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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である
1話 幸せすぎて爆発しそう
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私と萌恵ちゃんは、昨日から恋人として付き合っている。
ふふっ。
嬉しすぎて口角が緩む。
「んぅ……真菜、おはよぉ」
萌恵ちゃんが眠りから覚め、ゆっくりと上体を起こした。
「萌恵ちゃん、おはようっ」
一足先に起床していた私は、意気揚々とあいさつを返す。
「元気だね~。いい夢でも見たの?」
「あはは、違うよ。萌恵ちゃんと恋――って夢? ねぇ萌恵ちゃん、昨日のことって夢オチじゃないよね? 私たちって付き合ってるんだよね? そうだよね? ね!」
急に怖くなり、すごい剣幕で詰め寄る。
「お、落ち着いて! 夢じゃないよ! あたしたち、こっ……恋人、だよ」
頬を赤らめて目を伏せる萌恵ちゃん。
いつもと様子が違うものの、兆候はあったので驚くことはない。
恋愛に無関心だった萌恵ちゃんは、昨日の一件がきっかけでむしろ過敏に反応を示すようになった。
スキンシップは呼吸と同義らしいので相変わらず積極的にしてくれるんだけど、以前と比べて恥じらいというか、私と触れ合うということを意識しているように感じる。
萌恵ちゃんの新しい一面を見れるので、嬉しい誤算だ。
単に自意識過剰なだけだったら尋常じゃなく恥ずかしいので、勘違いではないと信じたい。
「うんうん、照れる萌恵ちゃんもかわいいなぁ」
焦ったり蕩けたり、傍目から見たら私は相当危ない人かもしれない。
愛の重さは誰にも負けない自信があるし萌恵ちゃんが他の人とイチャイチャしたら自分でもなにをするか分からないけど、ヤンデレではないと思う。多分。
幸せすぎて舞い上がるにしても、少々度が過ぎていた。
あんまり情緒不安定だと萌恵ちゃんに余計な心配をさせてしまうので、落ち着こう。
両手で頬をパンッと叩き、思考をハッキリさせる。
気合いを入れすぎたことによる痛みにより、これが夢でないことを改めて知覚した。
「取り乱してごめんね。取って食べたりしないから、安心して」
「んふふっ、真菜の珍しい姿を見れて嬉しい」
「う、うん、できれば忘れてほしいかな」
冷静になればなるほど恥ずかしい。
まだまだお酒を飲める歳じゃないけど、酔った日の翌日ってこんな気持ちなのだろうか。
「あとさ、真菜になら食べられてもいいかな~、なんて……」
依然として顔を真っ赤にしたまま、けれどしっかり私の目を見てそう告げた。
私は無言のまま、全力で太ももをつねる。半端なく痛い。
うん、紛れもない現実だ。
「萌恵ちゃん、意味分かって言ってる? 言葉の意味をきちんと把握して、目の前にいるのが年中発情期で末期の変態だって理解した上で言ってる?」
萌恵ちゃんを悲しませるわけにはいかないので、泣きたくなるレベルの自虐発言も進んで行う。
月曜の早朝とはいえ、萌恵ちゃんがその気なら今日を初体験記念日とするのもやぶさかではない。
もちろん、意味を承知した前提での合意であることが最低条件だ。
「さ、さすがに分かるよ! あたしだって子どもじゃないから、いままで恋愛感情が全然なかっただけで、知識は人並みにはある! はず!」
ふむ、なるほど。
ムキになって声を荒げる萌恵ちゃんがかわいいのは言わずもがな。
ここで少し、いくつか質問をしてみよう。
「萌恵ちゃん、○○○って知ってる?」
「へ? なにそれ?」
経験者っぽい訊き方をしているが、私とて当然ながら経験はない。聞きかじった程度の知識をひけらかしているだけだ。
とはいえこの調子で続けていれば、萌恵ちゃんの性知識がいかほどなものかうかがい知れる。
「じゃあ、○○○○ってしたことある? それと、○○○、○○の○○○○を○○○○○○」
「ごめん、それも分かんない」
「○○○を○○して○○○○まで○○○○○ってから――」
以降、質疑応答を重ねたところ――
行為の意味や詳細を説明するにつれて口数が減っていき、最終的に耳どころか首筋までも紅潮するまでに至った。
羞恥プレイみたいで興奮したという私の感想はともかく。
萌恵ちゃんはキスより先の行為について無知だということが発覚した。
純真無垢で清廉潔白な萌恵ちゃんらしくて微笑ましいけれど、程度を抑えた話題でも涙目になるぐらい恥ずかしがっている。
そんな子にいきなり肉体関係を迫るのは酷というもの。
個人的に前々から切望しているため名残惜しくはあるが、そういう行為は早ければいいというものではない。
しばらくは恋人として甘い生活を楽しみ、いずれ時期が来れば遠慮なく手を出させてもらうとしよう。
「無理に恋人っぽいことをする必要はないよ。私たちには私たちのペースがあるからね」
諭すように優しく語りかけると、萌恵ちゃんは静かにコクリとうなずいた。
正直なところ、私も内心では安堵している。
いくら性欲旺盛で情報も集めているからって、いざ本番になって萌恵ちゃんを満足させられるかは分からない。
最高の初体験にするために、もっともっと知識を深めなければ。
当面の間は、幸せすぎてニヤニヤしてしまうのを抑えられるよう頑張るとしよう。
ふふっ。
嬉しすぎて口角が緩む。
「んぅ……真菜、おはよぉ」
萌恵ちゃんが眠りから覚め、ゆっくりと上体を起こした。
「萌恵ちゃん、おはようっ」
一足先に起床していた私は、意気揚々とあいさつを返す。
「元気だね~。いい夢でも見たの?」
「あはは、違うよ。萌恵ちゃんと恋――って夢? ねぇ萌恵ちゃん、昨日のことって夢オチじゃないよね? 私たちって付き合ってるんだよね? そうだよね? ね!」
急に怖くなり、すごい剣幕で詰め寄る。
「お、落ち着いて! 夢じゃないよ! あたしたち、こっ……恋人、だよ」
頬を赤らめて目を伏せる萌恵ちゃん。
いつもと様子が違うものの、兆候はあったので驚くことはない。
恋愛に無関心だった萌恵ちゃんは、昨日の一件がきっかけでむしろ過敏に反応を示すようになった。
スキンシップは呼吸と同義らしいので相変わらず積極的にしてくれるんだけど、以前と比べて恥じらいというか、私と触れ合うということを意識しているように感じる。
萌恵ちゃんの新しい一面を見れるので、嬉しい誤算だ。
単に自意識過剰なだけだったら尋常じゃなく恥ずかしいので、勘違いではないと信じたい。
「うんうん、照れる萌恵ちゃんもかわいいなぁ」
焦ったり蕩けたり、傍目から見たら私は相当危ない人かもしれない。
愛の重さは誰にも負けない自信があるし萌恵ちゃんが他の人とイチャイチャしたら自分でもなにをするか分からないけど、ヤンデレではないと思う。多分。
幸せすぎて舞い上がるにしても、少々度が過ぎていた。
あんまり情緒不安定だと萌恵ちゃんに余計な心配をさせてしまうので、落ち着こう。
両手で頬をパンッと叩き、思考をハッキリさせる。
気合いを入れすぎたことによる痛みにより、これが夢でないことを改めて知覚した。
「取り乱してごめんね。取って食べたりしないから、安心して」
「んふふっ、真菜の珍しい姿を見れて嬉しい」
「う、うん、できれば忘れてほしいかな」
冷静になればなるほど恥ずかしい。
まだまだお酒を飲める歳じゃないけど、酔った日の翌日ってこんな気持ちなのだろうか。
「あとさ、真菜になら食べられてもいいかな~、なんて……」
依然として顔を真っ赤にしたまま、けれどしっかり私の目を見てそう告げた。
私は無言のまま、全力で太ももをつねる。半端なく痛い。
うん、紛れもない現実だ。
「萌恵ちゃん、意味分かって言ってる? 言葉の意味をきちんと把握して、目の前にいるのが年中発情期で末期の変態だって理解した上で言ってる?」
萌恵ちゃんを悲しませるわけにはいかないので、泣きたくなるレベルの自虐発言も進んで行う。
月曜の早朝とはいえ、萌恵ちゃんがその気なら今日を初体験記念日とするのもやぶさかではない。
もちろん、意味を承知した前提での合意であることが最低条件だ。
「さ、さすがに分かるよ! あたしだって子どもじゃないから、いままで恋愛感情が全然なかっただけで、知識は人並みにはある! はず!」
ふむ、なるほど。
ムキになって声を荒げる萌恵ちゃんがかわいいのは言わずもがな。
ここで少し、いくつか質問をしてみよう。
「萌恵ちゃん、○○○って知ってる?」
「へ? なにそれ?」
経験者っぽい訊き方をしているが、私とて当然ながら経験はない。聞きかじった程度の知識をひけらかしているだけだ。
とはいえこの調子で続けていれば、萌恵ちゃんの性知識がいかほどなものかうかがい知れる。
「じゃあ、○○○○ってしたことある? それと、○○○、○○の○○○○を○○○○○○」
「ごめん、それも分かんない」
「○○○を○○して○○○○まで○○○○○ってから――」
以降、質疑応答を重ねたところ――
行為の意味や詳細を説明するにつれて口数が減っていき、最終的に耳どころか首筋までも紅潮するまでに至った。
羞恥プレイみたいで興奮したという私の感想はともかく。
萌恵ちゃんはキスより先の行為について無知だということが発覚した。
純真無垢で清廉潔白な萌恵ちゃんらしくて微笑ましいけれど、程度を抑えた話題でも涙目になるぐらい恥ずかしがっている。
そんな子にいきなり肉体関係を迫るのは酷というもの。
個人的に前々から切望しているため名残惜しくはあるが、そういう行為は早ければいいというものではない。
しばらくは恋人として甘い生活を楽しみ、いずれ時期が来れば遠慮なく手を出させてもらうとしよう。
「無理に恋人っぽいことをする必要はないよ。私たちには私たちのペースがあるからね」
諭すように優しく語りかけると、萌恵ちゃんは静かにコクリとうなずいた。
正直なところ、私も内心では安堵している。
いくら性欲旺盛で情報も集めているからって、いざ本番になって萌恵ちゃんを満足させられるかは分からない。
最高の初体験にするために、もっともっと知識を深めなければ。
当面の間は、幸せすぎてニヤニヤしてしまうのを抑えられるよう頑張るとしよう。
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