8 / 169
第1章
第8話《ミスターコンテスト出場者》
しおりを挟む
「えへへ、総一郎君許してくれてやさしい。ちゅ。すき。」
総一郎に疑われないように今まで通り決まりごとのおはようのキスをバードキス程度にしかけると総一郎は物足りなかったのか舌を入れてディープキスをしかけてきた。
「すずめ…。僕だって君ほど優しい天使は見た事が無いよ。ん、愛してる。」
ってちょっと待て。
今気づいたんだが俺達ってこんなに寝ても覚めてもアホみたいにちゅっちゅちゅっちゅしてたのか…?
いや、今までの俺気持ち悪。
おはようのキス、洗面台で一緒に洗顔をした時にキス、行ってきますのキス、ただいまのキス、おやすみのキス、キス、キスキスキス…
今思うと家だけならまだしも大学でもずっとこんなだったような気がする。
(うわぁ勘弁してくれ…)
総一郎に夢中で周りが見えていなかったことに今更ながら恥じらいを感じる。
どおりでひな以外に友達が全然いないはずだ。
大学にいるときでさえ講義とテニスサークルの時間以外は四六時中総一郎と一緒にいて恋愛以外の青春を全く謳歌していなかった。
唯一の友人だったひなも裏切者で総一郎との恋愛も無駄な時間だったと分かった今、復讐はこなしながらもちゃんとした友人を作って今のうちに健全な青春を満喫しておこうと反省した。
それから俺は二度寝を諦め、手っ取り早く汚れた寝巻を洗濯した後、昨日の御馳走の残りを朝ごはんに出して二人で食べた。
まずは精をつけようといつもより多めに食べようとしたからちょっとお腹が苦しい。
朝食後、少しでも消化を良くするためにストレッチをしているとピリリリリと着信が鳴った。このシンプルな着信音は総一郎のスマホだ。
「ああ、ごめん。ちょっと電話に出てくるよ。」
「はーい。」
総一郎は俺に断りを入れてベランダに出て通話をし始めた。
このマンションは完全防音になっていてここからベランダの音は聞こえない。
一瞬見えた着信画面には愛野ひなと書かれていたような気がするが見なかったことにしよう。
しばらくの間一人になった俺は今日から何をしようかと予定を考えはじめた。
(とりあえず明日からの文化祭に参加してみようかな。)
復讐をするにしてもまずはストレス発散してメンタルケアが必要だし、確か総一郎も文化祭の一大イベントのミスターコンテストに出場するとか言っていたはずだ。何か復讐への足がかりになるかもしれない。
スマホで『〇×大学文化祭 ミスターコン』と検索してみると文化祭の公式サイトに繋がり、スクロールすると出場者の写真がずらっと並んでいた。
出場者はαがほとんどでβが一人しかいない。
コンテストは自薦と他薦両方OKで、写真を見る限りみんなイケメン揃いだ。
(ただ、見た目だけで言うとやはり総一郎が一番美形ではあるんだよなぁ…。)
全体的に色素が薄く髪もサラサラで鼻筋の通った甘い顔立ち。
街を歩けば大抵の人が振り向くし、スカウトから声をかけられている場面を幾度となく見る。
案の定、総一郎の紹介文には『圧倒的優勝候補!他薦票数NO.1!完全無欠の王子様、鷹崎総一郎!』と書かれており校内で一番他薦の票が多かったらしい。
やっぱり総一郎が優勝候補か…。
ちょっと前までだったら全力で応援していたが今あいつに優勝されても何も面白くない。
(ミスターコンは見るのやめよう)
他にイベントがないかサイト内を色々タップしてみると、
今度はオメガコンテストの一覧が表示された。
オメガコンテストとはミスコンとほぼ同じ内容のイベントではあるが、出場資格がΩ限定で主に美しさ等を競うコンテストだ。略してオメコンと呼ばれている。
(そういえばこの大学、オメコンもあるんだった。どんな人が出るんだろう。)
なんとはなしに出場者一覧を眺めていると今一番見たくない顔がそこにはあった。
総一郎に疑われないように今まで通り決まりごとのおはようのキスをバードキス程度にしかけると総一郎は物足りなかったのか舌を入れてディープキスをしかけてきた。
「すずめ…。僕だって君ほど優しい天使は見た事が無いよ。ん、愛してる。」
ってちょっと待て。
今気づいたんだが俺達ってこんなに寝ても覚めてもアホみたいにちゅっちゅちゅっちゅしてたのか…?
いや、今までの俺気持ち悪。
おはようのキス、洗面台で一緒に洗顔をした時にキス、行ってきますのキス、ただいまのキス、おやすみのキス、キス、キスキスキス…
今思うと家だけならまだしも大学でもずっとこんなだったような気がする。
(うわぁ勘弁してくれ…)
総一郎に夢中で周りが見えていなかったことに今更ながら恥じらいを感じる。
どおりでひな以外に友達が全然いないはずだ。
大学にいるときでさえ講義とテニスサークルの時間以外は四六時中総一郎と一緒にいて恋愛以外の青春を全く謳歌していなかった。
唯一の友人だったひなも裏切者で総一郎との恋愛も無駄な時間だったと分かった今、復讐はこなしながらもちゃんとした友人を作って今のうちに健全な青春を満喫しておこうと反省した。
それから俺は二度寝を諦め、手っ取り早く汚れた寝巻を洗濯した後、昨日の御馳走の残りを朝ごはんに出して二人で食べた。
まずは精をつけようといつもより多めに食べようとしたからちょっとお腹が苦しい。
朝食後、少しでも消化を良くするためにストレッチをしているとピリリリリと着信が鳴った。このシンプルな着信音は総一郎のスマホだ。
「ああ、ごめん。ちょっと電話に出てくるよ。」
「はーい。」
総一郎は俺に断りを入れてベランダに出て通話をし始めた。
このマンションは完全防音になっていてここからベランダの音は聞こえない。
一瞬見えた着信画面には愛野ひなと書かれていたような気がするが見なかったことにしよう。
しばらくの間一人になった俺は今日から何をしようかと予定を考えはじめた。
(とりあえず明日からの文化祭に参加してみようかな。)
復讐をするにしてもまずはストレス発散してメンタルケアが必要だし、確か総一郎も文化祭の一大イベントのミスターコンテストに出場するとか言っていたはずだ。何か復讐への足がかりになるかもしれない。
スマホで『〇×大学文化祭 ミスターコン』と検索してみると文化祭の公式サイトに繋がり、スクロールすると出場者の写真がずらっと並んでいた。
出場者はαがほとんどでβが一人しかいない。
コンテストは自薦と他薦両方OKで、写真を見る限りみんなイケメン揃いだ。
(ただ、見た目だけで言うとやはり総一郎が一番美形ではあるんだよなぁ…。)
全体的に色素が薄く髪もサラサラで鼻筋の通った甘い顔立ち。
街を歩けば大抵の人が振り向くし、スカウトから声をかけられている場面を幾度となく見る。
案の定、総一郎の紹介文には『圧倒的優勝候補!他薦票数NO.1!完全無欠の王子様、鷹崎総一郎!』と書かれており校内で一番他薦の票が多かったらしい。
やっぱり総一郎が優勝候補か…。
ちょっと前までだったら全力で応援していたが今あいつに優勝されても何も面白くない。
(ミスターコンは見るのやめよう)
他にイベントがないかサイト内を色々タップしてみると、
今度はオメガコンテストの一覧が表示された。
オメガコンテストとはミスコンとほぼ同じ内容のイベントではあるが、出場資格がΩ限定で主に美しさ等を競うコンテストだ。略してオメコンと呼ばれている。
(そういえばこの大学、オメコンもあるんだった。どんな人が出るんだろう。)
なんとはなしに出場者一覧を眺めていると今一番見たくない顔がそこにはあった。
1,084
お気に入りに追加
3,674
あなたにおすすめの小説

十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

国王の嫁って意外と面倒ですね。
榎本 ぬこ
BL
一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。
愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。
他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。


初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる