上 下
25 / 67

25話 質問攻め

しおりを挟む
 正直なところ、私は彩愛先輩と付き合いたい。

 とはいえ現状のままいきなり告白しても、成功しないのは火を見るよりも明らか。

 そこで私は、外堀を埋めていくことにした。


「突然ですけど、百合って素敵だと思いませんか?」


 学校からの帰り道、周りから人がいなくなったタイミングで質問を投げる。


「ホントに突然ね。まぁ、素敵なんじゃない。あたしにはよく分からないけど」


「彩愛先輩はもし付き合うとしたら、男の子と女の子、どっちがいいですか? あと、年齢層とか」


「付き合う予定はないけど、そうね……好きになったら、年齢や性別なんて気にしないと思うわ」


 なるほど、実に有益な情報を得られた。

 私が彩愛先輩の恋愛対象になれるかは別として、少なくとも同性であることや年下であることを理由に断られることはなさそうだ。


「いずれ恋愛に興味を持つとして、どんな人を好きになると思いますか? あくまで仮定の話ですから、軽い気持ちで答えてくれていいですよ」


「一緒にいて苦にならない相手かしら」


 軽い気持ちでとは言ったものの、わりとすんなり答えを出したことに驚かされる。

 果たして、自分がその条件に当てはまるかどうか……。

 私は彩愛先輩と過ごす時間を苦に感じたことは一度もない。二人とも無言の状況だろうと、ケンカの最中だろうと、離れたいとは思わなかった。

 問題は、彩愛先輩がどう感じているか。できれば同じ気持ちであってほしい。


「どうでもいいけど、今日はやけに質問が多いわね。あんまり質問ばっかりしてると嫌われるから、あたし以外と話す時はちゃんと気を付けなさいよ」


「ご、ごめんなさい、気を付けます」


 至極もっともな意見だったので、素直に受け入れ、反省する。

 本当は最後に『それじゃあ、私なんてどうですか?』と冗談っぽく訊ねるつもりだったけど、今回は自重しておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

コンプレックス

悠生ゆう
恋愛
創作百合。 新入社員・野崎満月23歳の指導担当となった先輩は、無口で不愛想な矢沢陽20歳だった。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~

みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。 ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。 ※この作品は別サイトにも掲載しています。 ※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

イーペン・サンサーイのように

黒豆ぷりん
青春
生まれたときから間が悪い真野さくら。引っ込み思案で目立たないように生きてきたけれど、中学校で出会った秋月楓との出会いで、新たな自分と向き合って行こうとするお話。

【完結まで毎日更新】籐球ミットラパープ

四国ユキ
青春
主人公・阿河彩夏(あがわあやか)は高校入学と同時にセパタクロー部から熱烈な勧誘を受ける。セパタクローとはマイナースポーツの一種で、端的に言うと腕を使わないバレーボールだ。 彩夏は見学に行った時には入部する気はさらさらなかったが、同級生で部員の千屋唯(せんやゆい)の傲慢で尊大な態度が気に食わず、売り言葉に買い言葉で入部してしまう。

処理中です...