私がガチなのは内緒である

ありきた

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3章 一線を越えても止まらない

31話 猫のように

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 お風呂上り。布団を敷いて二人並んで寝転びながら、スマホに映る動物の動画に癒される。
 子猫が飼い主の頬をペロペロと舐めているのを見て、私は強烈な欲求に襲われた。
 萌恵ちゃんにほっぺたを舐めてほしい!
 チラッと隣を見れば、子猫の愛らしさに瞳を輝かせる純粋な美少女がいる。この横顔を拝めるだけでも最高の贅沢なのに、一度生まれた願望は簡単に消えてくれない。

「萌恵ちゃん、猫になって!」

「へ?」

 勢い余って、いろいろ端折った言い方になってしまった。
 突拍子もない言動にキョトンとする萌恵ちゃんに、私は自分の願望を事細かに、やや早口で語る。

「なるほど~。でも、せっかくお風呂に入ったのに、あたしのよだれで汚れちゃうよ?」

「汚れないよ、むしろ清められる」

 我ながらいつになく真剣な表情で、真理を説く。
 私にとって萌恵ちゃんの唾液は、ゲームで言うところの最上級回復アイテムに等しい。いや、なんならそれ以上だ。

「う~ん……うん、分かった! その代わり、ベトベトになってから後悔しても遅いからね~」

 承諾を得られ、期待と高揚感が心を盛大にはやし立てる。
 後悔なんてするはずもない。
 善は急げと体を起こし、楽な姿勢で座る。
 若干の照れを感じさせる萌恵ちゃんの顔が、焦らすようにゆっくりとこちらに近付く。
 思えば、頬へのキスは日常茶飯事だし、えっちするときは必ず体を舐めてもらう。
 だけど、頬を舐めてもらうのは、何気に初めてかもしれない。

「んっ」

 かわいらしい舌が姿を現し、いよいよもって私の頬に触れる。
 唇よりも熱があり、ぬるっとした感触。
 ゾクゾクした快感が全身を駆け抜け、恐ろしいほどの興奮をもたらす。
 性欲が誘うままに押し倒してしまいそうになるのを堪え、頬から伝わる極上の悦楽を楽しむ。
 いかに気持ちいいかを萌恵ちゃんに言いたいけど、下手に声を出せばすべて喘ぎに変わってしまいそうだ。

「はぷっ……ちゅっ」

「っ!?」

 予期せぬ刺激に、体がビクンッと跳ねる。
 ただでさえ理性を脅かすほどの魅力を備えていたというのに、萌恵ちゃんは頬への甘噛みやキスを織り交ぜてきた。
 ペロペロと健気に頬を舐める基本の動きに加え、まったく予想外のタイミングで繰り出される甘美な責め。
 気を緩めれば即座に絶頂しそうなほどの気持ちよさに、頬が性感帯と化したかのような錯覚すら覚える。

***

 萌恵ちゃんに終了を申し出たのは、密かに三度も達した直後のことだった。
 決して性的ではない行為にもかかわらず、私の体ははしたない反応を示してしまう。
 名残惜しいけど、これ以上は危険だと判断した。

「萌恵ちゃん、ありがとう。すっごく気持ちよかったっ」

 荒くなった息を深呼吸で整えてから、素直な感想を口にする。
 お礼にはならないけど、ギュッと抱きしめて体でも喜びを表す。

「んふふっ、ここまで喜んでもらえるとあたしも嬉しいな~。それじゃ、次は真菜があたしにしてね!」

「……え?」

「あたしのほっぺ、いっぱいペロペロして! あっ、気が向いたらキスもお願い!」

 疑う余地もないぐらいワクワクしている。
 私の唾液で萌恵ちゃんのつるつるすべすべな頬を汚してしまうなんて、恐れ多いし申し訳ない。
 辞退しようという考えがのどから出る直前で、最初のやり取りを思い出す。まず間違いなく、萌恵ちゃんも私と同じようなことを言うはずだ。
 それに、正直なところ萌恵ちゃんの頬を舐めたい。
 だとすれば、答えはもう決まっている。
 私は先制攻撃とばかりに耳たぶを優しく噛んでから、驚く萌恵ちゃんの頬に舌を這わせた。
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