37 / 164
第1章
第37話《ミスターコンテスト開幕!》
しおりを挟む
「すずめは優しいから頼み事をされて断れなかったんだろうけど、今度こういう事があったらちゃんと僕に相談すること。いいね?…あ、君相田君…だっけ?思い出作り頑張ってね。」
総一郎は俺の額をつんと押した後、相田君に見下したような目を向け、控室の奥に帰っていった。
「あ、ちょっと総君待ってよぉー。」
わざとらしい猫撫で声をあげながらひなも総一郎につづく。
(まさか俺が口を挟む隙すら与えないとは…隠し事をされた事に相当不機嫌みたいだ。)
本当に何から何まで、お前が言うな案件だけど。
「相田君…実はさっきの人、俺の彼氏なんだけど酷い態度でごめんね…。」
握手を無視された事で不思議そうに総一郎の方向を見ている相田君に、酷く申し訳なくなりひそひそ声で相田君に頭を下げる。
「なんと!義兄さんの彼氏さんだったとは!ってことは将来彼も義兄になるかもしれないってことっすか!」
「う、うん…。」
「なーに!気にすることないっすよ!あの態度も絶対ヤキモチ焼いてるだけっすから!!」
相田君が俺を元気づけようと笑顔で背中をバシッと叩く。
(絶対そんな訳はないけど、相田君がポジティブなタフガイで良かった。)
◇◇◇
「出場者のみなさーん。もうすぐコンテストが始まりますので、ステージ横の控えスペースまで来てください!」
そうこうやり取りをしているうちにコンテストのスタッフが出場者達を呼びに来た。
「とうとうキタっすね!俺頑張ってくるっす!まずは自己紹介でバシッと決めてくるっす!!」
「うん!絶対優勝しよう。頑張ってね!!」
「はいっす!!」
最後にエールを送りあうと、相田君や他の出場者が一足先にステージに向かう。
「第一審査の花嫁役の皆さんは後ろからの入場になりますので、体育館の入り口付近でお待ちください。」
対して、俺達花嫁役のエキストラはスタッフに誘導されるまま、体育館の入り口の空きスペースにて待機することになった。
(やっと始まる…!)
そして体育館の時計がとうとうコンテスト開始時間の13時40分を指したのだった。
◇◇◇
俺達が体育館入口のスペースに到着して、体育館の中の様子を見てみると、客席は既にほぼ満員状態だった。
(文化祭の一大イベントとはいえ流石にこの量の席が埋まるはずがないだろうと高を括っていたけど、まさかここまでとは…。後ろからざっと会場を見た感じ、やはり女性客が多いな…。)
β男性客は、3割位いればいい方か?想定より若干少ないな。
「さぁて、やってまいりました!第42回〇×大学ミスターコンテスト開幕でーーす!!
出場者の皆様の入場を拍手でお出迎えくださーい!!」
ステージ上の司会がマイクを片手にそう叫ぶと体育館の照明が一気に暗くなり、ステージだけがライトアップされた。
『『『きゃぁーーーーーーッ!!!』』』
司会の声にあわせてステージ上にあがる出場者たちに興奮した観客たちの黄色い声が会場中に響き渡る。
「皆様、素晴らしい歓声と拍手をありがとうございます!!それでは最初にわたくしめの方から軽く出場者の皆様をご紹介させていただきましょう!…あ!この後ちゃんと出場者による自己紹介タイムもありますのでご安心を!…まずはエントリーナンバー1番!!経済学部3年鶴橋彰!甘いハニーフェイスが魅惑的なスパダリα!大学生でありながら読者モデルとしても活躍中で…」
あらかた歓声が落ち着いたころに、司会が出場者についての軽い紹介を始める。
(一人目から読モって戦々恐々だな…。鶴橋…うーん検索してもあんまり結果が出てこないし、まだ無名か。)
俺は白無垢の袖に収納しているスマホで一人目の出場者の名前を検索する。
もし有名人でファンが多いなら、万が一相田君が負けた時に代わりに優勝する可能性があるかもと期待したのだが、そう上手くはいかないか。
「続いてはエントリーナンバー2番、相田長介!このコンテスト唯一のβ!とにかくデカい!…続いては~」
(相田君の紹介それだけ!?)
ネタ枠にしても、あまりにも紹介が短いし、誉め言葉もない。
『βだってw』
『あはは、頑張れー!』
『迫力は一番あるけどねwww』
『一人だけ作画違ってて草』
会場からは笑い声が聞こえてくる。いじりの一環だとしても、身内としては良い気持ちがしない。
ひなを含めた花嫁役のエキストラからもくすくすと笑い声が聞こえる。
相田君は一切気にしてないようで堂々と仁王立ちしているが、さっきの総一郎の態度といい、今の扱いといい、流石に可哀そうだ。
(相田君!屈辱なのも今だけだから見返してやろう…!)
つばめも彼氏が出場するコンテストの思い出がこれじゃ良い気はしないだろう。
(これは万が一負けたらとか言ってられないな。何が何でも絶対相田君に勝たせるぞ!)
◇◇◇
『…~続いてはエントリーナンバー7番、鷹崎総一郎様!不動の優勝候補!圧倒的なハイスペックなα様!なんと彼は……あの鷹崎グループ株式会社の御曹司です!』
総一郎の紹介が始まると、どよっと会場がざわつく。
情報の通り、総一郎の実家は日本でも有数な大企業で彼はその3男坊である。
一応、跡取りではないように見えるが、兄二人がどちらともβとのことで、総取締役の父親は総一郎に後を継がせたいと言っているのだそうだ。
『見てみて、総一郎様だよ!』
『きゃああああぁぁぁかっこいぃーー!!』
『キリっとした出で立ちに余裕のある表情…大企業の次期社長のオーラを感じるよね~~!!』
『正直他のと比べて顔面偏差値がレベチすぎ!!』
あまりの大物ぶりと顔の良さに観客のテンションボルテージは急上昇である。
司会者のテンションも上々でまだ審査も始まってないのに、つらつらと総一郎を称えまくっている。
(なんかやな感じだ。こんなに紹介に差があると不公平だな…。)
総一郎は俺の額をつんと押した後、相田君に見下したような目を向け、控室の奥に帰っていった。
「あ、ちょっと総君待ってよぉー。」
わざとらしい猫撫で声をあげながらひなも総一郎につづく。
(まさか俺が口を挟む隙すら与えないとは…隠し事をされた事に相当不機嫌みたいだ。)
本当に何から何まで、お前が言うな案件だけど。
「相田君…実はさっきの人、俺の彼氏なんだけど酷い態度でごめんね…。」
握手を無視された事で不思議そうに総一郎の方向を見ている相田君に、酷く申し訳なくなりひそひそ声で相田君に頭を下げる。
「なんと!義兄さんの彼氏さんだったとは!ってことは将来彼も義兄になるかもしれないってことっすか!」
「う、うん…。」
「なーに!気にすることないっすよ!あの態度も絶対ヤキモチ焼いてるだけっすから!!」
相田君が俺を元気づけようと笑顔で背中をバシッと叩く。
(絶対そんな訳はないけど、相田君がポジティブなタフガイで良かった。)
◇◇◇
「出場者のみなさーん。もうすぐコンテストが始まりますので、ステージ横の控えスペースまで来てください!」
そうこうやり取りをしているうちにコンテストのスタッフが出場者達を呼びに来た。
「とうとうキタっすね!俺頑張ってくるっす!まずは自己紹介でバシッと決めてくるっす!!」
「うん!絶対優勝しよう。頑張ってね!!」
「はいっす!!」
最後にエールを送りあうと、相田君や他の出場者が一足先にステージに向かう。
「第一審査の花嫁役の皆さんは後ろからの入場になりますので、体育館の入り口付近でお待ちください。」
対して、俺達花嫁役のエキストラはスタッフに誘導されるまま、体育館の入り口の空きスペースにて待機することになった。
(やっと始まる…!)
そして体育館の時計がとうとうコンテスト開始時間の13時40分を指したのだった。
◇◇◇
俺達が体育館入口のスペースに到着して、体育館の中の様子を見てみると、客席は既にほぼ満員状態だった。
(文化祭の一大イベントとはいえ流石にこの量の席が埋まるはずがないだろうと高を括っていたけど、まさかここまでとは…。後ろからざっと会場を見た感じ、やはり女性客が多いな…。)
β男性客は、3割位いればいい方か?想定より若干少ないな。
「さぁて、やってまいりました!第42回〇×大学ミスターコンテスト開幕でーーす!!
出場者の皆様の入場を拍手でお出迎えくださーい!!」
ステージ上の司会がマイクを片手にそう叫ぶと体育館の照明が一気に暗くなり、ステージだけがライトアップされた。
『『『きゃぁーーーーーーッ!!!』』』
司会の声にあわせてステージ上にあがる出場者たちに興奮した観客たちの黄色い声が会場中に響き渡る。
「皆様、素晴らしい歓声と拍手をありがとうございます!!それでは最初にわたくしめの方から軽く出場者の皆様をご紹介させていただきましょう!…あ!この後ちゃんと出場者による自己紹介タイムもありますのでご安心を!…まずはエントリーナンバー1番!!経済学部3年鶴橋彰!甘いハニーフェイスが魅惑的なスパダリα!大学生でありながら読者モデルとしても活躍中で…」
あらかた歓声が落ち着いたころに、司会が出場者についての軽い紹介を始める。
(一人目から読モって戦々恐々だな…。鶴橋…うーん検索してもあんまり結果が出てこないし、まだ無名か。)
俺は白無垢の袖に収納しているスマホで一人目の出場者の名前を検索する。
もし有名人でファンが多いなら、万が一相田君が負けた時に代わりに優勝する可能性があるかもと期待したのだが、そう上手くはいかないか。
「続いてはエントリーナンバー2番、相田長介!このコンテスト唯一のβ!とにかくデカい!…続いては~」
(相田君の紹介それだけ!?)
ネタ枠にしても、あまりにも紹介が短いし、誉め言葉もない。
『βだってw』
『あはは、頑張れー!』
『迫力は一番あるけどねwww』
『一人だけ作画違ってて草』
会場からは笑い声が聞こえてくる。いじりの一環だとしても、身内としては良い気持ちがしない。
ひなを含めた花嫁役のエキストラからもくすくすと笑い声が聞こえる。
相田君は一切気にしてないようで堂々と仁王立ちしているが、さっきの総一郎の態度といい、今の扱いといい、流石に可哀そうだ。
(相田君!屈辱なのも今だけだから見返してやろう…!)
つばめも彼氏が出場するコンテストの思い出がこれじゃ良い気はしないだろう。
(これは万が一負けたらとか言ってられないな。何が何でも絶対相田君に勝たせるぞ!)
◇◇◇
『…~続いてはエントリーナンバー7番、鷹崎総一郎様!不動の優勝候補!圧倒的なハイスペックなα様!なんと彼は……あの鷹崎グループ株式会社の御曹司です!』
総一郎の紹介が始まると、どよっと会場がざわつく。
情報の通り、総一郎の実家は日本でも有数な大企業で彼はその3男坊である。
一応、跡取りではないように見えるが、兄二人がどちらともβとのことで、総取締役の父親は総一郎に後を継がせたいと言っているのだそうだ。
『見てみて、総一郎様だよ!』
『きゃああああぁぁぁかっこいぃーー!!』
『キリっとした出で立ちに余裕のある表情…大企業の次期社長のオーラを感じるよね~~!!』
『正直他のと比べて顔面偏差値がレベチすぎ!!』
あまりの大物ぶりと顔の良さに観客のテンションボルテージは急上昇である。
司会者のテンションも上々でまだ審査も始まってないのに、つらつらと総一郎を称えまくっている。
(なんかやな感じだ。こんなに紹介に差があると不公平だな…。)
1,576
お気に入りに追加
3,513
あなたにおすすめの小説
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
お前が結婚した日、俺も結婚した。
jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。
新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。
年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。
*現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。
*初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
婚約者は運命の番(笑)を見つけたらしいので俺も運命の番を見つけます
i
BL
俺の婚約者であるオリオ・オフニス侯爵令息は、浮気をしていた。しかもその相手は平民のオメガだった。俺はオリオに問い詰めようとしたが、偶然にも平民のオメガとオリオが関係を持っている現場を目撃してしまった。
翌日、俺は婚約破棄の手紙を受け取った。
俺はどうしても彼を許すことが出来ず、彼に小さな復讐をしてやろうと決意する──。
王妃だって有休が欲しい!~夫の浮気が発覚したので休暇申請させていただきます~
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
【書籍発売記念!】
1/7の書籍化デビューを記念いたしまして、新作を投稿いたします。
全9話 完結まで一挙公開!
「――そう、夫は浮気をしていたのね」
マーガレットは夫に長年尽くし、国を発展させてきた真の功労者だった。
その報いがまさかの“夫の浮気疑惑”ですって!?貞淑な王妃として我慢を重ねてきた彼女も、今回ばかりはブチ切れた。
――愛されたかったけど、無理なら距離を置きましょう。
「わたくし、実家に帰らせていただきます」
何事かと驚く夫を尻目に、マーガレットは侍女のエメルダだけを連れて王城を出た。
だが目指すは実家ではなく、温泉地で有名な田舎町だった。
慰安旅行を楽しむマーガレットたちだったが、彼女らに忍び寄る影が現れて――。
1/6中に完結まで公開予定です。
小説家になろう様でも投稿済み。
表紙はノーコピーライトガール様より
気の遣い方が斜め上
りこ
BL
俺には同棲している彼氏がいる。だけど、彼氏には俺以外に体の関係をもっている相手がいる。
あいつは優しいから俺に別れるとは言えない。……いや、優しさの使い方間違ってねえ?
気の遣い方が斜め上すぎんだよ!って思っている受けの話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる