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4話 かわいさの暴力
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「実は破滅神の話、全部嘘なんだよね」
二人で足並みをそろえて歩き始めてすぐ、私はサラッとカミングアウトした。
いまとなっては奴隷にされる心配もないから、というのもあるけど、なにより一緒に行動する相手を騙し続けたくないという思いが強い。
「ふぇっ!?」
パアルちゃんは足を止め、愕然とした表情を浮かべる。
件の嘘によって彼女がどうなったかを考えれば、無理もない反応だ。
「奴隷にされるのは嫌だから、嘘ついてごまかせないかなぁと思って。ごめんね」
「なななっ、んな~~~~~~っ!」
動揺のあまり言語能力を失ってしまったのか、パアルちゃんが奇声を発する。
「でも安心して。責任を取ってパアルちゃんのことは私が守るし、なにがあっても一緒にいるから、寂しさは感じさせないよ」
「そ、それは嬉し――じゃないのです! 魔王たる我を騙すなんて無礼にもほどがあるのです! 一時間こちょこちょの刑なのです!」
かわいい女の子に一時間くすぐられるのって、罰ではなくご褒美なのでは?
相手が美少女じゃなかったとしても、魔王を騙した罰と考えれば軽いにもほどがある。
素でこういう言動をするあたり、パアルちゃんって本当にかわいい。
奴隷発言は物騒だけど、どうも憎めない。
「あはは、かわいいなぁ」
本音を隠し切れず、パアルちゃんの頭を撫で回す。
怒っている相手に対して失礼な行為だと分かっていても、衝動を抑えられない。
「むぅっ、こ、これぐらいじゃ罪は軽くならないのですっ。ぅあ、ぁふ……ふにゃあぁ、気持ちいいのです♪」
ひたすら撫で続けていると、パアルちゃんはすっかりおとなしくなり、ニコニコと屈託のない笑顔を浮かべた。
か、かわいい。
右手で頭を撫でつつ、左手の指であごの下を撫でてみる。猫じゃないんだから、さすがに機嫌を損ねてしまうだろうか。
「にゃふぅ~、気持ちいいのですっ。もっとしてほしいのですっ」
かわいさの暴力が私を襲った。
いままでになく胸が高鳴るのを感じながら、要望に応える。
「パアルちゃんって猫みたいだね」
「猫ってなんなのです?」
「私がいた世界の、すごくかわいい生き物だよ」
「それだと、まるで我がかわいいみたいなのです」
「うん、かわいいよ。私が知る中で一番かわいい」
知らない存在を含めたとしても、パアルちゃんが最もかわいいと断言できる。
「ほ、褒めてもなにも出ないのです。貴様に全部奪われたせいで、魔力ぐらいしか残ってないのです。で、でも、あの、えっと……ありがとうなのです。褒めてくれて、嬉しいのです」
表情をコロコロと変え、最終的にはにかんだように微笑む。
かわいい。ただひたすらにかわいい。とにかくかわいくて、もうなにも言えない。
これが恋愛感情なのかは定かじゃないけど、一つだけ確かなことがある。
私の心はもう、パアルちゃんの虜になってしまった。
二人で足並みをそろえて歩き始めてすぐ、私はサラッとカミングアウトした。
いまとなっては奴隷にされる心配もないから、というのもあるけど、なにより一緒に行動する相手を騙し続けたくないという思いが強い。
「ふぇっ!?」
パアルちゃんは足を止め、愕然とした表情を浮かべる。
件の嘘によって彼女がどうなったかを考えれば、無理もない反応だ。
「奴隷にされるのは嫌だから、嘘ついてごまかせないかなぁと思って。ごめんね」
「なななっ、んな~~~~~~っ!」
動揺のあまり言語能力を失ってしまったのか、パアルちゃんが奇声を発する。
「でも安心して。責任を取ってパアルちゃんのことは私が守るし、なにがあっても一緒にいるから、寂しさは感じさせないよ」
「そ、それは嬉し――じゃないのです! 魔王たる我を騙すなんて無礼にもほどがあるのです! 一時間こちょこちょの刑なのです!」
かわいい女の子に一時間くすぐられるのって、罰ではなくご褒美なのでは?
相手が美少女じゃなかったとしても、魔王を騙した罰と考えれば軽いにもほどがある。
素でこういう言動をするあたり、パアルちゃんって本当にかわいい。
奴隷発言は物騒だけど、どうも憎めない。
「あはは、かわいいなぁ」
本音を隠し切れず、パアルちゃんの頭を撫で回す。
怒っている相手に対して失礼な行為だと分かっていても、衝動を抑えられない。
「むぅっ、こ、これぐらいじゃ罪は軽くならないのですっ。ぅあ、ぁふ……ふにゃあぁ、気持ちいいのです♪」
ひたすら撫で続けていると、パアルちゃんはすっかりおとなしくなり、ニコニコと屈託のない笑顔を浮かべた。
か、かわいい。
右手で頭を撫でつつ、左手の指であごの下を撫でてみる。猫じゃないんだから、さすがに機嫌を損ねてしまうだろうか。
「にゃふぅ~、気持ちいいのですっ。もっとしてほしいのですっ」
かわいさの暴力が私を襲った。
いままでになく胸が高鳴るのを感じながら、要望に応える。
「パアルちゃんって猫みたいだね」
「猫ってなんなのです?」
「私がいた世界の、すごくかわいい生き物だよ」
「それだと、まるで我がかわいいみたいなのです」
「うん、かわいいよ。私が知る中で一番かわいい」
知らない存在を含めたとしても、パアルちゃんが最もかわいいと断言できる。
「ほ、褒めてもなにも出ないのです。貴様に全部奪われたせいで、魔力ぐらいしか残ってないのです。で、でも、あの、えっと……ありがとうなのです。褒めてくれて、嬉しいのです」
表情をコロコロと変え、最終的にはにかんだように微笑む。
かわいい。ただひたすらにかわいい。とにかくかわいくて、もうなにも言えない。
これが恋愛感情なのかは定かじゃないけど、一つだけ確かなことがある。
私の心はもう、パアルちゃんの虜になってしまった。
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