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78話 新人歓迎コラボ②
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ゲーム内で再集合を果たした後、あたしたちは人数分のベッドを作り、突貫工事で建てた四角い家の中に置いた。
全員の寝床を備えた拠点という意味では今回の目標をすでに達成したことになるけど、当然ながらこれはカウントされない。
「よ~し、それじゃあ適当に散って材料を集めよう!」
あたしがそう呼びかけると、ヘッドホン越しに全員からの返事が聞こえてくる。
ゲームと同じく通話の状態も良好で、ラグが発生したり音が途切れたりといった不具合はない。
「設計図はないし具体的な完成形とかも特に想定してないから、どういう変な建築物ができるか楽しみにしててね~」
これはリスナーさんたちに向けた言葉だ。
コメント欄では『ノープランで草』とか『発想力が試されますね』などなど、十人十色の反応を返してくれている。
「ところで、三期生の二人についていろいろ知りたいし、質問コーナーとかどうかな? もちろん答えられる範囲で」
「ボクは構いませんよ」
「ネココもいいですにゃ! どんな質問でも答えますにゃ!」
後輩たちが快諾してくれたことにより、軽めの質問コーナーが始まった。
まずは言い出しっぺとして、あたしから質問させてもらうとしよう。
「二人は趣味ってあるの?」
あんまり攻めすぎた質問はマズいかと思ったんだけど、いくらなんでも無難すぎたかな?
あっ、でもリスナーさんたちは『いい質問』とか『聞きたい』ってコメントしてくれてる。
「趣味かぁ……ネココは散歩ですにゃあ」
「猫っぽいねー」
「お決まりの散歩コースとかあるのかしら?」
ネココちゃんの返答に、シャテーニュ先輩とエリナ先輩が反応を示す。
「近所に田んぼ沿いの長い一本道があるから、そこを往復してますにゃ。同じ景色のようでいて、季節ごとに見える風景が変わって楽しいですにゃ」
あたしもたまにミミちゃんと近所の公園を散歩しているけど、思い返してみれば桜や紅葉のように変化が目立つ時期を除けば、それほど周囲の景色に気を向けていなかったかもしれない。
「ネココちゃんって意外と大人なんだね~」
「にゃっ!? ちっ、ちちちっ、違いますにゃ! ネココはピッチピチの美少女ですにゃ! 未成年だからお酒も飲めませんにゃ!」
「あっ、いや、感性が大人っぽいっていう意味だったんだけど……」
あたしの言葉が足らなかったらしく、なにか誤解させてしまったらしい。
とはいえ、まさかこんなに動揺するとは思ってもみなかった。
知らず知らずのうちに、地雷を踏んでしまったのかもしれない。
「ネココばっかり絡んでもらうのも悪いにゃ! スノウはどうにゃ? 趣味とかあったりするにゃ?」
半ば強引に、同期へと話を振るネココちゃん。
「暗黒魔法の修行、かな。ボクに封印された力の暴走を防ぐために、一日でも早く習得しなければならないんだ」
「なるほど~。暗黒魔法なら、ミミちゃんが得意だよね?」
「はい、こう見えても闇を司る魔神ですからっ」
ちょっと得意気なミミちゃんもかわいいな~。
いまの、誰か切り抜いてくれないかな。いっそ自分で切り抜こうかな。
「あたしも角で突いたりできるよ!」
魔神であるミミちゃんと同格であることをアピールしようと、ユニコーンらしい攻撃方法を自信満々に言ってみた。
「ショボいわね」
「ショボいねー」
「か、貫通力がありそうですっ」
「なんか地味ですにゃ」
「雑魚モンス――いや、皆までは言わないでおきましょう」
ミミちゃん以外の全員が言葉のナイフで切りかかってきた。
もしあたしが豆腐メンタルの持ち主だったら、今頃粉々になっていたことだろう。
誰もが認めるほど強そうな、それでいてユニコーンらしさのある必殺技を考える必要があるかもしれない。
全員の寝床を備えた拠点という意味では今回の目標をすでに達成したことになるけど、当然ながらこれはカウントされない。
「よ~し、それじゃあ適当に散って材料を集めよう!」
あたしがそう呼びかけると、ヘッドホン越しに全員からの返事が聞こえてくる。
ゲームと同じく通話の状態も良好で、ラグが発生したり音が途切れたりといった不具合はない。
「設計図はないし具体的な完成形とかも特に想定してないから、どういう変な建築物ができるか楽しみにしててね~」
これはリスナーさんたちに向けた言葉だ。
コメント欄では『ノープランで草』とか『発想力が試されますね』などなど、十人十色の反応を返してくれている。
「ところで、三期生の二人についていろいろ知りたいし、質問コーナーとかどうかな? もちろん答えられる範囲で」
「ボクは構いませんよ」
「ネココもいいですにゃ! どんな質問でも答えますにゃ!」
後輩たちが快諾してくれたことにより、軽めの質問コーナーが始まった。
まずは言い出しっぺとして、あたしから質問させてもらうとしよう。
「二人は趣味ってあるの?」
あんまり攻めすぎた質問はマズいかと思ったんだけど、いくらなんでも無難すぎたかな?
あっ、でもリスナーさんたちは『いい質問』とか『聞きたい』ってコメントしてくれてる。
「趣味かぁ……ネココは散歩ですにゃあ」
「猫っぽいねー」
「お決まりの散歩コースとかあるのかしら?」
ネココちゃんの返答に、シャテーニュ先輩とエリナ先輩が反応を示す。
「近所に田んぼ沿いの長い一本道があるから、そこを往復してますにゃ。同じ景色のようでいて、季節ごとに見える風景が変わって楽しいですにゃ」
あたしもたまにミミちゃんと近所の公園を散歩しているけど、思い返してみれば桜や紅葉のように変化が目立つ時期を除けば、それほど周囲の景色に気を向けていなかったかもしれない。
「ネココちゃんって意外と大人なんだね~」
「にゃっ!? ちっ、ちちちっ、違いますにゃ! ネココはピッチピチの美少女ですにゃ! 未成年だからお酒も飲めませんにゃ!」
「あっ、いや、感性が大人っぽいっていう意味だったんだけど……」
あたしの言葉が足らなかったらしく、なにか誤解させてしまったらしい。
とはいえ、まさかこんなに動揺するとは思ってもみなかった。
知らず知らずのうちに、地雷を踏んでしまったのかもしれない。
「ネココばっかり絡んでもらうのも悪いにゃ! スノウはどうにゃ? 趣味とかあったりするにゃ?」
半ば強引に、同期へと話を振るネココちゃん。
「暗黒魔法の修行、かな。ボクに封印された力の暴走を防ぐために、一日でも早く習得しなければならないんだ」
「なるほど~。暗黒魔法なら、ミミちゃんが得意だよね?」
「はい、こう見えても闇を司る魔神ですからっ」
ちょっと得意気なミミちゃんもかわいいな~。
いまの、誰か切り抜いてくれないかな。いっそ自分で切り抜こうかな。
「あたしも角で突いたりできるよ!」
魔神であるミミちゃんと同格であることをアピールしようと、ユニコーンらしい攻撃方法を自信満々に言ってみた。
「ショボいわね」
「ショボいねー」
「か、貫通力がありそうですっ」
「なんか地味ですにゃ」
「雑魚モンス――いや、皆までは言わないでおきましょう」
ミミちゃん以外の全員が言葉のナイフで切りかかってきた。
もしあたしが豆腐メンタルの持ち主だったら、今頃粉々になっていたことだろう。
誰もが認めるほど強そうな、それでいてユニコーンらしさのある必殺技を考える必要があるかもしれない。
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