恋愛、はじめました

ありきた

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14話 二人で迎える朝

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 ファーストキスから一夜が明けた。
 眠りから覚めると、恋人の温もりと匂いをすぐ近くに感じる。
昨夜のキスを思い出しながら、幸せな気分でゆっくりとまぶたを開く。

「……っ」

 向き合う体勢で寝ていたらしく、文字通り目と鼻の先につぐみさんの顔がある。
 朝一番につぐみさんの寝顔を見て、寝ぼけてる場合じゃないと責めるように心臓がドクンッと跳ねた。
 すやすやと寝息を立てる愛らしい寝顔を間近で眺め、どうにかギリギリのところで理性を保つ。
 そうしている間につぐみさんも目を覚まし、わたしが起きていることに気付いてニコッと微笑んでくれた。
 暖房や布団の温もりとは異なる要因で、わたしの体温がどんどん上昇していく。

「みゆちゃん、おはよぉ」

「~~~~っ!」

 寝起きのふにゃっとした表情と声があまりにもかわいくて、かろうじて維持できていた理性が完全に崩れ去ってしまう。
 ――つぐみさん、ごめんなさい!
 胸中で謝罪するのに先んじて、つぐみさんを思いっきり抱きしめる。
 すると、驚いて体が強張ったのも束の間、すぐさまわたしの背中に腕を回して抱きしめ返してくれた。

「ふふっ。美夢ちゃん、あったかい」

「つ、つぐみさんも、温かいです」

 自分から抱きしめておいてなんだけど、頭の中が真っ白になるぐらいドキドキしてる。
 ピッタリと密着した胸からつぐみさんの鼓動も伝わってきて……わたしと同じぐらいドキドキしているのを感じ、嬉しく思うのと同時に、すごく安心した。
 しばらく抱擁を続けた後、ほんの少し腕の力を弱め、再び顔を合わせる。
 あえて言葉にしなくても意思は伝わり、お互いにゆっくりと距離を詰めていく。
 誰にも邪魔されない二人きりの空間で、わたしたちは心行くまでキスを堪能した。
 終わってからしばらく頬の火照りが冷めなかったけど、こればかりはきっと、いつまで経っても慣れることはないだろう。
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