顔で頷き、早速デリバリーに電話をかける。
「もしもし、1190号室の鷲ノ宮です。ハンバーガーとポテトを二つずつお願いできますか?」
注文をする電話の奥で、『かしこまりました…!すぐにでもお持ちいたします!!!』と、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
(…ん?今の声って…このマンションのオーナーさん?)
こういうのって普通、オーナーじゃなくて、コンシェルジュとかデリバリーを請け負っている所のスタッフさんが対応するものでは…?
少しだけ嫌な予感がしながらもデリバリーを待っていると、やはりこのマンションのオーナーさんがワゴンに高級料理でしか見ない銀色のドーム形の蓋(クローシュというらしい)が被せられた料理を乗せて運んできた。
「お待たせいたしました!こちらA5ランク黒毛和牛100%のハンバーグをふんだんに挟んだハンバーガーに、最高級の皮つき男爵芋を極上オリーブオイルでカラッと揚げたフライドポテトになります…!」
(????軽食とは…?)
こうなると思って軽食が食べたいと進言したのに、まさかお肉が食べたいと言わなくても、和牛を頼んでしまうとは…流石巧斗さんだ…。
2,322
お気に入りに追加
3,657
あなたにおすすめの小説
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる