浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第9話《復讐への第一歩》

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(うわ、ひながエントリーしてる…)

ひなは自信たっぷりの小憎たらしい笑顔で『優勝候補NO.1!純粋無垢な美貌に落ちない男はまずいない!?テニスサークルの女神、愛野ひな!』などと紹介されていた。

総一郎だけじゃなくひなまで優勝候補なのか。
まぁひなも顔は学内で一番美人だと噂されてる位だし、妥当なのかもしれない。
でもこの紹介文は過剰というか、逆にこれで優勝しなかったらちょっと恥ずかしくないか?

二人とも自分の容姿に絶対的な自信を持っている分、その実、プライドもクソ高い。
これで優勝を逃せばどれだけ屈辱を受けるだろうかと想像してみるとちょっと面白い。

(もしかしたら第1の復讐への道がほんの少し見えたかもしれないな。)

俺はようやく長電話を終えてベランダから帰ってきた総一郎を背に、陰湿なのはお互い様なんだから恨みっこ無しだぞ、と一人ほくそえんだ。


「すーずめ。ふふ、なに可愛い顔して微笑んでるんだ?」
「んー?内緒!」
俺がくつろいでいるソファの後ろから総一郎がナチュラルにハグしてくる。
このままエロい空気を持ち込まれても困るので自分から会話を振ることにした。

「そういえば総一郎君って明日から始まる文化祭のミスターコンに出るんだったよね?」

俺はさりげなく雑談をするようにミスターコンの話題を出すと総一郎は照れくさそうに肯定した。

「はは、まぁね。周りが勝手に俺を推薦してきたから仕方なくだけど。でもすずめの彼氏として恥をかかせないように頑張るよ。」
「えぇ!恥だなんてとんでもないよ。頑張ってね、絶対俺も応援に行くから。」

周りが勝手にとか言いながら満更でもなさそうなのが腹立たしいが、一応建前でガッツポーズしながら応援の言葉をかけてやった。

(なーにが恥かかせないようにだ。お前とひなに騙されてとっくに恥かいてるんだよ、こっちは。)

「はは、ガッツポーズしててかわい♡ありがとう。すずめが応援してくれるなら百人力だよ。」
「うん!なるべく前の席とれるようにするからね。あ!そういえばひなちゃんもオメガコンテストに出るんだってね?」

ここでさりげなくひなの話題を出してみる。俺とひなは幼馴染で総一郎との会話でも度々話題に出すから怪しまれることは無い筈だ。

「へぇ。ひなが?それは知らなかったな。」

…怪しまれはしなかったが、さも興味がありませんと言ったような表情を作って返事をしてきた。
彼は彼で俺に浮気を疑われないように演技しているのだろう。
だが動揺したのか少しボロが出たな。
お前はちょっと前まではひなのことは愛野さんもしくはマネージャーと呼んでいたはずだ。

そもそもの話、ひながオメコンにエントリーしているのを知らないっていうのも白々しい。裏であれだけいちゃついてる癖にオメコン出場のことを知らないってありえないだろ。

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