甘美な百合には裏がある

３９話 敏感？

　先輩たちと過ごしているうちに、とある疑問が浮かんだ。
　四人とも性的な意味で敏感すぎるのではないだろうか、と。
　恋人関係とはいえ軽率に訊ねていいか悩んだけど、過度な遠慮は他人行儀かと思い、質問を投げることに。

「先輩たちって、かなり敏感ですよね？　えっと、その……エッチな意味で」

　念のため、齟齬がないように補足しておく。
　四人はキョトンとしたのも束の間、大したことではないとでも言うように返答を始めた。

「うふふ❤　敏感どころか、むしろ感じにくい方よ❤　悠理と出会うまでは、自分を慰めて満足するのにも苦労していたわ❤」

　姫歌先輩が頬に手を当て、懐かしむように微笑む。

「あーしも――というか、四人とも同じじゃないかな？　大好きな悠理に触ってもらえるのが嬉しくて、体が特別な反応を示しちゃってるんだよ～！」

「う、うん、た、確かに、そう。あ、アリスも、悠理が相手だと、信じられないぐらい、か、感じちゃう」

「そうね。悠理がしてくれるなら、思いっきり手を抜いたビンタですら、洗濯ばさみで乳首を挟む以上の刺激と快感を与えてくれるわ」

　先輩たちが口々に述べ立てる。
　これはもう、恋人冥利に尽きる。嬉し泣きを我慢するのが大変だ。

「ところで、悠理はどうなのかしらぁ❤」

「わ、私だって、自分で触るより先輩たちに触ってもらう方が遥かに気持ちいいですよ」

　正直に答えるのはさすがに抵抗のある内容だけど、同じことを先輩たちに要求してしまったのだから、私だけはぐらかすわけにはいかない。
　ありのまま、本当のことを伝えた。
　私の返答を聞いて、先輩たちは瞳を輝かせる。
　さらには立て続けに、触られて嬉しい場所や好みの力加減など、いろいろと質問された。

「それと、もしよかったら、なんですけど……頭を、撫でてほしいです」

　話題の主旨とは微妙に異なってしまうものの、どさくさに紛れてお願いする。
　すると、先輩たちは快くうなずいてくれた。
　四人の手が、私の頭を優しく撫でる。
　そこはかとない安心感と心地よさに、思わず頬が緩む。
　刺激的な快感もいいけど、こういう気持ちよさも大好き。