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ありきた

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22話 特別な夜明け

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 一睡もしないまま朝を迎えたわたしたちは、体を横たわらせたまま余韻に浸り、時折相手の方に視線を向けて頬を緩める。
 このまま眠ってしまいたいところだけど、さすがにそれはできない。
 暖房が効いているとはいえ裸のままだと風邪を引いてしまうし、二人とも汗や唾液などで体中がベトベトだ。

「シャワー浴びましょうか」

「うんっ」

 わたしたちはゆっくりと体を起こして、パジャマを体に羽織る。
 当たり前のように手を繋いで指を絡め、着替えを持って脱衣所に向かう。
 途中でまったくの同時にあくびを漏らし、思わずクスッと笑いがこぼれた。
 脱衣所に着いてパジャマを脱ぎ、ふと鏡に視線を向ける。
 ところどころにキスマークが付いていて、昨夜の出来事が現実であることをハッキリと証明してくれていた。
 さりげなくつぐみさんの体も見てみると、同じようにうっすらと跡が残っている。
 無自覚ながら、それなりに強く吸ってしまったらしい。

「つぐみさんは年末年始も寮に残るんですか?」

 扉を開けて浴室に進み、あわよくば一緒に過ごしたいなんて思いつつ問いかける。

「ううん、実家に帰るよ~」

「そ、そうですよね」

「美夢ちゃんがよければ、大晦日から元旦にかけて通話しない?」

「ぜひお願いします!」

 少なからず落ち込みかけていたところ、つぐみさんの一言によって一気にテンションが跳ね上がった。

「つぐみさんっ、つぐみさんっ、大好きですっ」

 徹夜明けということもあって自制心の働きが弱く、わたしはつぐみさんを思いっきり抱きしめる。
 それに加え、さりげなく脚を絡ませたり、お尻を触ったり、ほっぺたにキスしたり。

「み、美夢ちゃん、落ち着――んむっ!」

 突然の事態に動揺するつぐみさんの唇を奪い、密着させた肌を擦り合わせる。
 ほどなくしてつぐみさんの方からも抱きしめてくれて、わたしたちは本来の目的を後回しにして熱い抱擁を交わしながら何度もキスを繰り返した。
 以前のわたしだったら、どれだけテンションが上がっていても、ここまで大胆にはなれなかったはずだ。
 つぐみさんにしても、戸惑いの方が強かったんじゃないだろうか。
 一線を越えたことで、最後の最後に残っていた見えない壁のようなものが、完全に取り払われたような気がする。
 とは言っても――

「そ、そろそろ、洗いましょうか」

「う、うん、そうだね」

 ふと我に返った時に羞恥心を感じなくなる域に達するには、まだまだ経験を積む必要がありそうだ。
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