私がガチなのは内緒である

ありきた

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4章 高校最初の夏休み

23話 ほんの数日だけど

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 お盆で数日間ほど、両親の実家に帰省していた。
 私と萌恵ちゃんの実家は隣同士だけど、当然ながら両親の実家となると場所はバラバラ。
 しばらく会えない寂しさを少しでも紛らわせるため、出発の前日はいつも以上に愛し合った。
 そして今日、私たちは数日ぶりの再会を果たす。
 先に到着した私は、窓を開け放って換気をしつつ荷物を片付ける。
母方の祖母に貰った自家製の梅干しを冷蔵庫に入れ、衣類をタンスに仕舞う。
動いているうちに汗ばんできたので、窓を閉めてエアコンを稼働させる。

「――っ!」

 家の外からチャリッと金属が擦れるような音が聞こえ、もしやと思い駆け出す。
 続けて耳に入ったのは、鍵を開ける音。間違いない、萌恵ちゃんだ!

「ただい――」

「萌恵ちゃんっ! 萌恵ちゃん萌恵ちゃんっ、会いたかったよ萌恵ちゃん!」

 私は萌恵ちゃんが『ただいま』を言い終えるよりも早く、玄関に姿を現すと同時に勢いよく抱き着く。
 萌恵ちゃんは突然の出来事に驚いたものの、すぐさま玄関に荷物を置いて抱き返してくれた。
 帰省中もことあるごとに連絡を取り合っていたけど、やっぱり実際に会える嬉しさは計り知れない。

「んふふっ、あたしも会いたかった! お出迎えしてくれてありがと~!」

「ごめん萌恵ちゃん、我慢できないっ」

「んむっ!?」

 久しぶりのハグによる興奮に後押しされ、問答無用で萌恵ちゃんの唇を奪う。

「んっ、ちゅ、ぁむっ、ちゅるっ」

 会えなかった時間を取り戻すように、情熱的なキスを交わす。
 二人の声が重なり、触れ合う唇もまた音を奏でる。
 けたたましいセミの鳴き声も気にならないぐらい、私たちは夢中でキスをした。
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