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178話 夏場は特に蒸れるらしい
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まだ涼しい時間に雑談配信をして、正午過ぎぐらいにミミちゃんと食事に出かけた。
食後の運動ということでバスを使わずにマンションまで帰ってきたあたしたちは、言うまでもなく汗だくになっている。
「今日も暑いですね」
「ほんとにね。かき氷浴びたいぐらいだよ~」
「浴びるのはダメですよ」
なんて他愛のないやり取りを交わしながら、エレベーターに乗り込む。
何気なく隣を見ると、ミミちゃんがシャツの胸元を少し引っ張ってもう片方の手で谷間を扇いでいた。
胸が大きい人は谷間が蒸れて大変だ。
あたしには一生縁がない――まだ成長する可能性は残ってるから絶対にないとは言い切れない――けど、かなりの不快感が伴うのだろうということは察せる。
「――あっ、そうだ!」
帰宅して玄関で靴を脱いだのとほぼ同時に、妙案が舞い降りた。
一度冷静に考えてから声に出すべきだと分かっていながらも、頭に浮かぶと同時にもう口が開いていた。
「ミミちゃんお願い! おっぱいの谷間に手を突っ込ませて!」
あたしはミミちゃんの正面に立ち、わずかな躊躇もなく声を大にして告げる。
「えっ!? な、なんでですか?」
「谷間が蒸れるってことがどういうことなのか、少しでも味わいたいの。あたしが分かったところでなんの助けにもならないけど、ミミちゃんの気持ちを少しでも共感したい!」
目を見て素直な気持ちを伝えると、ミミちゃんは少し戸惑いつつも首を縦に振ってくれた。
手洗いうがいと水分補給を済ませ、リビングのソファに腰かける。
一息ついたのも束の間、あたしは腰を上げてミミちゃんの前に立った。
「ミミちゃん、いい?」
「は、はい、どうぞ」
あたしが至極真剣な態度で訊ねたせいか、ミミちゃんの表情に緊張の色が見える。
「それじゃあ……シャツ、脱がすね」
これは決して急に発情したとかじゃなく、下着姿の方が谷間に手を突っ込みやすいというちゃんとした理由がある。
ミミちゃんにも、手を洗う時にきちんと説明しておいたし。
脳内で言い訳じみたことを並べ立てながら、ミミちゃんのシャツを脱がせる。
「汗びっしょりだね~。はい、タオル」
「ありがとうございます」
洗面所から持ってきておいたタオルをミミちゃんに渡し、風邪を引かないように汗を拭いてもらう。
あたしの手にはミミちゃんの汗と体温でまだじっとりと温かいシャツがあるわけで……。
「ん~」
気付いたらミミちゃんのシャツに顔を埋めていた。
体が勝手に動いたというか、こうなる運命だったのだと思えるほど自然に、脱ぎたてのシャツに顔を擦り付けながら深呼吸している。
口を閉じ、鼻だけを使って深く深く息を吸う。
「ゆっ、ユニコちゃん!」
「あっ」
ミミちゃんにシャツをひったくられてしまった。
名残惜しいけど、ここは潔く諦めるとしよう。
「こんな汗臭いシャツ、嗅いじゃダメですよっ。いますぐベランダに出て外の空気を吸ってきてくださいっ」
「別に臭くなかったけどな~。むしろ、もっと――」
ミミちゃんにジト目で見つめられ、言葉を飲み込む。
「気を取り直して、谷間に手を突っ込ませてもらうね!」
「本当にやるんですか? 汗ですごく蒸れてますから、手に汗のにおいが移っちゃうかもしれませんよ?」
「もちろん! 大丈夫、嗅ぐのはミミちゃんが見てないところで――あっ」
全部は言わない方がいいかも、と思った時にはもう遅かった。
ミミちゃんは顔を赤くして、シャツで谷間を覆い隠してしまう。
「や、やっぱり今日はダメですっ」
そう言い残し、ミミちゃんは小走りでリビングを後にした。
そしてその後、あたしとミミちゃんは一緒にシャワーを浴びて汗を洗い流し、特殊なプレイに走らずひたすらに甘いひと時を楽しんだ。
食後の運動ということでバスを使わずにマンションまで帰ってきたあたしたちは、言うまでもなく汗だくになっている。
「今日も暑いですね」
「ほんとにね。かき氷浴びたいぐらいだよ~」
「浴びるのはダメですよ」
なんて他愛のないやり取りを交わしながら、エレベーターに乗り込む。
何気なく隣を見ると、ミミちゃんがシャツの胸元を少し引っ張ってもう片方の手で谷間を扇いでいた。
胸が大きい人は谷間が蒸れて大変だ。
あたしには一生縁がない――まだ成長する可能性は残ってるから絶対にないとは言い切れない――けど、かなりの不快感が伴うのだろうということは察せる。
「――あっ、そうだ!」
帰宅して玄関で靴を脱いだのとほぼ同時に、妙案が舞い降りた。
一度冷静に考えてから声に出すべきだと分かっていながらも、頭に浮かぶと同時にもう口が開いていた。
「ミミちゃんお願い! おっぱいの谷間に手を突っ込ませて!」
あたしはミミちゃんの正面に立ち、わずかな躊躇もなく声を大にして告げる。
「えっ!? な、なんでですか?」
「谷間が蒸れるってことがどういうことなのか、少しでも味わいたいの。あたしが分かったところでなんの助けにもならないけど、ミミちゃんの気持ちを少しでも共感したい!」
目を見て素直な気持ちを伝えると、ミミちゃんは少し戸惑いつつも首を縦に振ってくれた。
手洗いうがいと水分補給を済ませ、リビングのソファに腰かける。
一息ついたのも束の間、あたしは腰を上げてミミちゃんの前に立った。
「ミミちゃん、いい?」
「は、はい、どうぞ」
あたしが至極真剣な態度で訊ねたせいか、ミミちゃんの表情に緊張の色が見える。
「それじゃあ……シャツ、脱がすね」
これは決して急に発情したとかじゃなく、下着姿の方が谷間に手を突っ込みやすいというちゃんとした理由がある。
ミミちゃんにも、手を洗う時にきちんと説明しておいたし。
脳内で言い訳じみたことを並べ立てながら、ミミちゃんのシャツを脱がせる。
「汗びっしょりだね~。はい、タオル」
「ありがとうございます」
洗面所から持ってきておいたタオルをミミちゃんに渡し、風邪を引かないように汗を拭いてもらう。
あたしの手にはミミちゃんの汗と体温でまだじっとりと温かいシャツがあるわけで……。
「ん~」
気付いたらミミちゃんのシャツに顔を埋めていた。
体が勝手に動いたというか、こうなる運命だったのだと思えるほど自然に、脱ぎたてのシャツに顔を擦り付けながら深呼吸している。
口を閉じ、鼻だけを使って深く深く息を吸う。
「ゆっ、ユニコちゃん!」
「あっ」
ミミちゃんにシャツをひったくられてしまった。
名残惜しいけど、ここは潔く諦めるとしよう。
「こんな汗臭いシャツ、嗅いじゃダメですよっ。いますぐベランダに出て外の空気を吸ってきてくださいっ」
「別に臭くなかったけどな~。むしろ、もっと――」
ミミちゃんにジト目で見つめられ、言葉を飲み込む。
「気を取り直して、谷間に手を突っ込ませてもらうね!」
「本当にやるんですか? 汗ですごく蒸れてますから、手に汗のにおいが移っちゃうかもしれませんよ?」
「もちろん! 大丈夫、嗅ぐのはミミちゃんが見てないところで――あっ」
全部は言わない方がいいかも、と思った時にはもう遅かった。
ミミちゃんは顔を赤くして、シャツで谷間を覆い隠してしまう。
「や、やっぱり今日はダメですっ」
そう言い残し、ミミちゃんは小走りでリビングを後にした。
そしてその後、あたしとミミちゃんは一緒にシャワーを浴びて汗を洗い流し、特殊なプレイに走らずひたすらに甘いひと時を楽しんだ。
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