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第1章
第58話《オメガコンテスト開幕》
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会場からはコンテストの開催に喜ぶ歓声と、ちょっとしたブーイングが聞こえる。
おそらくミスターコンにて特定の出演者を贔屓して、結果発表の後のルール変更を強引に推し進めた司会が続投だったので、公平性を疑問視する声が持ち上がったのだろう。
「えー…。またあの人が司会なんだ…。」
司会者の相田君を雑に扱う姿に不快感を覚えていた妹も、ムッとした顔をしている。
せっかくの文化祭なのにこうして水を差す存在が現れてしまうのも考え物だな…。
「か、会場も大盛り上がりですね!それではさっそくコンテスト出場者の方々に登場していただきましょう!……と、その前に!オメコンに置きましても、ミスターコン同様、優勝者には豪華な賞品が用意されておりますので、紹介させていただければと思います!…それでは孔雀川様、優勝賞品のご説明の程をよろしくお願いいたします!」
司会が自分に対するブーイングを聞かなかったことにしてコンテストの進行を務め、優勝賞品の関係者らしき男性の方へ視線を送り、ステージへの登壇を促す。
孔雀川と呼ばれたその男性は、ステージに上がると、マイクを持って軽い自己紹介と優勝賞品の概要を説明し始めた。
「えー、Qjack芸能プロダクションの代表取締役、孔雀川と申します。当文化祭におかれましてはオメガコンテストの開催を心よりお祝い申し上げます。この度は優勝賞品の提案をさせていただきたく、このステージに上がらせていただいた次第です。」
(これは…とんでもない大物だ。)
Qjack芸能というと、テレビや芸能界に疎い俺でも流石に知っている。
確か、モデル・アイドル・俳優等に特化した大手の事務所だ。
なんならあの代表取締役の孔雀川さんも何回かメディアで見かけた事がある。
案の定、芸能プロダクションの名前を聞いた途端、周りの観客も一斉にざわざわと騒ぎ出した。
『え。Qjack芸能ってあの!?』
『やば。私の推しがいる事務所じゃん!』
『え、え。なんでここに…??』
俺の前の席にいる女性客達も、予想外の大物の登場にテンションが上がっているようだ。
孔雀川さんは観客の反応に満足したかのように軽く頷くと、話を続けた。
「え~皆様もおそらくご存じの通り、我が芸能事務所は数々の有名タレントを世に送り出していますが、実はこのオメガコンテストの出場者で1位に輝いた方に、近日地上波デビューを前提としたスカウトをさせていただこうかと思っております!」
(いきなり地上波デビュー?!それはすごいな。)
孔雀川さんが優勝賞品の提案を発表すると、司会の続投のせいで若干白け気味だった会場が一気に盛り上がった。
優勝賞品が芸能界への道を示すスカウトとあって、将来の芸能人が自分達の投票で決まる事にテンションが上がっているのだろう。
『うおおぉ!俺誰に投票しよう!』
『どうせならずっと応援できるような子がいいよなぁ。』
『優勝者に投票したら俺、周りに自慢して回れるよな!?』
『すっげぇ!超面白そうなイベントじゃねーか!』
先ほどとは打って変わって、コンテストを期待する観客の声が大きくなったところで、司会がほっと胸をなでおろしている。
いや、お前が許された訳ではないからな?
「観客の皆様に喜んでいただけているようで何よりです。…時間も押している事ですし、以上を持ちまして提案を終わりたいと思います。出場者の皆様の健闘を心より祈っておりますね。」
孔雀川さんが上機嫌の様子で締めの言葉を綴り、ステージから降りると観客から拍手が巻き起こる。
「孔雀川様、ご説明ありがとうございます…!…いやぁ、なんと豪華な優勝賞品なんでしょう!実はこの優勝賞品のご提案はつい先ほど、Qjack芸能様の方から急遽、声をかけていただいたもので、我々としましても大きなサプライズとなりました!」
司会が孔雀川さんに興奮気味に礼を言いいながら深く頭を下げると、ようやく出場者入場のアナウンスを始めた。
「えー、それでは早速ではございますが!出場者の皆様に登場していただきましょう!まずはエントリーナンバー1番!勝利への意気込みは人一倍!自薦ながらも中々の美しさを誇る【自称、〇×大学の白百合】!江永シマさんでーす。」
司会の掛け声で、ステージに1人目の出場者のシマちゃんが登壇する。
(あ、シマちゃんだ!でもなんだか悪意がある紹介だな…。)
《自薦》とか《中々の》とか《自称》とか普通わざわざ紹介で言うか?
やっぱり全然公平じゃないなこの司会者…。
おそらくミスターコンにて特定の出演者を贔屓して、結果発表の後のルール変更を強引に推し進めた司会が続投だったので、公平性を疑問視する声が持ち上がったのだろう。
「えー…。またあの人が司会なんだ…。」
司会者の相田君を雑に扱う姿に不快感を覚えていた妹も、ムッとした顔をしている。
せっかくの文化祭なのにこうして水を差す存在が現れてしまうのも考え物だな…。
「か、会場も大盛り上がりですね!それではさっそくコンテスト出場者の方々に登場していただきましょう!……と、その前に!オメコンに置きましても、ミスターコン同様、優勝者には豪華な賞品が用意されておりますので、紹介させていただければと思います!…それでは孔雀川様、優勝賞品のご説明の程をよろしくお願いいたします!」
司会が自分に対するブーイングを聞かなかったことにしてコンテストの進行を務め、優勝賞品の関係者らしき男性の方へ視線を送り、ステージへの登壇を促す。
孔雀川と呼ばれたその男性は、ステージに上がると、マイクを持って軽い自己紹介と優勝賞品の概要を説明し始めた。
「えー、Qjack芸能プロダクションの代表取締役、孔雀川と申します。当文化祭におかれましてはオメガコンテストの開催を心よりお祝い申し上げます。この度は優勝賞品の提案をさせていただきたく、このステージに上がらせていただいた次第です。」
(これは…とんでもない大物だ。)
Qjack芸能というと、テレビや芸能界に疎い俺でも流石に知っている。
確か、モデル・アイドル・俳優等に特化した大手の事務所だ。
なんならあの代表取締役の孔雀川さんも何回かメディアで見かけた事がある。
案の定、芸能プロダクションの名前を聞いた途端、周りの観客も一斉にざわざわと騒ぎ出した。
『え。Qjack芸能ってあの!?』
『やば。私の推しがいる事務所じゃん!』
『え、え。なんでここに…??』
俺の前の席にいる女性客達も、予想外の大物の登場にテンションが上がっているようだ。
孔雀川さんは観客の反応に満足したかのように軽く頷くと、話を続けた。
「え~皆様もおそらくご存じの通り、我が芸能事務所は数々の有名タレントを世に送り出していますが、実はこのオメガコンテストの出場者で1位に輝いた方に、近日地上波デビューを前提としたスカウトをさせていただこうかと思っております!」
(いきなり地上波デビュー?!それはすごいな。)
孔雀川さんが優勝賞品の提案を発表すると、司会の続投のせいで若干白け気味だった会場が一気に盛り上がった。
優勝賞品が芸能界への道を示すスカウトとあって、将来の芸能人が自分達の投票で決まる事にテンションが上がっているのだろう。
『うおおぉ!俺誰に投票しよう!』
『どうせならずっと応援できるような子がいいよなぁ。』
『優勝者に投票したら俺、周りに自慢して回れるよな!?』
『すっげぇ!超面白そうなイベントじゃねーか!』
先ほどとは打って変わって、コンテストを期待する観客の声が大きくなったところで、司会がほっと胸をなでおろしている。
いや、お前が許された訳ではないからな?
「観客の皆様に喜んでいただけているようで何よりです。…時間も押している事ですし、以上を持ちまして提案を終わりたいと思います。出場者の皆様の健闘を心より祈っておりますね。」
孔雀川さんが上機嫌の様子で締めの言葉を綴り、ステージから降りると観客から拍手が巻き起こる。
「孔雀川様、ご説明ありがとうございます…!…いやぁ、なんと豪華な優勝賞品なんでしょう!実はこの優勝賞品のご提案はつい先ほど、Qjack芸能様の方から急遽、声をかけていただいたもので、我々としましても大きなサプライズとなりました!」
司会が孔雀川さんに興奮気味に礼を言いいながら深く頭を下げると、ようやく出場者入場のアナウンスを始めた。
「えー、それでは早速ではございますが!出場者の皆様に登場していただきましょう!まずはエントリーナンバー1番!勝利への意気込みは人一倍!自薦ながらも中々の美しさを誇る【自称、〇×大学の白百合】!江永シマさんでーす。」
司会の掛け声で、ステージに1人目の出場者のシマちゃんが登壇する。
(あ、シマちゃんだ!でもなんだか悪意がある紹介だな…。)
《自薦》とか《中々の》とか《自称》とか普通わざわざ紹介で言うか?
やっぱり全然公平じゃないなこの司会者…。
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