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106話 隠れた特技①
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昼食から二時間ほど経った頃。テーブルに置かれた大皿には、真里亜先輩がデザートとして切ってくれたフルーツが並んでいる。
リンゴ、ブドウ、オレンジ、パイナップル、グレープフルーツ。これらが大輪の花のように盛り付けられていて、見た目からしてすでにおいしい。
肝心の味はと言うと、真里亜先輩が選んだだけあって文句なく美味。
「姫歌って見かけに寄らず怪力だから、リンゴを握り潰せそうだよね~」
「うふふ❤ できるわよ❤」
葵先輩が冗談っぽく発した言葉に、姫歌先輩があっさりとうなずく。
この細腕のどこにそんな力があるのか不思議だけど、いとも容易く二階によじ登るような人なので、驚きはしても仰天するほどのことではない。
「フレッシュジュースを作りたくなったら、姫歌にお願いしようかしら」
「いいですね」
真里亜先輩の意見に、すぐさま賛成する。
その時はぜひ、果物を絞り終えて果汁でべとべとになった手を舐め――いやいや、なんでもない。
「か、隠れた特技、だね」
「あーしもあるよ、隠れた特技!」
「あらあら❤ なにかしらぁ❤」
「めちゃくちゃ体が柔らかいんだよ~。ん、しょ……ほらねっ」
葵先輩は立ち上がってテーブルから少し離れ、見事なI字バランスを披露する。
「すっ、すごいです!」
天井から糸で吊っているかのようにピンと一直線に伸びていて、実に美しい。
柔軟性はもちろん、バランス感覚も並ではない。
「あとはね~、こんなこともできるよ」
葵先輩は姿勢を変えてその場で逆立ちすると、大きく開脚して足をぐにゃりと曲げ、顔の近くに持って行く。
軟体動物のような柔軟性を存分に発揮して、他にも思い付いた動きを次々と実践してくれた。
当然ながら誰にも真似できない芸当であり、私たちは席に着く葵先輩を盛大な拍手で称える。
続いてアリス先輩が、実は早口言葉が得意だと明かす。
とはいえ、この場で行うには必要な条件があって……。
リンゴ、ブドウ、オレンジ、パイナップル、グレープフルーツ。これらが大輪の花のように盛り付けられていて、見た目からしてすでにおいしい。
肝心の味はと言うと、真里亜先輩が選んだだけあって文句なく美味。
「姫歌って見かけに寄らず怪力だから、リンゴを握り潰せそうだよね~」
「うふふ❤ できるわよ❤」
葵先輩が冗談っぽく発した言葉に、姫歌先輩があっさりとうなずく。
この細腕のどこにそんな力があるのか不思議だけど、いとも容易く二階によじ登るような人なので、驚きはしても仰天するほどのことではない。
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「いいですね」
真里亜先輩の意見に、すぐさま賛成する。
その時はぜひ、果物を絞り終えて果汁でべとべとになった手を舐め――いやいや、なんでもない。
「か、隠れた特技、だね」
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「あらあら❤ なにかしらぁ❤」
「めちゃくちゃ体が柔らかいんだよ~。ん、しょ……ほらねっ」
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「すっ、すごいです!」
天井から糸で吊っているかのようにピンと一直線に伸びていて、実に美しい。
柔軟性はもちろん、バランス感覚も並ではない。
「あとはね~、こんなこともできるよ」
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軟体動物のような柔軟性を存分に発揮して、他にも思い付いた動きを次々と実践してくれた。
当然ながら誰にも真似できない芸当であり、私たちは席に着く葵先輩を盛大な拍手で称える。
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とはいえ、この場で行うには必要な条件があって……。
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