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第1章
第14話《テニスサークルVSすずめ》
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(うわ~!面白そうな出し物がいっぱいある!)
掲示板につくまでに様々な出店やアトラクションなどが目に入り、柄にもなくはしゃいでしまった。
去年の文化祭は総一郎と家で過ごすために欠席していたので何もかもが新鮮に見える。
(すごいなぁ。一つ一つの出し物のクオリティも高いし、出店の数も多い!流石は〇×大学の文化祭って感じ。)
うちの大学は生徒数も多い分、大学の土地も比例して広大なので出し物の規模も圧巻だった。
(さて、どこか手伝えるところはあるかな?)
出し物を見ているうちにあっというまに掲示板の前にたどり着いたので、俺は文化祭の設営ボランティア募集のお知らせがないか確認した。学生向けの大抵の情報はこの掲示板に貼り出されているので目的のものもすぐに見つかるはずだ。
(あ!あったあった!えーと今募集してるのは、α・β男性はテント設営と大道具運搬、女性とΩは体育館のパイプ椅子運搬・整列と演劇の衣装作りか…。)
Ωはα・β男性と比べると筋力が低い傾向にあるので仕事内容は女性と一緒に括られることが多い。
かくいう俺も高校の頃、筋トレにハマって約一年程度鍛えていたが、一向に筋肉がつかず諦めた経験がある。
最近でもたまにペットボトルの蓋すら開けられないことがあって、総一郎に開けてもらったりしていた。
(うーん、裁縫は苦手だし、力仕事も苦手だけどパイプ椅子の運搬と整列なら俺でも役に立てるよな?)
手伝いに行く場所を決めて体育館に向かおうとすると、突然背の高い男3人組が俺の前に立ちはだかった。
「あれあれぇ~?性悪Ωちゃん発見www」
「今日は彼氏と一緒じゃないの珍しいね~?とうとう捨てられちゃった~??身の丈に合ってなかったもんね?」
「目ざわりだ。消えろ。クソΩ。」
ぞろぞろと悪意のある言葉を三者三葉に投げかけてくる男達に、一瞬俺の事を言ってるのか?と耳を疑った。
(ん?誰だ?この人達…?もしかして俺に話しかけてる?)
性悪だなんてひなや総一郎が言われるならともかく、いたいけな俺がかけられていい言葉ではない。
俺はただ、俺を裏切ったあいつらに手段を選ばずに復讐してこの上ない屈辱と地獄の苦しみを味合わせてやろうと企んでいるだけなのに…。
「あの、それってまさか俺の事じゃないですよね?全く身に覚えがないんですけど。」
「は?あんた以外に誰がいんだよ?」
「すずめちゃんさぁ、すっとぼけたって無駄だよ?うちのひなっちを泣かせた以上、俺たちは絶対に君の事を許さないからね?」
一応念のために聞いてみるも、すずめという名前が出てきた以上俺に話しかけているのだろう。心当たりはないけど。
…いや待て。今聞き捨てならないワードが聞こえたような…。
(ひなっち…?なんか嫌な予感がする…)
「あの、ひなっちってもしかして愛野ひなの事ですか?」
「そうだよ。うちの大事なマネージャーの愛野ひなちゃん。頑張り屋で純粋で可愛くて君とは大違いのΩね。」
(やっぱりひなの知り合いか…。発言から察するに…テニスサークルの人たちだな。)
あの腹黒なひなの事だ。サークルのメンバーにあることないことを色々吹き込んでいてもおかしくはない。
(全く、俺は《まだ》ひなに対して泣かせるようなことは何もしていないというのに言いがかりもいい所だ。)
相手にする価値も無いと思い、素通りしようとすると3人の中で一番ごついケツ顎ひげ面男に手首をギリギリと強く掴まれて低い声で凄まれた。
「待て。ひなを泣かせたことを謝って総一郎と別れるってここで宣言しろ。それまでこの手は離さない。」
必死に手を振りほどこうとするも、相手はびくともしなかった。
このまま俺が何も言わないと解放してくれないつもりなんだろうか?
百歩譲って総一郎と別れると言うのはいいとして、ひなに謝るだなんて絶対嫌だ。
(いたたた…こんなことならやっぱり筋トレ続けとくんだった!)
掲示板につくまでに様々な出店やアトラクションなどが目に入り、柄にもなくはしゃいでしまった。
去年の文化祭は総一郎と家で過ごすために欠席していたので何もかもが新鮮に見える。
(すごいなぁ。一つ一つの出し物のクオリティも高いし、出店の数も多い!流石は〇×大学の文化祭って感じ。)
うちの大学は生徒数も多い分、大学の土地も比例して広大なので出し物の規模も圧巻だった。
(さて、どこか手伝えるところはあるかな?)
出し物を見ているうちにあっというまに掲示板の前にたどり着いたので、俺は文化祭の設営ボランティア募集のお知らせがないか確認した。学生向けの大抵の情報はこの掲示板に貼り出されているので目的のものもすぐに見つかるはずだ。
(あ!あったあった!えーと今募集してるのは、α・β男性はテント設営と大道具運搬、女性とΩは体育館のパイプ椅子運搬・整列と演劇の衣装作りか…。)
Ωはα・β男性と比べると筋力が低い傾向にあるので仕事内容は女性と一緒に括られることが多い。
かくいう俺も高校の頃、筋トレにハマって約一年程度鍛えていたが、一向に筋肉がつかず諦めた経験がある。
最近でもたまにペットボトルの蓋すら開けられないことがあって、総一郎に開けてもらったりしていた。
(うーん、裁縫は苦手だし、力仕事も苦手だけどパイプ椅子の運搬と整列なら俺でも役に立てるよな?)
手伝いに行く場所を決めて体育館に向かおうとすると、突然背の高い男3人組が俺の前に立ちはだかった。
「あれあれぇ~?性悪Ωちゃん発見www」
「今日は彼氏と一緒じゃないの珍しいね~?とうとう捨てられちゃった~??身の丈に合ってなかったもんね?」
「目ざわりだ。消えろ。クソΩ。」
ぞろぞろと悪意のある言葉を三者三葉に投げかけてくる男達に、一瞬俺の事を言ってるのか?と耳を疑った。
(ん?誰だ?この人達…?もしかして俺に話しかけてる?)
性悪だなんてひなや総一郎が言われるならともかく、いたいけな俺がかけられていい言葉ではない。
俺はただ、俺を裏切ったあいつらに手段を選ばずに復讐してこの上ない屈辱と地獄の苦しみを味合わせてやろうと企んでいるだけなのに…。
「あの、それってまさか俺の事じゃないですよね?全く身に覚えがないんですけど。」
「は?あんた以外に誰がいんだよ?」
「すずめちゃんさぁ、すっとぼけたって無駄だよ?うちのひなっちを泣かせた以上、俺たちは絶対に君の事を許さないからね?」
一応念のために聞いてみるも、すずめという名前が出てきた以上俺に話しかけているのだろう。心当たりはないけど。
…いや待て。今聞き捨てならないワードが聞こえたような…。
(ひなっち…?なんか嫌な予感がする…)
「あの、ひなっちってもしかして愛野ひなの事ですか?」
「そうだよ。うちの大事なマネージャーの愛野ひなちゃん。頑張り屋で純粋で可愛くて君とは大違いのΩね。」
(やっぱりひなの知り合いか…。発言から察するに…テニスサークルの人たちだな。)
あの腹黒なひなの事だ。サークルのメンバーにあることないことを色々吹き込んでいてもおかしくはない。
(全く、俺は《まだ》ひなに対して泣かせるようなことは何もしていないというのに言いがかりもいい所だ。)
相手にする価値も無いと思い、素通りしようとすると3人の中で一番ごついケツ顎ひげ面男に手首をギリギリと強く掴まれて低い声で凄まれた。
「待て。ひなを泣かせたことを謝って総一郎と別れるってここで宣言しろ。それまでこの手は離さない。」
必死に手を振りほどこうとするも、相手はびくともしなかった。
このまま俺が何も言わないと解放してくれないつもりなんだろうか?
百歩譲って総一郎と別れると言うのはいいとして、ひなに謝るだなんて絶対嫌だ。
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