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第1章
第97話《すずめに最高級チョーカーを買おうとする鷲ノ宮さん》
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「!承知いたしました…!それでは当店自慢のチョーカーをお持ちいたしますので少々お待ちくださいね…!!オーナーを呼んでまいります!」
巧斗さんの堂々とした返事を聞いた店員さんが嬉々としてオーナーを呼ぶと、オールバックの上品なスーツを着た中年の男性が何らかのカギを持ってやってきた。
「いやぁ!この度は当店をご利用いただきありがとうございます~!お客様にきっとご満足いただけるとっておきの品がございますよ!ささっ!こちらの部屋のソファにおかけくださいませ…!」
金に糸目をつけないという上客が現れた事で、上機嫌のオーナーさんが、恭しく俺達を店内最奥の接客室に案内する。
接客室には傷一つ無いガラス張りのテーブルに、黒皮の金持ちしか座らないソファが置かれており、巧斗さんが慣れた様子で座るので俺もそれに倣った。
「あの…、巧斗さん?何だか話が大きくなっているような…?俺としては頑丈なチョーカーであれば何でも…」
「?大丈夫ですよ?ちゃんとすずめに合う頑丈でお洒落なチョーカーを選んで見せますから。実は俺、こう見えて目利きも得意なんですよ。ネットで画像検索して口コミを見れば一発です。」
黒マスク、サングラス越しにスマホを持ってドヤ顔してるところ悪いけど、それは目利きとは言わないのでは…?
(巧斗さんって意外に天然な所もあってなんだか可愛いな…。)
「…って、そうじゃなくて!俺は価格の話を…」
「お待たせいたしました…!お客様!こちら当店自慢の品達です。どうぞよくご覧になってみてください!」
俺がここでチョーカーを買おうとしている巧人さんを何とか止めようとすると、オーナーがいくつかの重厚なジュエリーケースを両手に持って接客室に入ってきた。
どうやら俺達が話している間に、オススメのチョーカーの選別をしていたようで、満面の笑みでケースを開けながらテーブルの上に並べてくる。
(うう、止め損ねた…。どうしよう…並べられたチョーカー、皆揃いも揃って高級そうだ。下手したら数百万とかするんじゃないか?巧斗さんが予算に上限が無いだなんて言ったから…。)
「それでは左端の品から順にご説明させていただきますね!
こちらは、かの世界的に名を馳せる高級ブランド、《dahliaΩ》のチョーカーになります。タングステンという硬すぎるがゆえに加工が難しいとされている金属を用いたもので、頑丈さはチョーカーの中でもトップレベルです!
デザインの方も秀逸で、世界有数の職人が手掛けた黒のゴシック調のミクロレベルの繊細な装飾に、極希少とされているレッドダイヤモンドをふんだんにあしらった、海外セレブ御用達の逸品です!
セキュリティ方面では、厳重なロックがかかっており、指紋認証、声認証、パスワードを入力して初めて開くように設定できます。
そしてそして!なんとこちら、GP×機能も優れ×おり~……なんと、………億……」
(世界に名を馳せる高級ブランド…?世界有数の職人…?レッドダイヤモンド?…やばい…なんだか聞いているだけでも気が遠くなりそうだ…。)
一日の疲れもあって、最初は何とか目をこらして説明を大人しく聞いていたが、あまりに座り心地の良いソファと、巧斗さんの隣の安心感と、自分との世界観が違い過ぎる高級チョーカーの説明が相まって急激に眠気が襲ってくる。
何度もフナを漕ぎかけてはハッとする仕草を繰り返し、嬉々として説明を続けるオーナーと、緩やかに手慣れた様子でリラックスして話を聞く巧斗さんを後目に、とうとう意識が途切れ、数分後___。
「ハッ!今何時…?!」
(どうしよう!居眠りしてしまった…!!)
あまりの眠気に、つい数分間意識が飛んでしまっていた。
「あれ…すずめ?起きたのですか?」
「あ、ご、ごめんなさい巧斗さん…!俺のチョーカーの話なのについ居眠りを!」
しかもいつの間にか、図々しくも頭を巧斗さんの肩に乗せた上に、彼の片腕を抱き枕にまでしちゃってるし…!
慌てて彼から離れたが、とんだ失礼をかましてしまった…。
「…もう少し寝ていても良かったのに…。」
何故か俺が起きた事に残念そうな声をあげる巧斗さんは、いつの間にか俺が抱き着いていたのと反対側の腕で、やたら高級そうな紙袋を握っている。
(ん…?その紙袋はなんだ…?まさか、あの馬鹿高そうなチョーカーを買ったんじゃないよな…?)
不穏な予感を感じながら、彼に視線を送ると、財布を懐に仕舞いながらオーナーに帰りの挨拶をしている。
「それでは、俺達はこれで失礼しますね。今日は素敵なチョーカーをご紹介いただきありがとうございました。」
「はい…!!また是非当店にお越しくださいませ…!!!いつでも何時でも、例え嵐の中でもお待ちしております!!!」
「「「またお越しくださいませ~!!!」」」
(あっ、これはもう買っちゃってるな…。)
やたらテンションが高い満面の笑みで手を揉むオーナーと、その後ろに勢揃いで並び、90度で頭を下げている店員さん達がもう答え合わせのようなものだ。
巧斗さんの堂々とした返事を聞いた店員さんが嬉々としてオーナーを呼ぶと、オールバックの上品なスーツを着た中年の男性が何らかのカギを持ってやってきた。
「いやぁ!この度は当店をご利用いただきありがとうございます~!お客様にきっとご満足いただけるとっておきの品がございますよ!ささっ!こちらの部屋のソファにおかけくださいませ…!」
金に糸目をつけないという上客が現れた事で、上機嫌のオーナーさんが、恭しく俺達を店内最奥の接客室に案内する。
接客室には傷一つ無いガラス張りのテーブルに、黒皮の金持ちしか座らないソファが置かれており、巧斗さんが慣れた様子で座るので俺もそれに倣った。
「あの…、巧斗さん?何だか話が大きくなっているような…?俺としては頑丈なチョーカーであれば何でも…」
「?大丈夫ですよ?ちゃんとすずめに合う頑丈でお洒落なチョーカーを選んで見せますから。実は俺、こう見えて目利きも得意なんですよ。ネットで画像検索して口コミを見れば一発です。」
黒マスク、サングラス越しにスマホを持ってドヤ顔してるところ悪いけど、それは目利きとは言わないのでは…?
(巧斗さんって意外に天然な所もあってなんだか可愛いな…。)
「…って、そうじゃなくて!俺は価格の話を…」
「お待たせいたしました…!お客様!こちら当店自慢の品達です。どうぞよくご覧になってみてください!」
俺がここでチョーカーを買おうとしている巧人さんを何とか止めようとすると、オーナーがいくつかの重厚なジュエリーケースを両手に持って接客室に入ってきた。
どうやら俺達が話している間に、オススメのチョーカーの選別をしていたようで、満面の笑みでケースを開けながらテーブルの上に並べてくる。
(うう、止め損ねた…。どうしよう…並べられたチョーカー、皆揃いも揃って高級そうだ。下手したら数百万とかするんじゃないか?巧斗さんが予算に上限が無いだなんて言ったから…。)
「それでは左端の品から順にご説明させていただきますね!
こちらは、かの世界的に名を馳せる高級ブランド、《dahliaΩ》のチョーカーになります。タングステンという硬すぎるがゆえに加工が難しいとされている金属を用いたもので、頑丈さはチョーカーの中でもトップレベルです!
デザインの方も秀逸で、世界有数の職人が手掛けた黒のゴシック調のミクロレベルの繊細な装飾に、極希少とされているレッドダイヤモンドをふんだんにあしらった、海外セレブ御用達の逸品です!
セキュリティ方面では、厳重なロックがかかっており、指紋認証、声認証、パスワードを入力して初めて開くように設定できます。
そしてそして!なんとこちら、GP×機能も優れ×おり~……なんと、………億……」
(世界に名を馳せる高級ブランド…?世界有数の職人…?レッドダイヤモンド?…やばい…なんだか聞いているだけでも気が遠くなりそうだ…。)
一日の疲れもあって、最初は何とか目をこらして説明を大人しく聞いていたが、あまりに座り心地の良いソファと、巧斗さんの隣の安心感と、自分との世界観が違い過ぎる高級チョーカーの説明が相まって急激に眠気が襲ってくる。
何度もフナを漕ぎかけてはハッとする仕草を繰り返し、嬉々として説明を続けるオーナーと、緩やかに手慣れた様子でリラックスして話を聞く巧斗さんを後目に、とうとう意識が途切れ、数分後___。
「ハッ!今何時…?!」
(どうしよう!居眠りしてしまった…!!)
あまりの眠気に、つい数分間意識が飛んでしまっていた。
「あれ…すずめ?起きたのですか?」
「あ、ご、ごめんなさい巧斗さん…!俺のチョーカーの話なのについ居眠りを!」
しかもいつの間にか、図々しくも頭を巧斗さんの肩に乗せた上に、彼の片腕を抱き枕にまでしちゃってるし…!
慌てて彼から離れたが、とんだ失礼をかましてしまった…。
「…もう少し寝ていても良かったのに…。」
何故か俺が起きた事に残念そうな声をあげる巧斗さんは、いつの間にか俺が抱き着いていたのと反対側の腕で、やたら高級そうな紙袋を握っている。
(ん…?その紙袋はなんだ…?まさか、あの馬鹿高そうなチョーカーを買ったんじゃないよな…?)
不穏な予感を感じながら、彼に視線を送ると、財布を懐に仕舞いながらオーナーに帰りの挨拶をしている。
「それでは、俺達はこれで失礼しますね。今日は素敵なチョーカーをご紹介いただきありがとうございました。」
「はい…!!また是非当店にお越しくださいませ…!!!いつでも何時でも、例え嵐の中でもお待ちしております!!!」
「「「またお越しくださいませ~!!!」」」
(あっ、これはもう買っちゃってるな…。)
やたらテンションが高い満面の笑みで手を揉むオーナーと、その後ろに勢揃いで並び、90度で頭を下げている店員さん達がもう答え合わせのようなものだ。
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