甘美な百合には裏がある

ありきた

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113話 初めてのスーパー銭湯②

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 適度に温まったところで薬湯から離れ、次はサウナへと向かう。
 タオルは髪をまとめるのに使っているので、五人とも大事なところを隠せない。
 かと言って髪を下ろせば、汗で体に貼り付いてしまうのが煩わしい。
 運動中も思ったけど、今日に限ってヘアゴムを持参しなかったことが悔やまれる。
 サウナの中は階段状に座る場所が設けられ、アリス先輩と真里亜先輩が一段目、二段目には葵先輩と姫歌先輩に私が挟まれる形で腰を下ろす。

「いまさらだけど、また汗だくになっちゃうね~」

 額の汗を拭いつつ、葵先輩が苦笑を漏らす。

「本当ね❤ でも、汗だくの悠理を抱きしめて肌と肌を触れ合わせるチャンスよ❤」

 いまサウナは私たちの貸し切り状態だから、姫歌先輩が家や部室にいる時と同じ感覚で意見を出す。

「確かに!」

「確かにじゃないですよ」

「え~っ。ちゃんと汗を洗い流した後で抱き着くから、汚くないよ?」

「違いますよ、私の汗で先輩たちを汚してしまうのが嫌なんです」

 汗だくの先輩に抱き着いてもらえるのは、むしろご褒美だ。
 私が体をきれいにした後であれば、ぜひともギュッと抱きしめてもらいたい。

「ってことは、なにも問題ないねっ。ぎゅ~っ」

「あらあら❤ わたしも混ぜて❤」

「そ、それなら、アリスも」

「あたしにも抱かせなさいよね」

「んなっ!?」

 ちょっと油断した隙に、先輩たちがあちこちから抱き着いてきた。
 極上の感覚であることは言うまでもなく、自分でも分かるほど表情に喜びが滲み出る。
 先輩たちのきれいな体に私の汗が付着することへの罪悪感は拭えないけど、この場は素直に幸せを享受するとしよう。

「ぺろっ……うふふ❤ ちょっとしょっぱい❤」

「ひゃっ! ひ、姫歌先輩、急に首筋を舐めないでください!」

「あ~、やっぱ悠理のおっぱいは最高だねっ」

「んぁっ、葵先輩、胸を揉んじゃダメです!」

「蔑むように見下しながら、つばを吐き捨ててちょうだい。もちろん蹴り飛ばしてくれてもいいわよ」

「嫌です!」

「あ、足にも、汗、かいてるね。一週間ぐらい、ブーツを履き続けたら、ど、どうなるのかな」

「大変なことになりますよ!」

「悠理、しーっ❤ ここは公共の場だから、もう少し静かにしないとダメよ❤」

「ご、ごめんなさい」

 先輩たちの大胆な絡みに動揺して、うっかり声を荒げてしまった。

「さて、と。限界も近いし、そろそろ出よっか~」

「そ、そうだね、これ以上は、む、無理」

 葵先輩とアリス先輩がスッと立ち上がり、姫歌先輩と真里亜先輩も同時に腰を上げる。

「裸で密着するのは、やっぱり刺激が強すぎるわねぇ❤」

「理性が壊れる寸前って感じだわ」

 なるほど。
 先輩たちも私と同じく、必死で理性を保っていたらしい。
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