106 / 124
105話 深夜にこっそり盗み聞き
しおりを挟む
就寝してからどれほど経ったのだろう。
周囲からひそひそ声が聞こえ、眠りから覚める。
まだ夜中だよね……先輩たち、なに話してるのかな……。
「……で……なら……悠理の…………」
意識が薄れていく感覚に身を委ねていたら、不意に自分の名前が出たことにより眠気が霧散した。
話の内容が気になり、目をつむったまま聞き耳を立てる。
「わたしたち、悠理と出会えて本当によかったわね❤」
「うんうん、悠理がいない人生を想像するだけでゾッとするよ~」
「ゆ、悠理のおかげで、毎日が充実してて、い、いつも、幸せ」
「前は恋愛なんて興味なかったのに、悠理を好きになって価値観が一変したわ」
え……なに、これ……。
先輩たち、こんな風に、思ってくれて……。
「でもさ~、不満もあるよね」
不満っ!?
な、なんだろう。
聞きたいような、知るのが怖いような……。
「そうねぇ❤ 多分、わたしも同じことを考えてるわ❤」
「あ、アリスも、同じだと思う」
「きっとあたしも同じよ。葵が言いたいのって、悠理が優しすぎるってことじゃない?」
「そう、まさにそれだよっ。悠理ってば、自分のことよりあーしたちのことを優先して考えてくれてるんだもん」
「す、すごく、分かる」
「愛されてるって実感できて嬉しいけど、もっと自分本位に生きても罰は当たらないわよね❤」
いやいやいやいや、私はそんなに優しくない。
先輩たちが真に優しい人だから、私の態度を大幅に美化して捉えているだけだ。
「それと、あのかわいさは反則じゃないかしら」
「うふふ❤ あらゆる病の特効薬と言っても過言じゃないわねぇ❤」
「不意に見せてくれる笑顔とか、特にヤバいよね~」
「こ、心が、浄化される」
先輩たちにかわいいって言ってもらえた!
嬉しい! めちゃくちゃ嬉しい!
喜びが隠し切れず、口元が緩んでしまう。
さっきは感動のあまり涙が滝のように溢れたし、和室が真っ暗闇で助かった。
もうしばらく寝たフリを続けて、先輩たちの会話を盗み聞きさせてもらおう。
「ところで……わたしたち、この夏休み中に悠理と、その……え、エッチ、しちゃうのかしら❤」
っ!?
その単語が飛び出た瞬間、心臓がドクンッと跳ねた。
「で、できるなら、絶対に、し、したい」
「きっと悠理も望んでくれてるはず、と信じたいわね」
「その時が来たら、あーしたちがリードしてあげなきゃね~」
「そうね❤ 全員が初めてとはいえ、悠理は一人でわたしたち四人を相手にするんだもの❤ 負担は少しでも減らしてあげたいわ❤」
姫歌先輩の言葉に全員が同調し、私は先輩たちの温かな心遣いに胸がジーンと熱くなるのを感じた。
「ちなみに、みんなはやってみたいプレイとかある? あーしはおっぱい吸ったり、全身にキスしたいっ」
「あらあら❤ わたしはやっぱり、大切なところで触れ合いたいわねぇ❤」
「あたしは顔に座ってもらいたいわ。できれば、グリグリ擦り付ける感じで」
「あ、アリスは、お、お尻の穴、舐めてみたい」
し、刺激的すぎる……っ!
なまじ視界が閉ざされているために想像力が働き、行為に及んでいる姿が脳内に描き出される。
このままではいろいろとマズい。
先輩たちの気持ちも聞けたし、そろそろ盗み聞きを終えるとしよう。
羊が一匹、羊が二匹……。
私は一刻も早く眠りへ落ちるため、古典的な手段を行使する。
興奮しすぎてなかなか寝付けず、ようやく意識が薄れ始めた頃には、日常生活においてまず使わない桁数にまで到達していた。
周囲からひそひそ声が聞こえ、眠りから覚める。
まだ夜中だよね……先輩たち、なに話してるのかな……。
「……で……なら……悠理の…………」
意識が薄れていく感覚に身を委ねていたら、不意に自分の名前が出たことにより眠気が霧散した。
話の内容が気になり、目をつむったまま聞き耳を立てる。
「わたしたち、悠理と出会えて本当によかったわね❤」
「うんうん、悠理がいない人生を想像するだけでゾッとするよ~」
「ゆ、悠理のおかげで、毎日が充実してて、い、いつも、幸せ」
「前は恋愛なんて興味なかったのに、悠理を好きになって価値観が一変したわ」
え……なに、これ……。
先輩たち、こんな風に、思ってくれて……。
「でもさ~、不満もあるよね」
不満っ!?
な、なんだろう。
聞きたいような、知るのが怖いような……。
「そうねぇ❤ 多分、わたしも同じことを考えてるわ❤」
「あ、アリスも、同じだと思う」
「きっとあたしも同じよ。葵が言いたいのって、悠理が優しすぎるってことじゃない?」
「そう、まさにそれだよっ。悠理ってば、自分のことよりあーしたちのことを優先して考えてくれてるんだもん」
「す、すごく、分かる」
「愛されてるって実感できて嬉しいけど、もっと自分本位に生きても罰は当たらないわよね❤」
いやいやいやいや、私はそんなに優しくない。
先輩たちが真に優しい人だから、私の態度を大幅に美化して捉えているだけだ。
「それと、あのかわいさは反則じゃないかしら」
「うふふ❤ あらゆる病の特効薬と言っても過言じゃないわねぇ❤」
「不意に見せてくれる笑顔とか、特にヤバいよね~」
「こ、心が、浄化される」
先輩たちにかわいいって言ってもらえた!
嬉しい! めちゃくちゃ嬉しい!
喜びが隠し切れず、口元が緩んでしまう。
さっきは感動のあまり涙が滝のように溢れたし、和室が真っ暗闇で助かった。
もうしばらく寝たフリを続けて、先輩たちの会話を盗み聞きさせてもらおう。
「ところで……わたしたち、この夏休み中に悠理と、その……え、エッチ、しちゃうのかしら❤」
っ!?
その単語が飛び出た瞬間、心臓がドクンッと跳ねた。
「で、できるなら、絶対に、し、したい」
「きっと悠理も望んでくれてるはず、と信じたいわね」
「その時が来たら、あーしたちがリードしてあげなきゃね~」
「そうね❤ 全員が初めてとはいえ、悠理は一人でわたしたち四人を相手にするんだもの❤ 負担は少しでも減らしてあげたいわ❤」
姫歌先輩の言葉に全員が同調し、私は先輩たちの温かな心遣いに胸がジーンと熱くなるのを感じた。
「ちなみに、みんなはやってみたいプレイとかある? あーしはおっぱい吸ったり、全身にキスしたいっ」
「あらあら❤ わたしはやっぱり、大切なところで触れ合いたいわねぇ❤」
「あたしは顔に座ってもらいたいわ。できれば、グリグリ擦り付ける感じで」
「あ、アリスは、お、お尻の穴、舐めてみたい」
し、刺激的すぎる……っ!
なまじ視界が閉ざされているために想像力が働き、行為に及んでいる姿が脳内に描き出される。
このままではいろいろとマズい。
先輩たちの気持ちも聞けたし、そろそろ盗み聞きを終えるとしよう。
羊が一匹、羊が二匹……。
私は一刻も早く眠りへ落ちるため、古典的な手段を行使する。
興奮しすぎてなかなか寝付けず、ようやく意識が薄れ始めた頃には、日常生活においてまず使わない桁数にまで到達していた。
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる