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第1章

第62話《兄視点…総一郎の様子》

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兄視点《3》~オメガコンテスト開幕!一方その頃兄は~


とりあえず、今鷹崎君に近づくのはちょっとマズい気がするので、この場から出来るだけ遠くの出店に行こう。
先ほど鷹崎君はずっと同じ場所で辺りを見回していたので、彼が探し物をしているのだとしたら、おそらくそれはこの周辺にあるのだろう。

つまり、俺達の方から一定の距離をおけば、まず鉢会う事はないはずだ。

ま、まぁ別に?鷹崎君に対してビビってるだとか、そういうんじゃないけど?
わざわざ機嫌悪い時に話かけて揉めたりするのもすずめに迷惑がかかるからな!

「なぁ、相田君。この辺はもう大分見て回ったし、ちょっと遠くの出店にいこーぜ。」
「うす!了解っす!!」




俺の言う事に快く肯定してくれた相田君を引き連れて、コンテスト会場付近から徒歩5分程離れている区域まで歩いた。

(お、この辺とか中々良い感じだな。)

この辺りは先程までの場所と比べると人通りも少ないので、これならゆっくり出店を見て回れそうだ。


「よっし、ひとまずこの辺りの出店で何か食おう。何がいっかなぁ。」
「美味しそうな出し物がいっぱいあるっすね!はし巻きとかいか焼きとか…あ、こっちにもたこ焼き屋があるみたいっすね~。俺達の店とどっちが上手いか食べ比べしたいっす!!」
「いいね!それ採用!」

相田君が指を指した先には、これまた美味しそうなたこ焼きを焼いている出店があった。
ドルトラさんが出している店よりも小さ目の出店だが、こちらも沢山種類があって美味しそうだ。

(美味しそうなたこ焼きだ!!やったぜ♪)
俺、B級グルメの中ではたこ焼きが一番好きなんだよな。
どれにしようか、ウキウキで鼻歌を歌いながらたこ焼き屋のメニューを見ていると、なんとなく視界に見覚えのある人物が入ってくる。

(ん…?…ってんええええぇぇ!!?あれは、、鷹崎君か!?なんでここにいんの!??)

さっき出くわした所からは数百メートルも離れているのにまた出会ってしまうなんてどんな確率だよ!?

彼は相変わらずスマホを凝視しながら辺りをキョロキョロと見回しているようだが、また殺気の籠った目つきで睨み付けられたりしても怖…じゃなくて、嫌な気持ちになるので、急遽美味しそうなたこ焼きの購入を泣く泣く諦めて、彼と距離を置くことにした。


「あ、あの~相田君?やっぱりさ、これだけお腹も空いている事だし食べ歩きじゃなくて、もっとゆっくり座って食べられる所に行かね?」
「ん?あ、そうっすね!どこか座れるお店を探してゆっくりしましょう!」
「そ、そうしようそうしよう!」


さっきから言ってる事が二転三転して非常に申し訳ないのだが、相田君も賛成してくれたことだし、屋外のカフェかなんかを探してそこで休憩しよう。

俺と相田君はカフェを探すために文化祭会場を一通り見て回ったのだが、基本アトラクションや出店ばっかりで中々見つからず、結局よさげな所を探すのに5分以上かかってしまった。

場所は文化祭のチラシなどが沢山貼ってある大きな掲示板の近くのお店で、おしゃれなテントに可愛らしいインテリアの雰囲気のいい模擬店カフェだ。

「相田君!ここなんかめっちゃ良い感じのお店じゃないか?」
「いいっすね!早速座りましょうぜ!!」
「おう!」


この店で腹ごしらえをすることに合意した俺達は、早速空いているテーブルに腰を落ち着けると一息つく事にした。

「いらっしゃいませ。ご主人様♪こちらメニューになりまぁす。2名様のご案内ねぇ♡」
「あ、はい!どうも~、って…ご主人様…??」


店内に入り俺達のテーブルに来てくれた店員さんに人数を確認されたので元気よく返事をすると、急にご主人様と言われて戸惑ってしまった。

よくよく見ると店員さんはメイド服を着用しており、首元にはΩ用のチョーカーがついている。

(まさか…ここは世に言うメイド喫茶ってやつなのでは…!??)


少し目線を逸らして近くにあった店の看板を見てみると、そこには《女装メイド喫茶おめが》と、可愛らしい文字で表記されていた。
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