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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である
25話 台風一過
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すでに何度目か分からないキスを終えると、窓から陽光が射し込んでいることに気が付いた。
始めたのが夕方ぐらいだから、かれこれ半日ぐらい経っている。
私たちの記念すべき初体験は、足腰立たない状態になるほど激しく、思いもよらないほど長く続いた。
ふと外に意識を向けて気が抜けたのか、私たちはすっかり脱力して布団に横たわる。
まともに会話もできないほど疲れているのに、清々しい気持ちでいっぱいだ。
ふわふわした浮遊感と言い知れぬ多幸感に包まれ、疲労による息苦しさすら愛おしく思えてくる。
一生忘れないであろう出来事の余韻に浸りながら、萌恵ちゃんと見つめ合い、満ち足りた笑顔を浮かべた。
***
少し経って、息が整い、どうにか体が動くようになる。
敷布団の上で裸のまま半日ほども過ごし、運動を終えて汗やその他もろもろが冷え、ここにきて初めて肌寒さを感じた。
いままでむしろ暑いとさえ思っていたから、よほど熱烈な情交だったんだと改めて実感する。
「染みになっちゃったね~」
上体を起こしつつ、萌恵ちゃんが下の方を見て苦笑混じりにつぶやいた。
行為中は気にしてなかったけど、こうして観察すると布団は酷い有り様だ。
私と萌恵ちゃんから溢れた大量の蜜が、布団のあちこちに染みを作っている。
体が面していたところは汗でしっとりしているし、一部にはわずかに薄まった血が付着している。
名実共に“初めて”を捧げ合ったことに後悔はないけど、せめて破瓜の血ぐらいは拭いておくべきだった。よく見ると、指にも微かに残ってるし。
もちろん、シーツは洗濯係の私が責任を持ってきれいにする。
「萌恵ちゃん、痛くない?」
どこが、とは言わない。
わざわざ口に出さなくても、萌恵ちゃんには通じるはずだ。
「う~ん、ちょっとズキズキする。真菜は大丈夫?」
「私も同じ。でも、なんか幸せな痛みって感じがする」
「んふふっ、あたしも幸せ~っ」
萌恵ちゃんが嬉しそうに抱き着いてきて、体勢を崩してそのまま二人一緒に再度布団に倒れる。
水分補給をおろそかにしていたわりに喉が渇いていないのは……なんとなくだけど、心当たりがある。さすがに恥ずかしいから、私も萌恵ちゃんも言葉には出さない。
「ねぇ、萌恵ちゃん。今日だけは、学校サボらない?」
「いいよ~。実はあたしも、それ言おうと思ってた」
決して褒められたことじゃないけど、私たちは意見が一致し、生まれて初めてズル休みすることになった。
上手く言葉にできないけど、授業が頭に入って来なさそうだし、まだしばらく余韻を楽しみたい。
「萌恵ちゃんって、えっちの才能あるよね。気持ちよすぎて気絶しそうだった」
「真菜の方こそ、言葉にならないぐらいすごかったよ~。あと、たまに赤ちゃんみたいだな~って思った」
技術面で言えば、初心者の私たちは下手の一言に尽きるはずだ。
それでもお互いにこの上なく満足できているということは、体の相性が抜群なのはもちろん、相手への愛が尋常じゃなく強いということ。
ただ、それを抜きにしても萌恵ちゃんは驚異的だった。触ってほしいって思ったところを的確に触ってくれて、力加減とかタイミングとか、なにからなにまで絶妙で。思い出しただけで、体の芯が熱くなる。
私が赤ちゃんみたいだったという感想については……恥ずかしながら、反論の余地がない。だって、触ったり揉んだりしてたら、吸いたくもなるよ。
「……真菜、まだ疲れ残ってる?」
「全力疾走は無理だけど、散歩ぐらいならできるよ」
学校を休むのだから外出はできないけど、体力の度合いを示すにはちょうどいい例えだ。
「真菜がよければ、なんだけど……このままもう一回、しない?」
萌恵ちゃんが恥じらいながら、甘えた声で訊ねてくる。
私は萌恵ちゃんの肩を掴み、返事とばかりにキスをした。
「もう外は快晴だから、今度は大声出さないようにしないとね」
「んふふっ、あたしに名案があるよ~。ずっとキスしてれば、声は漏れない!」
「あははっ、確かに名案かも。それじゃあ、萌恵ちゃん……」
かくして、わずかばかりの休憩を経た私たちは、再び快楽の海へと飛び込むのだった。
始めたのが夕方ぐらいだから、かれこれ半日ぐらい経っている。
私たちの記念すべき初体験は、足腰立たない状態になるほど激しく、思いもよらないほど長く続いた。
ふと外に意識を向けて気が抜けたのか、私たちはすっかり脱力して布団に横たわる。
まともに会話もできないほど疲れているのに、清々しい気持ちでいっぱいだ。
ふわふわした浮遊感と言い知れぬ多幸感に包まれ、疲労による息苦しさすら愛おしく思えてくる。
一生忘れないであろう出来事の余韻に浸りながら、萌恵ちゃんと見つめ合い、満ち足りた笑顔を浮かべた。
***
少し経って、息が整い、どうにか体が動くようになる。
敷布団の上で裸のまま半日ほども過ごし、運動を終えて汗やその他もろもろが冷え、ここにきて初めて肌寒さを感じた。
いままでむしろ暑いとさえ思っていたから、よほど熱烈な情交だったんだと改めて実感する。
「染みになっちゃったね~」
上体を起こしつつ、萌恵ちゃんが下の方を見て苦笑混じりにつぶやいた。
行為中は気にしてなかったけど、こうして観察すると布団は酷い有り様だ。
私と萌恵ちゃんから溢れた大量の蜜が、布団のあちこちに染みを作っている。
体が面していたところは汗でしっとりしているし、一部にはわずかに薄まった血が付着している。
名実共に“初めて”を捧げ合ったことに後悔はないけど、せめて破瓜の血ぐらいは拭いておくべきだった。よく見ると、指にも微かに残ってるし。
もちろん、シーツは洗濯係の私が責任を持ってきれいにする。
「萌恵ちゃん、痛くない?」
どこが、とは言わない。
わざわざ口に出さなくても、萌恵ちゃんには通じるはずだ。
「う~ん、ちょっとズキズキする。真菜は大丈夫?」
「私も同じ。でも、なんか幸せな痛みって感じがする」
「んふふっ、あたしも幸せ~っ」
萌恵ちゃんが嬉しそうに抱き着いてきて、体勢を崩してそのまま二人一緒に再度布団に倒れる。
水分補給をおろそかにしていたわりに喉が渇いていないのは……なんとなくだけど、心当たりがある。さすがに恥ずかしいから、私も萌恵ちゃんも言葉には出さない。
「ねぇ、萌恵ちゃん。今日だけは、学校サボらない?」
「いいよ~。実はあたしも、それ言おうと思ってた」
決して褒められたことじゃないけど、私たちは意見が一致し、生まれて初めてズル休みすることになった。
上手く言葉にできないけど、授業が頭に入って来なさそうだし、まだしばらく余韻を楽しみたい。
「萌恵ちゃんって、えっちの才能あるよね。気持ちよすぎて気絶しそうだった」
「真菜の方こそ、言葉にならないぐらいすごかったよ~。あと、たまに赤ちゃんみたいだな~って思った」
技術面で言えば、初心者の私たちは下手の一言に尽きるはずだ。
それでもお互いにこの上なく満足できているということは、体の相性が抜群なのはもちろん、相手への愛が尋常じゃなく強いということ。
ただ、それを抜きにしても萌恵ちゃんは驚異的だった。触ってほしいって思ったところを的確に触ってくれて、力加減とかタイミングとか、なにからなにまで絶妙で。思い出しただけで、体の芯が熱くなる。
私が赤ちゃんみたいだったという感想については……恥ずかしながら、反論の余地がない。だって、触ったり揉んだりしてたら、吸いたくもなるよ。
「……真菜、まだ疲れ残ってる?」
「全力疾走は無理だけど、散歩ぐらいならできるよ」
学校を休むのだから外出はできないけど、体力の度合いを示すにはちょうどいい例えだ。
「真菜がよければ、なんだけど……このままもう一回、しない?」
萌恵ちゃんが恥じらいながら、甘えた声で訊ねてくる。
私は萌恵ちゃんの肩を掴み、返事とばかりにキスをした。
「もう外は快晴だから、今度は大声出さないようにしないとね」
「んふふっ、あたしに名案があるよ~。ずっとキスしてれば、声は漏れない!」
「あははっ、確かに名案かも。それじゃあ、萌恵ちゃん……」
かくして、わずかばかりの休憩を経た私たちは、再び快楽の海へと飛び込むのだった。
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