12 / 124
11話 素朴な疑問
しおりを挟む
「あ、そうだ。昨日のことなんですけど、アリス先輩って罰ゲームのときにスラスラ発音できてましたよね?」
部活中。アリス先輩がテーブルに潜ろうとするのを察し、それを妨げるために疑問を投げてみる。
日常的な行為として受け入れてはいるけど、やっぱり股間に顔を埋められるのは可能な限り避けたい。
それに、疑問として気になっているのも確かだ。
「あ、あれは、短い単語だったから、視線を防いで、ゆ、悠理のパンツの匂いを思い出して、頑張った。その後に、む、報われたから、頑張ってよかった」
「へぇ、そうなんですか」
どうしよう。もしかしたら努力を称えるべき美談なのかもしれないけど、内容が内容なだけに、自分でも驚くほど感情が冷めてしまった。
自分のパンツを嗅いだことはないけど、思い出してやる気が出るような香りではないと思う。
アリス先輩は答えるや否や第二の定位置へと移動し、相変わらずの変態行為を開始する。
私みたいな凡人を求めてくれて嬉しいものの、どうしても喜べない。とりあえず、今日は汗をかいてなくてよかった。
「昨日のことで言えば、姫歌先輩もですよ」
話の矛先を変えつつ視線を向けると、心当たりがないのか本人はキョトンとしている。
あどけない表情に思わずドキッとしてしまったのは胸の内に秘めておくとして。
「盗撮って言ってましたよね。どこにカメラを仕掛けてるのか知りませんけど、今日中に取り払ってください」
そもそも私は姫歌先輩を自室に招いたことがないんだけど、彼女を語る上では些細な問題だ。いまさらそんなことを気にしていては、時間がいくらあっても足りない。
盗撮さえやめてくれれば、細かい部分には目をつむろう。
「うふふ❤ 悠理は寝顔もかわいいのよねぇ❤」
「ありがとうございます。で、カメラは撤去してくれるんですよね?」
「それにしても、アリスが羨ましいわ❤ ねぇ悠理、わたしにも脱ぎたてパンツを恵んでもらえないかしらぁ❤」
「盗撮をやめると約束してくれるなら、考えてもいいです」
「強引に奪うのも、なかなかそそるわね❤」
ダメだ。聞き入れてもらえそうにない。
「説得が無駄なら、もう諦めますよ。ただ、悪用だけはしないと約束してください」
「もちろんよ❤ エッチな目的には使うけど、わたし以外の目には絶対に触れさせないと誓うわ❤」
根本的な解決にはならなくとも、最低限の安心は得られた。
姫歌先輩は控え目に言って非常識だけど、悪い人ではない。後輩として、それは心から信じられる。
「ちょっと待った! あーしもなにか欲しい!」
葵先輩が勢いよく挙手し、力強く発言する。
便乗するように、真里亜先輩も「あたしも同感よ」と声を上げた。
なにか欲しいと言われても、なにも思い浮かばない。
「たとえば、どんな物がいいですか?」
サプライズ性が重要なプレゼントでもないし、私ごときの想像なんて軽く飛び越える人達だ。あれこれ考えるより、意見を求めた方が手っ取り早い。
「生でおっぱい揉んだり、お尻に頬ずりしたり、お腹触ったり、太ももぷにぷにしたり、とにかく体を好きにしたい!」
「あたしは、そうね。血反吐をぶちまけるまでボコボコにしてほしいわ。親に心配かけたくないから、顔は勘弁してちょうだい」
あぁ、そうだった。直球で訊ねたところで、参考にならないんだ。
両方とも却下なのは当然として、真里亜先輩がエグすぎて葵先輩の要求が軽く思えてくるから怖い。
質問しておいて悪いけど、適当に流させてもらうとしよう。
部活中。アリス先輩がテーブルに潜ろうとするのを察し、それを妨げるために疑問を投げてみる。
日常的な行為として受け入れてはいるけど、やっぱり股間に顔を埋められるのは可能な限り避けたい。
それに、疑問として気になっているのも確かだ。
「あ、あれは、短い単語だったから、視線を防いで、ゆ、悠理のパンツの匂いを思い出して、頑張った。その後に、む、報われたから、頑張ってよかった」
「へぇ、そうなんですか」
どうしよう。もしかしたら努力を称えるべき美談なのかもしれないけど、内容が内容なだけに、自分でも驚くほど感情が冷めてしまった。
自分のパンツを嗅いだことはないけど、思い出してやる気が出るような香りではないと思う。
アリス先輩は答えるや否や第二の定位置へと移動し、相変わらずの変態行為を開始する。
私みたいな凡人を求めてくれて嬉しいものの、どうしても喜べない。とりあえず、今日は汗をかいてなくてよかった。
「昨日のことで言えば、姫歌先輩もですよ」
話の矛先を変えつつ視線を向けると、心当たりがないのか本人はキョトンとしている。
あどけない表情に思わずドキッとしてしまったのは胸の内に秘めておくとして。
「盗撮って言ってましたよね。どこにカメラを仕掛けてるのか知りませんけど、今日中に取り払ってください」
そもそも私は姫歌先輩を自室に招いたことがないんだけど、彼女を語る上では些細な問題だ。いまさらそんなことを気にしていては、時間がいくらあっても足りない。
盗撮さえやめてくれれば、細かい部分には目をつむろう。
「うふふ❤ 悠理は寝顔もかわいいのよねぇ❤」
「ありがとうございます。で、カメラは撤去してくれるんですよね?」
「それにしても、アリスが羨ましいわ❤ ねぇ悠理、わたしにも脱ぎたてパンツを恵んでもらえないかしらぁ❤」
「盗撮をやめると約束してくれるなら、考えてもいいです」
「強引に奪うのも、なかなかそそるわね❤」
ダメだ。聞き入れてもらえそうにない。
「説得が無駄なら、もう諦めますよ。ただ、悪用だけはしないと約束してください」
「もちろんよ❤ エッチな目的には使うけど、わたし以外の目には絶対に触れさせないと誓うわ❤」
根本的な解決にはならなくとも、最低限の安心は得られた。
姫歌先輩は控え目に言って非常識だけど、悪い人ではない。後輩として、それは心から信じられる。
「ちょっと待った! あーしもなにか欲しい!」
葵先輩が勢いよく挙手し、力強く発言する。
便乗するように、真里亜先輩も「あたしも同感よ」と声を上げた。
なにか欲しいと言われても、なにも思い浮かばない。
「たとえば、どんな物がいいですか?」
サプライズ性が重要なプレゼントでもないし、私ごときの想像なんて軽く飛び越える人達だ。あれこれ考えるより、意見を求めた方が手っ取り早い。
「生でおっぱい揉んだり、お尻に頬ずりしたり、お腹触ったり、太ももぷにぷにしたり、とにかく体を好きにしたい!」
「あたしは、そうね。血反吐をぶちまけるまでボコボコにしてほしいわ。親に心配かけたくないから、顔は勘弁してちょうだい」
あぁ、そうだった。直球で訊ねたところで、参考にならないんだ。
両方とも却下なのは当然として、真里亜先輩がエグすぎて葵先輩の要求が軽く思えてくるから怖い。
質問しておいて悪いけど、適当に流させてもらうとしよう。
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる