浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

飴雨あめ

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第1章

第8話《ミスターコンテスト出場者》

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「えへへ、総一郎君許してくれてやさしい。ちゅ。すき。」

総一郎に疑われないように今まで通り決まりごとのおはようのキスをバードキス程度にしかけると総一郎は物足りなかったのか舌を入れてディープキスをしかけてきた。

「すずめ…。僕だって君ほど優しい天使は見た事が無いよ。ん、愛してる。」


ってちょっと待て。
今気づいたんだが俺達ってこんなに寝ても覚めてもアホみたいにちゅっちゅちゅっちゅしてたのか…?

いや、今までの俺気持ち悪。
おはようのキス、洗面台で一緒に洗顔をした時にキス、行ってきますのキス、ただいまのキス、おやすみのキス、キス、キスキスキス…
今思うと家だけならまだしも大学でもずっとこんなだったような気がする。

(うわぁ勘弁してくれ…)
総一郎に夢中で周りが見えていなかったことに今更ながら恥じらいを感じる。
どおりでひな以外に友達が全然いないはずだ。
大学にいるときでさえ講義とテニスサークルの時間以外は四六時中総一郎と一緒にいて恋愛以外の青春を全く謳歌していなかった。

唯一の友人だったひなも裏切者で総一郎との恋愛も無駄な時間だったと分かった今、復讐はこなしながらもちゃんとした友人を作って今のうちに健全な青春を満喫しておこうと反省した。



それから俺は二度寝を諦め、手っ取り早く汚れた寝巻を洗濯した後、昨日の御馳走の残りを朝ごはんに出して二人で食べた。
まずは精をつけようといつもより多めに食べようとしたからちょっとお腹が苦しい。

朝食後、少しでも消化を良くするためにストレッチをしているとピリリリリと着信が鳴った。このシンプルな着信音は総一郎のスマホだ。
「ああ、ごめん。ちょっと電話に出てくるよ。」
「はーい。」

総一郎は俺に断りを入れてベランダに出て通話をし始めた。
このマンションは完全防音になっていてここからベランダの音は聞こえない。
一瞬見えた着信画面には愛野ひなと書かれていたような気がするが見なかったことにしよう。

しばらくの間一人になった俺は今日から何をしようかと予定を考えはじめた。

(とりあえず明日からの文化祭に参加してみようかな。)
復讐をするにしてもまずはストレス発散してメンタルケアが必要だし、確か総一郎も文化祭の一大イベントのミスターコンテストに出場するとか言っていたはずだ。何か復讐への足がかりになるかもしれない。

スマホで『〇×大学文化祭 ミスターコン』と検索してみると文化祭の公式サイトに繋がり、スクロールすると出場者の写真がずらっと並んでいた。
出場者はαがほとんどでβが一人しかいない。
コンテストは自薦と他薦両方OKで、写真を見る限りみんなイケメン揃いだ。

(ただ、見た目だけで言うとやはり総一郎が一番美形ではあるんだよなぁ…。)

全体的に色素が薄く髪もサラサラで鼻筋の通った甘い顔立ち。
街を歩けば大抵の人が振り向くし、スカウトから声をかけられている場面を幾度となく見る。

案の定、総一郎の紹介文には『圧倒的優勝候補!他薦票数NO.1!完全無欠の王子様、鷹崎総一郎!』と書かれており校内で一番他薦の票が多かったらしい。

やっぱり総一郎が優勝候補か…。
ちょっと前までだったら全力で応援していたが今あいつに優勝されても何も面白くない。

(ミスターコンは見るのやめよう)

他にイベントがないかサイト内を色々タップしてみると、
今度はオメガコンテストの一覧が表示された。
オメガコンテストとはミスコンとほぼ同じ内容のイベントではあるが、出場資格がΩ限定で主に美しさ等を競うコンテストだ。略してオメコンと呼ばれている。

(そういえばこの大学、オメコンもあるんだった。どんな人が出るんだろう。)

なんとはなしに出場者一覧を眺めていると今一番見たくない顔がそこにはあった。
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