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49話 天使の微笑み
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今日は朝から気温や湿度が高く、たまに吹くそよ風だけが唯一の清涼剤という有り様。ここ最近の中でも群を抜いて不快指数が高い。
すれ違う人々が蒸し暑さにうんざりしているのは一目瞭然で、傍目には私も同じように映っていることだろう。
そんな中、明らかに他と一線を画す様子を見せる先輩が一人、ここにいる。
「うぇへへ、今日は悠理のパンツと靴下、すごく蒸れてるよね♪ じゅるりっ。こんなに蒸し暑いと過ごしづらいけど、アリスにとっては楽しみの方が大きい♪」
いつものコミュ障ぶりが嘘のように、意気揚々と声を弾ませて踊るように部室の中を歩き回っている。
相手は年上だけど、幼い女の子がはしゃいでいるみたいで実にかわいらしい。
「うふふ❤ 本当に嬉しそうねぇ❤」
「うんうん、瞳がキラキラ輝いてるよ~」
「この姿を親戚一同に話しても、まず間違いなく嘘か白昼夢だと言われるわ」
姫歌先輩たちは一見すると普段と変わらない様子ながらも、声や雰囲気からは蒸し暑さに参っているのがうかがえる。
それゆえに、アリス先輩のハイテンションがことさら際立つ。
「ねーねー悠理、今日はたくさん汗かいた? いろんなところ蒸れてる?」
「はい、まぁ、それなりに」
私の隣で立ち止まって嬉々として問いかけるアリス先輩に、歯切れの悪い返答をする。
隠しても分かることとはいえ、明るく答えられる内容ではない。
「やったー! ハァハァ、いますぐ嗅ぎたいけど、せっかくだからもうちょっと我慢する! 焦らしに焦らしてから味わえば、待った分だけ感動も大きくなるはずだもん!」
そして数分後、アリス先輩は満を持して定位置に移動した。
荒い鼻息が下着や太ももにかかり、直後に満足気な声が漏れ、やがて軽快な鼻歌が部室に響き渡る。
部活が終わってもずっと笑顔で、帰り支度をしながら、嗅いだ感想を事細かに語ってくれた。
彼女が浮かべる眩いばかりの表情は、天使の微笑みと称するにふさわしい。
蒸れた場所を嗅がれてしまう恥ずかしさは置いておくとして――こんなに素敵な笑顔を見られるなら、蒸し暑さも決して悪いものではないと思える。
すれ違う人々が蒸し暑さにうんざりしているのは一目瞭然で、傍目には私も同じように映っていることだろう。
そんな中、明らかに他と一線を画す様子を見せる先輩が一人、ここにいる。
「うぇへへ、今日は悠理のパンツと靴下、すごく蒸れてるよね♪ じゅるりっ。こんなに蒸し暑いと過ごしづらいけど、アリスにとっては楽しみの方が大きい♪」
いつものコミュ障ぶりが嘘のように、意気揚々と声を弾ませて踊るように部室の中を歩き回っている。
相手は年上だけど、幼い女の子がはしゃいでいるみたいで実にかわいらしい。
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「この姿を親戚一同に話しても、まず間違いなく嘘か白昼夢だと言われるわ」
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「ねーねー悠理、今日はたくさん汗かいた? いろんなところ蒸れてる?」
「はい、まぁ、それなりに」
私の隣で立ち止まって嬉々として問いかけるアリス先輩に、歯切れの悪い返答をする。
隠しても分かることとはいえ、明るく答えられる内容ではない。
「やったー! ハァハァ、いますぐ嗅ぎたいけど、せっかくだからもうちょっと我慢する! 焦らしに焦らしてから味わえば、待った分だけ感動も大きくなるはずだもん!」
そして数分後、アリス先輩は満を持して定位置に移動した。
荒い鼻息が下着や太ももにかかり、直後に満足気な声が漏れ、やがて軽快な鼻歌が部室に響き渡る。
部活が終わってもずっと笑顔で、帰り支度をしながら、嗅いだ感想を事細かに語ってくれた。
彼女が浮かべる眩いばかりの表情は、天使の微笑みと称するにふさわしい。
蒸れた場所を嗅がれてしまう恥ずかしさは置いておくとして――こんなに素敵な笑顔を見られるなら、蒸し暑さも決して悪いものではないと思える。
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