私がガチなのは内緒である

ありきた

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4章 高校最初の夏休み

15話 予想外の一撃

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 ショッピングモールに隣接しているホームセンターで、冷感敷きパッドを購入した。
 ついでに薬局や書店をぶらついた後、ゲームコーナーに足を運ぶ。
 手始めに、入口付近にある太鼓のゲームにお金を入れる。

「ゲームは苦手だけど、これは自信あるよ~!」

「子供のとき、けっこう遊んだよね」

 幼少期の記憶を振り返りながら、難易度と曲を選択する。

「やった~っ、フルコンボ!」

「うぅ、最後の最後でミスっちゃった」

 落ち込むほどではないけど、やっぱり悔しい。
 無邪気にはしゃぐ萌恵ちゃんのかわいい姿を見て、心を慰める。

「真菜、次はあれやろうよ!」

「うん、いいよ。今度は私が勝つからね」

 それからしばらく、レースゲームやクレーンゲームにメダルゲームなど、対戦したり協力したり、童心に帰って楽しんだ。
 自販機でジュースを買って一休み。
 台数は少ないものの卓球やビリヤードも一時間数百円で遊べるので、ショッピングモール内のゲームコーナーとしては充実している。
 ペットボトルをゴミ箱に捨てる際、パンチングマシーンに目が行った。
 身体能力抜群な萌恵ちゃんだけど、パンチ力はどのぐらいなのだろう。

「萌恵ちゃん、これやってみない?」

「いいね~、面白そう!」

 ふとした好奇心から提案してみると、萌恵ちゃんは快く受け入れてくれた。
 萌恵ちゃんはグローブをはめ、準備運動として腕をぐるぐる回す。
 そして音声ガイドに従い、測定用のサンドバッグに拳を叩き込んだ。
 私の動体視力では腕の動きを捉え切れなかったものの、サンドバッグの倒れ方と耳をつんざく打撃音から、相当な威力であることがうかがえる。
 その衝撃たるや、スラッとした腕から放たれたものとは到底思えない。

「真菜! 見て見てっ、最高記録更新だって! いえ~い!」

 偉業を達成してぴょんぴょんと飛び跳ねる萌恵ちゃん。
 眩いほどの純粋さが実に愛おしく、見ていて胸がキュンとなる。
 おっぱいが派手に揺れ弾む様子も眼福の一言に尽きるけど、なによりもキラキラと輝く太陽のような笑顔が素敵だ。
 かわいい。ほんとにもう、食べちゃいたいぐらいかわいい。

「萌恵ちゃんおめでとうっ」

 賞賛の言葉を贈り、ここぞとばかりに抱き着く。

「んふふっ、ありがと~っ」

 萌恵ちゃんはグローブを外してから、ギュッと抱きしめ返してくれた。
 公共の場だから多少の自重は必要だけど、ハグぐらいなら許されるよね。
 ひとしきり喜びを分かち合った後、私もパンチ力を測定してみる。結果は、まぁ……うん、子供よりは強いんじゃないかな。多分。
 私のことはともかく、萌恵ちゃんのパンチ力がこれほどまでとは、さすがに予想外だった。
 記録を大幅に塗り替えた猛者の正体が絶世の美少女だなんて、きっと誰も想像すらしないだろう。
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