浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

文字の大きさ
上 下
19 / 169
第1章

第19話《ミスターコンの審査内容》

しおりを挟む
気づこうと思えば気づけたはずの裏切りの兆候は沢山あったのに、あまりにも盲目だった自分が滑稽だ。
…まぁ怒りが倍増して何気に持続していた悲しみも少しは紛れたので色々知れて良かった、と思うことにしよう。


「そういや霧下。お前の彼氏ミスターコンテストに出るんだっけ?」

黙り込んだ俺に、何かを察したのかフクロー君が話題を変えてくる。

「うん。出るよ。」
「お!だったら第一次審査は霧下が花嫁役としてランウェイを歩くのか~!俺も見に行くから頑張れよ!」

屈託のない朗らかな笑みで応援してくるフクロー君に俺は瞠目した。
花嫁?ランウェイ??なんのことだか分からない…。

「??」
「え、なんだ?知らないのか?ミスターコンの第一次審査は『タキシード』だから、出場者自身が花嫁役を学内の女性かΩの中から選んで一緒にランウェイを歩くんだぜ。」
「…俺そんなの聞いてない。」

そういえば俺オメコンの方の審査内容は見てたけどミスターコンの方は見てなかった。
オメコンの第一次審査が『ウエディングドレス』だから対になってたのか。

(総一郎、オメコンの話の時に俺のドレス姿見たいって言ってたくせに。)

「じゃあ霧下の彼氏は誰と歩くんだ?」
「うーん。誰だろうね…」
十中八九ひなだがそれをフクロー君に言うのも酷だろう。



(…なんかさっきから頭が痛いな…。)
寝不足が祟ったのか眠気と片頭痛がひどい。頭痛薬持ってくればよかった。

「あの、俺ちょっと具合悪くて。しばらくどこかで横になってくるから先に体育館行ってて。」
「確かに顔色悪いな…。大丈夫か?」
「大丈夫!ちょっと寝不足なだけ。」

座るのもしんどくなって、とりあえずフクロー君と別れて休める所を探した。

(…30分位静かなところで仮眠しよう。)


体育館裏にある東屋を訪れて広めの長椅子に腰掛けると、すぅと心が落ち着く。
このまま眠りに突入するかと思ったその時、突然遠くから大音声で話しかけられた。

「おーい!!もしかしてあんたΩか!?頼む~~!明日のミスターコンで俺とランウェイを歩いてくれーーぃ!!」
「…は?」

薄っすらと目を開けて、声がした方を見ると丸坊主にサングラスにひげ面に全身ヒョウ柄のいかつい男が全速力で走って近づいてきている…。

(インフルエンザの時に見る悪夢みたいだ…。)
色々と限界が来て俺はふっと意識を失うようにして眠った。


◇◇◇

(……はっ!今何時だ?)
いつの間にかぐっすりと眠っていたらしい。
意識を失う前になんか変な生き物が見えた気がするけど気のせいだよな?


「お!やっと起きたか!!」
「うわぁ!?」

時間を見ようとあたりを見渡すと真横に例のいかつい男の顔が現れ吃驚する。
気のせいじゃなかったし、なんなら無許可で隣に座っていた。

「な、なんなんですか!あなたは!?」
「いや、悪い悪い!驚かせたか!!」

この人いちいち声がデカすぎて寝不足の頭にガンガン響く……。



\ジャンジャカジャカジャカジャン!/

「おっと!彼女から電話だ!!ちょっと待っててくれ!」

バカでかい着信音がなったかと思うと、彼は俺に断りを入れて東屋から離れて彼女とやらとバカでかい声で通話し始めた。


おい……今こいつのスマホの着信画面に『霧下つばめ』って見えたんだが??
しおりを挟む
感想 505

あなたにおすすめの小説

十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

国王の嫁って意外と面倒ですね。

榎本 ぬこ
BL
 一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。  愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。  他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

処理中です...