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28話 一期生の大先輩が家に来てくれた
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あたしとミミちゃんが二期生として加入する時点で、ガールズパーティはすでに相当な知名度を誇っていた。
それもひとえに、一期生に名を連ねる先輩たちのおかげだ。
「みんな、こんユニ~! 今日は先輩とオフコラボだよ!」
いま言った通り、今日は先輩とのオフコラボ。
あたしの隣には、偉大なる大先輩が座っている。
お決まりのあいさつと本日の配信内容を簡潔に告げた後、ゲストに自己紹介を促す。
「それじゃあ先輩、あいさつお願いします!」
「ごきげんよう、豚共! 一期生の皇《すめらぎ》エリナよ!」
エリナ先輩があいさつを終えるや否や、コメント欄が『ぶひぃぃぃっ!』とか『エリナ様~~!』というコメントで溢れかえった。
ちらほら見える『ごきげんよう』や『エリナちゃんかわいい』といったコメントは、あたしのリスナーさんだと思う。
セーラー服に身を包んだ金髪碧眼の巨乳美少女を前にして、あたしのリスナーさんたちも喜んでいる。
エリナ先輩は息をするように毒を吐くけど、その辛辣さがクセになると評判だ。
鈴の音に例えられる軽やかで爽やかな声によって紡がれる罵声は、毎日耳にしないと生きていけないほどの中毒性を秘めているらしい。
「エリナ先輩のリスナーさん、すっかり調教されてますね~。まだあいさつしただけなのに、すごく盛り上がってますよ」
「調教? こいつらが勝手に騒いでるだけよ。それよりユニコ、敬語はやめなさいって言ったじゃない!」
「あっ、そうでし――じゃなくて、そうだった」
「それはそれとして、ユニコのリスナーまで豚扱いするのは申し訳ないわね。角の生えた馬って呼んだ方がいい?」
「角の生えた馬だと、あたしのことになっちゃうよ」
「実はアタシ、一回馬に乗ってみたいと思ってたのよね。ユニコ、ちょっと四つん這いになりなさいよ」
「えっ、ここで!?」
『いいなー』
『ユニコちゃんそこ代わって』
『エリナお姉さま、私に乗ってください!』
『馬に生まれ変わりたい』
エリナ先輩に乗ってもらいたい人が大量発生している。
「冗談はさておき、今日ってなにする予定なのかしら?」
声が本気だったような気がしたけど、冗談でよかった。
「今日は雑談だよ~。エリナ先輩とのコラボって何気に珍しいから、とことんおしゃべりしようと思って」
「なるほど、了解したわ! 要するに十一時間五十九分五十九秒ほどユニコを罵り続ければいいってことね」
「アーカイブに残せる限界ギリギリまで罵ろうとしてる!? いまからだと超えちゃうし、そもそもあたしは別にドМじゃないから、罵られても嬉しくないよ!」
「ふふっ。配信が終わる頃にも同じことを言えるか、楽しみだわ」
「えっ、なに? もしかして、いまから調教されちゃうの?」
たとえそうだとしても、決して屈するわけにはいかない。
あたしにはミミちゃんという心に決めた人がいるのだから。
「調教はしないけど、ユニコが気付かない程度にさりげなく、言葉の合間に罵詈雑言を挟むつもりよ」
「明らかにサブリミナル効果狙ってるよね!?」
「察しがいい雌豚ね、さすがユニコ。先輩として鼻が高いわ!」
「えっ、そうかなぁ? えへへ」
「ちょっと褒められたぐらいで調子に乗ってんじゃないわよ。まったく、お世辞も分からないのかしら」
「いきなり辛辣すぎるよ!」
一度持ち上げてからの落差が激しすぎる。
あと、さっき何気に『雌豚』って呼ばれてたよね。
「アタシ一人で調教するのも面倒だし、リスナーもコメントで協力しなさい!」
「いま調教って言った? やっぱり調教するつもりだったの?」
「というわけで、キリのいいところで質問コーナーの時間よ!」
「キリがいいどころか強引に話を変えられた気がするんだけど……」
「気のせいよ。それより、質問いっぱい来てるわよ。どんどん答えてあげないと」
ささやかな抗議がサラッと流されてしまったことはさておき、確かにコメント欄が質問で賑わっている。
「よーしっ、気合入れて答えていくよ~!」
「いい心意気ね。さて、その間にアタシは飲み物でも買いに行こうかしら」
「いやいや、エリナ先輩も一緒に答えてよ!」
一応進行役を務めているのはあたしだけど、主導権はエリナ先輩に握られっぱなしだ。
それと、エリナ先輩は話相手の反応を引き出したりするのが絶妙に上手い。
お昼過ぎから始めた雑談配信は予定していた時間を大幅に超え、終わる頃にはすっかり外が暗くなっていた。
それもひとえに、一期生に名を連ねる先輩たちのおかげだ。
「みんな、こんユニ~! 今日は先輩とオフコラボだよ!」
いま言った通り、今日は先輩とのオフコラボ。
あたしの隣には、偉大なる大先輩が座っている。
お決まりのあいさつと本日の配信内容を簡潔に告げた後、ゲストに自己紹介を促す。
「それじゃあ先輩、あいさつお願いします!」
「ごきげんよう、豚共! 一期生の皇《すめらぎ》エリナよ!」
エリナ先輩があいさつを終えるや否や、コメント欄が『ぶひぃぃぃっ!』とか『エリナ様~~!』というコメントで溢れかえった。
ちらほら見える『ごきげんよう』や『エリナちゃんかわいい』といったコメントは、あたしのリスナーさんだと思う。
セーラー服に身を包んだ金髪碧眼の巨乳美少女を前にして、あたしのリスナーさんたちも喜んでいる。
エリナ先輩は息をするように毒を吐くけど、その辛辣さがクセになると評判だ。
鈴の音に例えられる軽やかで爽やかな声によって紡がれる罵声は、毎日耳にしないと生きていけないほどの中毒性を秘めているらしい。
「エリナ先輩のリスナーさん、すっかり調教されてますね~。まだあいさつしただけなのに、すごく盛り上がってますよ」
「調教? こいつらが勝手に騒いでるだけよ。それよりユニコ、敬語はやめなさいって言ったじゃない!」
「あっ、そうでし――じゃなくて、そうだった」
「それはそれとして、ユニコのリスナーまで豚扱いするのは申し訳ないわね。角の生えた馬って呼んだ方がいい?」
「角の生えた馬だと、あたしのことになっちゃうよ」
「実はアタシ、一回馬に乗ってみたいと思ってたのよね。ユニコ、ちょっと四つん這いになりなさいよ」
「えっ、ここで!?」
『いいなー』
『ユニコちゃんそこ代わって』
『エリナお姉さま、私に乗ってください!』
『馬に生まれ変わりたい』
エリナ先輩に乗ってもらいたい人が大量発生している。
「冗談はさておき、今日ってなにする予定なのかしら?」
声が本気だったような気がしたけど、冗談でよかった。
「今日は雑談だよ~。エリナ先輩とのコラボって何気に珍しいから、とことんおしゃべりしようと思って」
「なるほど、了解したわ! 要するに十一時間五十九分五十九秒ほどユニコを罵り続ければいいってことね」
「アーカイブに残せる限界ギリギリまで罵ろうとしてる!? いまからだと超えちゃうし、そもそもあたしは別にドМじゃないから、罵られても嬉しくないよ!」
「ふふっ。配信が終わる頃にも同じことを言えるか、楽しみだわ」
「えっ、なに? もしかして、いまから調教されちゃうの?」
たとえそうだとしても、決して屈するわけにはいかない。
あたしにはミミちゃんという心に決めた人がいるのだから。
「調教はしないけど、ユニコが気付かない程度にさりげなく、言葉の合間に罵詈雑言を挟むつもりよ」
「明らかにサブリミナル効果狙ってるよね!?」
「察しがいい雌豚ね、さすがユニコ。先輩として鼻が高いわ!」
「えっ、そうかなぁ? えへへ」
「ちょっと褒められたぐらいで調子に乗ってんじゃないわよ。まったく、お世辞も分からないのかしら」
「いきなり辛辣すぎるよ!」
一度持ち上げてからの落差が激しすぎる。
あと、さっき何気に『雌豚』って呼ばれてたよね。
「アタシ一人で調教するのも面倒だし、リスナーもコメントで協力しなさい!」
「いま調教って言った? やっぱり調教するつもりだったの?」
「というわけで、キリのいいところで質問コーナーの時間よ!」
「キリがいいどころか強引に話を変えられた気がするんだけど……」
「気のせいよ。それより、質問いっぱい来てるわよ。どんどん答えてあげないと」
ささやかな抗議がサラッと流されてしまったことはさておき、確かにコメント欄が質問で賑わっている。
「よーしっ、気合入れて答えていくよ~!」
「いい心意気ね。さて、その間にアタシは飲み物でも買いに行こうかしら」
「いやいや、エリナ先輩も一緒に答えてよ!」
一応進行役を務めているのはあたしだけど、主導権はエリナ先輩に握られっぱなしだ。
それと、エリナ先輩は話相手の反応を引き出したりするのが絶妙に上手い。
お昼過ぎから始めた雑談配信は予定していた時間を大幅に超え、終わる頃にはすっかり外が暗くなっていた。
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