浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第49話《結果発表後のひなと総一郎の様子を目撃するすずめ》

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そもそも普通、いくら文化祭のスポンサーだからといって、生徒同士の戦いにここまで首を突っ込んでくるか?

さっき司会が愛野ホールディングスがどうとか呟いてたけど、確かそこは日本でも有数な持株会社だったはずだ。

それに、さっきの司会の様子を見るに、うっかりスポンサー名をバラしてしまった雰囲気だったけど、スポンサーって名を売って宣伝してなんぼじゃないんだろうか。

(何かきな臭いよな…。)


「えー審査ルール変更の説明に入らせていただきたいと思います!明日の最終審査の採点も今回と同じ10点満点なのですが、明日の最終審査で一位になった者には10万点のボーナスを与えたいとのお達しです。えー、出場者の点差があまりにも開いているため、下剋上のチャンスを与えたいとのことで…」


(10万点ボーナス!?そんなのコンテストのバランスが崩壊するだろ…。)


急な審査方法のルール変更に会場からもざわつきが起こる。

『おいおい、今更ルール変更かよ。』
『そんなボーナスつけたら今日やった審査の点数の意味が無くなるだろ…』
『10万点って最下位の鶴橋くんが今日取ったポイント以上じゃん…』
『でもさ、今のままだと圧倒的過ぎて面白くないよね。』
『私もアリだと思う、総一郎様が負けるなんて嫌だし~…』


ブーイングも混じってはいるが、中には司会に同調する意見もあり、賛否両論のようだ。
ルール変更に賛成派は多分2位以下の出場者のファンだろうな。


「えー、とにかくこれはもう決定事項ですので、なんとか観客の皆様にはご理解いただきたく思います…!当文化祭はスポンサー様方の寄付金によってクオリティの高いイベントとして成り立っているので、どうか皆様には寛大な心を持っていただきたく存じます。」


ざわつく観客の反応をものともせず、司会が強引に話を進める。



「あの司会、なーんか、やな感じ!強引だし、だちょくんの事になるとテンション低くて盛り上げようとしないし、鷹崎さんの時はニッコニコで様付けでよぶのに。」

司会のあまりの強引さと、先ほどから薄々感じていた特定の出場者の贔屓ぶりにつばめが眉を寄せている。

(おそらくあの司会はスポンサー側の回し者なんだろうな…。)
雇われなのだろうか、見るからに30代以上だし、明らかにここの生徒ではない。


◇◇◇


「それでは、これにてミスターコン一日目を終了とさせていただきます…。お疲れ様でした!この度は結果発表に不手際が起こりまして誠に申し訳ございません。えーこれから時間を20分ずらしまして、オメガコンテストの方に入らせていただきますので、引き続き審査していただけるお客様は、お手数ですが会場の入り口のスタッフ達から投票用紙を貰いに行っていただければと思います!」


ミスターコン終了のアナウンスが流れると、俺と妹は未だに号泣している兄に席を取ってもらっておいて、一旦コンテストの後始末(控室の片づけ)と着替えを行っているだろう相田君と合流するために体育館の控室に向かった。


「だっちょくーーん!!一位おめでとーー!!」

トトトトトトッ!ぼすっ!

「うぐおぉぉ!みぞおちに頭が…!!でも、ありがとう!!!義兄さんやつばめの応援のおかげだな!!」

体育館の控室につくなりつばめを助走をつけて相田君に抱き着いた。
身長差的に相田君のお腹にダイレクトな頭突きがはいったらしく、悶えつつも心底嬉しそうにつばめを抱き締める。

「えっへん!そーかなー?だちょくんもマジかっこよかった!!」

嬉しそうに相田君の負傷済みのみぞおちに頭をすりすりして甘えるつばめに、相田君は幸せな痛みを噛みしめていた。

(まだ、コンテストは終わってないけど、とりあえず二人のこの笑顔が見られて本当に良かったな。)


◇◇◇


先ほど空気を読んで俺と総一郎を二人にした相田君にならって、俺もしばらく相田君とつばめを二人きりにしてあげようと思って。控室の近くのの人気のないベンチに向かう。

しかし、数分だけ休ませてもらおうとするも、そこにはすでに先客がいた。

(あれは…総一郎とひなだ。二人してお通夜みたいな雰囲気になってるな。)
頭を抱えて燃え尽きたように座る総一郎に、ひながまるで夫を支える妻のようにその背中をさすっている。


「あ××ない……!あんな見た目も××も××以下のβに×××!…赤っ恥も×××だ…!」
「そ、総君、まだ××大丈夫だよ…?さっきパパやおじいちゃまに×××して、コンテストのルー×変え××××たし、明日挽回××××っ…!」


(あんまり近づくとバレるから、ここから聞くのが限度だな。あんまり会話が聞こえないけど仕方ないか。)

俺は二人の姿を見かけるとさっと物陰に隠れて彼らの様子を伺った。


「それに関しては×××××。だが××××が、しばら×一人に××くれ。」


「っ!!やだやだ!総君と一緒にいる…!!てか今日僕の所に泊まりに来てよ!!」
「今日は××家に××て明日に××××んだ。×××てくれ。」
「だって、家に帰るって事はすずめちゃんと二人っきりになるって事でしょ!!そんなの嫌!総君もよく考えてみてよ!今日1位を逃したのは誰のせい?!全部すずめちゃんが相田長介とかいうβに協力したからじゃん!!」

総一郎がすげない態度を取っている事にひながヒートアップして、大声で話し始める。
おかげでひなの言葉だけ全て聞き取れるようになったが、中々聞き捨てならない事を言っているな…。

(いや、総一郎が負けたのは半分はひなのせいだろ…。AIのコメントを見ていなかったのか?俺に全部押し付けようとするな。)

本当にこいつらは自分の事を棚あげするのが好きだな、と心底あきれ果てる。

「相田…。相田か…!あのβめ……!よくも僕のす×めを……!!」

ひなの言葉に乗せられたのか総一郎の方も、段々と怒りがヒートアップしている様子だ。

「まぁ、ひなの言う××も一理ある×。とりあえず、すずめ×は僕に黙って×××に協力した××心から反省し×もらわな×といけないね。」
「っ!でしょでしょ!!そうと決まったら早くすずめちゃんに今日は帰らないって連絡して!」

総一郎がひなの意見に賛同した様子を見せるとひなが総一郎に、お泊りデートの催促をする。
スマホをポケットから取り出した総一郎は、フリックで何やら文字を入力しているようだ。


すると微かなバイブレーションが俺のポケットから響いたので、スマホを取り出して画面を確認すると総一郎からメッセージが来ていた。



《すずめ、今日は相田君?のエキストラお疲れ様。今僕が君にとても怒っている事は分かるね?そのお仕置きとして今夜は僕は実家の方に止まる事にしたよ。すずめが寂しくて震えたり泣いちゃったりしても、今日は許してあげない。明日の夜は帰ってくるけど、それまでに心を入れ替えて、僕だけの事を想って応援するように。じゃあね。愛してるよ。》


(なんだこのキャバクラで説教する厄介客みたいなメッセージ。受け取り手が俺じゃなかったら即ブロックされてるからな?)

たかが一晩離れる程度で寂しくて泣くなんて、俺のことうさぎかなんかだと思ってるのか?


まぁなんにせよ今日一日は家で一人、伸び伸びと出来そうだ。
帰りの時間も気にしなくていいから、明日のコンテストの準備にも充分な時間が取れるだろう。


俺にお怒りメッセージを送ったことで少し溜飲が下がったのか、総一郎はひとまず落ち着いた様子でひなに「じゃあ僕はもう客席に行くよ。あぁ今日はお前の家に泊まりに行くことにしたから。」等と言ってこの場を去っていった。

ひなは感極まって「やったぁ…!総君を独り占め♡オメコンでの僕の晴れ姿、特等席で見守っててねぇ♪」と彼に思いっきり抱き着いていた。


(お熱いことだ。こんな誰が通るかも分からないところでよく浮気できるよな。)

とりあえず俺も、表向きだけ反省して寂しがっているように返信をしておいてやるか。


《そっか…(:_;)総一郎君がそう言うなら寂しいけど我慢する…。今夜は最近Hしてなかった分、レースのランジェリーに勝負下着で沢山Hしたいなと思ってたんだけどまた今度しようね…(>_<)》

丁度いい機会なので、総一郎が今夜は確実に帰ってこないのをいいことに、ここぞとばかりに《今日はHに乗り気だったのになー》アピールをしておく。
こう言っておけば最近、何かにつけてHを断りまくっている事も一切怪しまれずにすむだろう。
明日からもなるべくというか絶対にHはしたくないからな。
一回でも総一郎の方からHを拒んだという事実を作る事によって、次からもHを断りやすくなるという寸法だ。


我ながら中々の名案だとほくほくしていると、メッセージを送ってから数秒もたたないうちに返事が来た。

(返信早っ!一体どうしたんだ?今までで一番早いレスだな……。)

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