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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である
15話 思い返すと恥ずかしい
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休み時間は萌恵ちゃんやクラスの友達と話し、授業中は時折挟まれる先生の雑談で笑い、放課後は美咲ちゃんと芽衣ちゃんを交え四人で一時間ほど駄弁った。
今日も文句なく楽しい一日だったと満足しながら家に帰り、ブレザーをハンガーにかけながらふと考える。
――今朝のこと、いま思うとすごく恥ずかしい……!
悪夢を見たせいとはいえ、大胆にも朝からキスをしたり、泣きそうになって慰めてもらったり。
あのときの萌恵ちゃん、すごく頼もしくて素敵だったなぁ。それに、たくさん好きって言ってもらえて嬉しかった。
いやいや、そういうことじゃなくて。
べつに自分が大人っぽいだなんて思ってないけど、かと言って幼稚であるつもりもない。
「萌恵ちゃん、今朝のこと覚えてる?」
「真菜がいきなりキスしてきたこと?」
「ご、ごめん」
「あっ、謝らないでよ! 責めてるわけじゃないって! むしろ嬉しかったから毎朝してほしいぐらいだし!」
「いいの!?」
私を気遣うフォローだとしても、本気で反応せずにはいられなかった。
「うん、もちろん。その代わり、あたしが先に起きても同じことさせてもらうからね」
「ぜひ!」
願ってもない提案につい声が大きくなってしまい、近所迷惑になると反省し気を静める。
落ち着いたところで、想像したら胸が躍ってしまう。
初めてキスを交わしてからは、先に起きた方が相手の頬にキスをするのが毎朝の決まりだった。
それが唇と唇のキスになるなんて……。
萌恵ちゃんのキスで目を覚ますとか、幸せの過剰摂取で逆に意識が飛んでしまいそうだ。
「ところで、なんであたしが今朝のこと覚えてるか気になったの?」
「それは、その……我ながら恥ずかしい姿を見せてしまったなぁ、って」
「んふふっ、それで照れちゃったんだ~。かわいいっ」
恥部を晒しているみたいで気まずくなり視線を泳がせていると、萌恵ちゃんが抱き着いてきた。
ブラウス越しに感じる胸の柔らかさに加え、ふわっと香る甘い匂いが理性を責め立てる。
私に度胸があれば、この場で押し倒して本能の赴くままに体で愛を伝えていたことだろう。
「面倒臭いやつだって思ってない?」
「そんなこと、思うわけないじゃん」
抱き合っているので表情は分からないけど、言葉の雰囲気からキョトンとしていることは容易に察せた。
とぼけたり私を気遣っているわけではないと分かり、ホッとする。
客観的に見て、私は恋人にすると面倒臭いことこの上ない人間だと思う。
それなのに、萌恵ちゃんは当然のように受け入れ、愛してくれる。
「萌恵ちゃん、何度言っても足りないぐらい大好き! まったくもう、萌恵ちゃんはどこまで私の好感度を上げれば気が済むの!?」
「え? え? あ、ありがとう。なんで怒られてるのか分からないけど、あたしも真菜のこと大好き!」
困惑しながらも私に負けじと愛を叫んでくれる萌恵ちゃん。
学校から帰ってすぐになにをしているんだと自分でも思うけど、まだしばらく、このまま抱き合っていたい。
今日も文句なく楽しい一日だったと満足しながら家に帰り、ブレザーをハンガーにかけながらふと考える。
――今朝のこと、いま思うとすごく恥ずかしい……!
悪夢を見たせいとはいえ、大胆にも朝からキスをしたり、泣きそうになって慰めてもらったり。
あのときの萌恵ちゃん、すごく頼もしくて素敵だったなぁ。それに、たくさん好きって言ってもらえて嬉しかった。
いやいや、そういうことじゃなくて。
べつに自分が大人っぽいだなんて思ってないけど、かと言って幼稚であるつもりもない。
「萌恵ちゃん、今朝のこと覚えてる?」
「真菜がいきなりキスしてきたこと?」
「ご、ごめん」
「あっ、謝らないでよ! 責めてるわけじゃないって! むしろ嬉しかったから毎朝してほしいぐらいだし!」
「いいの!?」
私を気遣うフォローだとしても、本気で反応せずにはいられなかった。
「うん、もちろん。その代わり、あたしが先に起きても同じことさせてもらうからね」
「ぜひ!」
願ってもない提案につい声が大きくなってしまい、近所迷惑になると反省し気を静める。
落ち着いたところで、想像したら胸が躍ってしまう。
初めてキスを交わしてからは、先に起きた方が相手の頬にキスをするのが毎朝の決まりだった。
それが唇と唇のキスになるなんて……。
萌恵ちゃんのキスで目を覚ますとか、幸せの過剰摂取で逆に意識が飛んでしまいそうだ。
「ところで、なんであたしが今朝のこと覚えてるか気になったの?」
「それは、その……我ながら恥ずかしい姿を見せてしまったなぁ、って」
「んふふっ、それで照れちゃったんだ~。かわいいっ」
恥部を晒しているみたいで気まずくなり視線を泳がせていると、萌恵ちゃんが抱き着いてきた。
ブラウス越しに感じる胸の柔らかさに加え、ふわっと香る甘い匂いが理性を責め立てる。
私に度胸があれば、この場で押し倒して本能の赴くままに体で愛を伝えていたことだろう。
「面倒臭いやつだって思ってない?」
「そんなこと、思うわけないじゃん」
抱き合っているので表情は分からないけど、言葉の雰囲気からキョトンとしていることは容易に察せた。
とぼけたり私を気遣っているわけではないと分かり、ホッとする。
客観的に見て、私は恋人にすると面倒臭いことこの上ない人間だと思う。
それなのに、萌恵ちゃんは当然のように受け入れ、愛してくれる。
「萌恵ちゃん、何度言っても足りないぐらい大好き! まったくもう、萌恵ちゃんはどこまで私の好感度を上げれば気が済むの!?」
「え? え? あ、ありがとう。なんで怒られてるのか分からないけど、あたしも真菜のこと大好き!」
困惑しながらも私に負けじと愛を叫んでくれる萌恵ちゃん。
学校から帰ってすぐになにをしているんだと自分でも思うけど、まだしばらく、このまま抱き合っていたい。
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