私がガチなのは内緒である

ありきた

文字の大きさ
上 下
53 / 121
2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である

25話 台風一過

しおりを挟む
 すでに何度目か分からないキスを終えると、窓から陽光が射し込んでいることに気が付いた。
 始めたのが夕方ぐらいだから、かれこれ半日ぐらい経っている。
 私たちの記念すべき初体験は、足腰立たない状態になるほど激しく、思いもよらないほど長く続いた。
 ふと外に意識を向けて気が抜けたのか、私たちはすっかり脱力して布団に横たわる。
 まともに会話もできないほど疲れているのに、清々しい気持ちでいっぱいだ。
 ふわふわした浮遊感と言い知れぬ多幸感に包まれ、疲労による息苦しさすら愛おしく思えてくる。
 一生忘れないであろう出来事の余韻に浸りながら、萌恵ちゃんと見つめ合い、満ち足りた笑顔を浮かべた。

***

 少し経って、息が整い、どうにか体が動くようになる。
 敷布団の上で裸のまま半日ほども過ごし、運動を終えて汗やその他もろもろが冷え、ここにきて初めて肌寒さを感じた。
 いままでむしろ暑いとさえ思っていたから、よほど熱烈な情交だったんだと改めて実感する。

「染みになっちゃったね~」

 上体を起こしつつ、萌恵ちゃんが下の方を見て苦笑混じりにつぶやいた。
 行為中は気にしてなかったけど、こうして観察すると布団は酷い有り様だ。
 私と萌恵ちゃんから溢れた大量の蜜が、布団のあちこちに染みを作っている。
 体が面していたところは汗でしっとりしているし、一部にはわずかに薄まった血が付着している。
 名実共に“初めて”を捧げ合ったことに後悔はないけど、せめて破瓜の血ぐらいは拭いておくべきだった。よく見ると、指にも微かに残ってるし。
 もちろん、シーツは洗濯係の私が責任を持ってきれいにする。

「萌恵ちゃん、痛くない?」

 どこが、とは言わない。
 わざわざ口に出さなくても、萌恵ちゃんには通じるはずだ。

「う~ん、ちょっとズキズキする。真菜は大丈夫?」

「私も同じ。でも、なんか幸せな痛みって感じがする」

「んふふっ、あたしも幸せ~っ」

 萌恵ちゃんが嬉しそうに抱き着いてきて、体勢を崩してそのまま二人一緒に再度布団に倒れる。
 水分補給をおろそかにしていたわりに喉が渇いていないのは……なんとなくだけど、心当たりがある。さすがに恥ずかしいから、私も萌恵ちゃんも言葉には出さない。

「ねぇ、萌恵ちゃん。今日だけは、学校サボらない?」

「いいよ~。実はあたしも、それ言おうと思ってた」

 決して褒められたことじゃないけど、私たちは意見が一致し、生まれて初めてズル休みすることになった。
 上手く言葉にできないけど、授業が頭に入って来なさそうだし、まだしばらく余韻を楽しみたい。

「萌恵ちゃんって、えっちの才能あるよね。気持ちよすぎて気絶しそうだった」

「真菜の方こそ、言葉にならないぐらいすごかったよ~。あと、たまに赤ちゃんみたいだな~って思った」

 技術面で言えば、初心者の私たちは下手の一言に尽きるはずだ。
 それでもお互いにこの上なく満足できているということは、体の相性が抜群なのはもちろん、相手への愛が尋常じゃなく強いということ。
 ただ、それを抜きにしても萌恵ちゃんは驚異的だった。触ってほしいって思ったところを的確に触ってくれて、力加減とかタイミングとか、なにからなにまで絶妙で。思い出しただけで、体の芯が熱くなる。
 私が赤ちゃんみたいだったという感想については……恥ずかしながら、反論の余地がない。だって、触ったり揉んだりしてたら、吸いたくもなるよ。

「……真菜、まだ疲れ残ってる?」

「全力疾走は無理だけど、散歩ぐらいならできるよ」

 学校を休むのだから外出はできないけど、体力の度合いを示すにはちょうどいい例えだ。

「真菜がよければ、なんだけど……このままもう一回、しない?」

 萌恵ちゃんが恥じらいながら、甘えた声で訊ねてくる。
 私は萌恵ちゃんの肩を掴み、返事とばかりにキスをした。

「もう外は快晴だから、今度は大声出さないようにしないとね」

「んふふっ、あたしに名案があるよ~。ずっとキスしてれば、声は漏れない!」

「あははっ、確かに名案かも。それじゃあ、萌恵ちゃん……」

 かくして、わずかばかりの休憩を経た私たちは、再び快楽の海へと飛び込むのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

処理中です...