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煙草
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「その身なりから推測するに、前はビジュアル系バンドをやってたんだろう?」
佐々木の問いかけにヒロトは「……はい」と小さく返事をする。以前ほどビジュアル系バンドマンの御用達ファッションではなくなっていたヒロトだが、長い金髪はそのままで、厳ついシルバーのアクセサリーの愛用は止めていなかった。高級ホテルのピアノバーではジーンズでは歌えない為に、ヒロトは時貞から買い与えられた服を着ている。それはシンプルな細身の黒いパンツとデザインシャツで、高級モード系ブランドの物で揃えられていたのだ。
「まあ、君ほどの実力があればバンドはハッキリ言って邪魔だよ。ソロでいた方がいい……」
佐々木の言葉に戸惑いを見せるヒロトは、少しシドロモドロになりながら「事務所に入るのは無理です……」と小さく答える。
ヒロトをジッと見つめる佐々木は「ハァー」とわざとらしく溜め息を吐き、ヒロトの顔を覗き込む。
「その高そうな身なりを考えても、君は随分と可愛がられているようだね……。神閃会の幹部だっけ?」
「……俺、背中に刺青も入ってます。そんなんじゃデビューも出来ないでしょ?」
それを聞いて笑い出す佐々木はヒロトの両肩に手を置く。そして「今時のミュージシャンは刺青くらい入ってるって」と告げるのだ。
「君は知らないかも知れないけど、芸能界って所は反社とガッチリ裏で繋がっているんだよ。有名な女優が親分さんの愛人だなんて日常だよ。君が情夫だろうが芸能界では関係無いことさ」
それでも悩んでいるヒロトに佐々木は、「心配なら俺が神閃会の方に手を回すけど?」と物騒な事を言い出した。それを聞いたヒロトは「い、いいえ! 結構です……」と言い席を立つ。
「俺、デビューとか考えてないんで! ごめんなさい……」
ヒロトはペコリと佐々木に礼をして急いでその場を離れる。佐々木は離れていくヒロトをジッと睨んだまま「逃がすかよ……! どんな手を使っても手に入れる。アイツの声には何十億もの価値があるからな……」と呟くのだった。
****
パチパチと音を立てながら時貞の口に咥えられているガラムの煙草。時貞はヒロトを今夜も抱き、その激しい行為の後に一息つくように煙草をくゆらせる。ベッドに腰掛け煙草を吸う時貞の後ろから、色白な長い手が伸びてきて、ソッと時貞の口元の煙草を奪う。
奪われた煙草がゆっくりと自分の目の前を去って行く様を見送る時貞は、その煙草の次の滞在先をジッと見ていた。
「……お前。煙草は喉に悪いんじゃねえのか?」
「時貞がどんなものを吸っているのか知りたかったんだ」
ヒロトはガラムの煙草を口に含み軽く吸ってみる。独特の味と匂いのするガラムは、少しヒロトには刺激が強いのか、ケホッと咳をするのだ。
「匂いから想像はしてたけど、甘え……。癖がありすぎだろ? 本人のまんまじゃん」
ヒロトの指をそのまま自分の口元に持って来た時貞は、ヒロトの指からガラムの煙草を吸う。瞳はジッとヒロトを見つめており、ヒロトもその瞳を見返す。
時貞は口に煙草の煙を溜めたまま、ヒロトの唇をゆっくりと奪う。時貞の口内からガラムの煙がヒロトに移り、ヒロトはそれを肺に流し込んだ。それを数回繰り返した二人は、自然に煙草を灰皿で消し、また激しく互いを求め合うのだった。
時貞はヒロトの背中にある黒龍を指でなぞりながら激しく腰を打ち付ける。二人の結合部分を見やすいように、ヒロトの尻を左右に広げる時貞は、ヒロトの中に出入りする一本の鋼材のような肉棒を確認する。時貞が腰を前に出せば、それはずっしりと体内に埋まっていった。
ヒロトの方もまた、身体の中心に巨大な鉄柱を打ちこまれたかのような衝撃が、臀部から脳天へと走り抜けているようだった。時貞の大きな亀頭が腸壁を叩き、そのたびにヒロトの口から嬌声が漏れている。
ヒロトが時貞に出会って監禁されてから既に一年が過ぎていた。毎晩抱き合っても飽きることはないとでも言うように、二人は何度も何度もお互いを求め合う。
それに不眠症だった時貞だが、ヒロトと一緒にベッドに居れば眠れるようになったのだ。今ではヒロトは時貞にとって必要不可欠な存在であり、ヒロトにとってもそれは同じになっていた。
ヒロトは幼いときに両親を事故で亡くし、祖母に育てられた為に父性愛に飢えており、絶対的な時貞の存在感や、男性から褒められ認められる喜びを欲していたのだ。時貞と居ればそれは十分に満たされていく。
「時貞……! いっぱい痕を付けてくれ。中にも外にも……。お前でいっぱいにしてくれ……」
腰を打ち付けられながら声を上げるヒロトは、長い金髪の髪を振り乱し妖艶に身体をくねらせる。その様子を見て妖しく笑う時貞は、腰の動きを一層速めていく。
ヒロトの上体をグッと起こし、腰を打ち付けたままヒロトの胸の突起に指を這わす時貞は、そこに既に装着されているニップルピアスをグイッと引っ張る。少し苦痛に顔を歪めるヒロトだったが、後孔はキュッと窄まり、それがご褒美だと時貞に分からせる。
「出すぞ……。お前も出せ、同時に」
時貞の囁きは低く響き、ヒロトの耳に届く。命令は絶対。ヒロトはもう出そうな白濁をグッと堪えて、時貞と同時に達する準備を始める。
時貞による怒濤の腰の打ち付けを全て受け止めるヒロト。熱くなっている二人の結合部分は、お互いを溶かしあうかのごとく絡み合う。時貞のぐぐもった声の後に、一際大きくなった男根から解放された飛沫がヒロトの腸内に飛び散る。同時にヒロトの男根も膨張し、弾けるかのように白濁を噴出したのだった。
佐々木の問いかけにヒロトは「……はい」と小さく返事をする。以前ほどビジュアル系バンドマンの御用達ファッションではなくなっていたヒロトだが、長い金髪はそのままで、厳ついシルバーのアクセサリーの愛用は止めていなかった。高級ホテルのピアノバーではジーンズでは歌えない為に、ヒロトは時貞から買い与えられた服を着ている。それはシンプルな細身の黒いパンツとデザインシャツで、高級モード系ブランドの物で揃えられていたのだ。
「まあ、君ほどの実力があればバンドはハッキリ言って邪魔だよ。ソロでいた方がいい……」
佐々木の言葉に戸惑いを見せるヒロトは、少しシドロモドロになりながら「事務所に入るのは無理です……」と小さく答える。
ヒロトをジッと見つめる佐々木は「ハァー」とわざとらしく溜め息を吐き、ヒロトの顔を覗き込む。
「その高そうな身なりを考えても、君は随分と可愛がられているようだね……。神閃会の幹部だっけ?」
「……俺、背中に刺青も入ってます。そんなんじゃデビューも出来ないでしょ?」
それを聞いて笑い出す佐々木はヒロトの両肩に手を置く。そして「今時のミュージシャンは刺青くらい入ってるって」と告げるのだ。
「君は知らないかも知れないけど、芸能界って所は反社とガッチリ裏で繋がっているんだよ。有名な女優が親分さんの愛人だなんて日常だよ。君が情夫だろうが芸能界では関係無いことさ」
それでも悩んでいるヒロトに佐々木は、「心配なら俺が神閃会の方に手を回すけど?」と物騒な事を言い出した。それを聞いたヒロトは「い、いいえ! 結構です……」と言い席を立つ。
「俺、デビューとか考えてないんで! ごめんなさい……」
ヒロトはペコリと佐々木に礼をして急いでその場を離れる。佐々木は離れていくヒロトをジッと睨んだまま「逃がすかよ……! どんな手を使っても手に入れる。アイツの声には何十億もの価値があるからな……」と呟くのだった。
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パチパチと音を立てながら時貞の口に咥えられているガラムの煙草。時貞はヒロトを今夜も抱き、その激しい行為の後に一息つくように煙草をくゆらせる。ベッドに腰掛け煙草を吸う時貞の後ろから、色白な長い手が伸びてきて、ソッと時貞の口元の煙草を奪う。
奪われた煙草がゆっくりと自分の目の前を去って行く様を見送る時貞は、その煙草の次の滞在先をジッと見ていた。
「……お前。煙草は喉に悪いんじゃねえのか?」
「時貞がどんなものを吸っているのか知りたかったんだ」
ヒロトはガラムの煙草を口に含み軽く吸ってみる。独特の味と匂いのするガラムは、少しヒロトには刺激が強いのか、ケホッと咳をするのだ。
「匂いから想像はしてたけど、甘え……。癖がありすぎだろ? 本人のまんまじゃん」
ヒロトの指をそのまま自分の口元に持って来た時貞は、ヒロトの指からガラムの煙草を吸う。瞳はジッとヒロトを見つめており、ヒロトもその瞳を見返す。
時貞は口に煙草の煙を溜めたまま、ヒロトの唇をゆっくりと奪う。時貞の口内からガラムの煙がヒロトに移り、ヒロトはそれを肺に流し込んだ。それを数回繰り返した二人は、自然に煙草を灰皿で消し、また激しく互いを求め合うのだった。
時貞はヒロトの背中にある黒龍を指でなぞりながら激しく腰を打ち付ける。二人の結合部分を見やすいように、ヒロトの尻を左右に広げる時貞は、ヒロトの中に出入りする一本の鋼材のような肉棒を確認する。時貞が腰を前に出せば、それはずっしりと体内に埋まっていった。
ヒロトの方もまた、身体の中心に巨大な鉄柱を打ちこまれたかのような衝撃が、臀部から脳天へと走り抜けているようだった。時貞の大きな亀頭が腸壁を叩き、そのたびにヒロトの口から嬌声が漏れている。
ヒロトが時貞に出会って監禁されてから既に一年が過ぎていた。毎晩抱き合っても飽きることはないとでも言うように、二人は何度も何度もお互いを求め合う。
それに不眠症だった時貞だが、ヒロトと一緒にベッドに居れば眠れるようになったのだ。今ではヒロトは時貞にとって必要不可欠な存在であり、ヒロトにとってもそれは同じになっていた。
ヒロトは幼いときに両親を事故で亡くし、祖母に育てられた為に父性愛に飢えており、絶対的な時貞の存在感や、男性から褒められ認められる喜びを欲していたのだ。時貞と居ればそれは十分に満たされていく。
「時貞……! いっぱい痕を付けてくれ。中にも外にも……。お前でいっぱいにしてくれ……」
腰を打ち付けられながら声を上げるヒロトは、長い金髪の髪を振り乱し妖艶に身体をくねらせる。その様子を見て妖しく笑う時貞は、腰の動きを一層速めていく。
ヒロトの上体をグッと起こし、腰を打ち付けたままヒロトの胸の突起に指を這わす時貞は、そこに既に装着されているニップルピアスをグイッと引っ張る。少し苦痛に顔を歪めるヒロトだったが、後孔はキュッと窄まり、それがご褒美だと時貞に分からせる。
「出すぞ……。お前も出せ、同時に」
時貞の囁きは低く響き、ヒロトの耳に届く。命令は絶対。ヒロトはもう出そうな白濁をグッと堪えて、時貞と同時に達する準備を始める。
時貞による怒濤の腰の打ち付けを全て受け止めるヒロト。熱くなっている二人の結合部分は、お互いを溶かしあうかのごとく絡み合う。時貞のぐぐもった声の後に、一際大きくなった男根から解放された飛沫がヒロトの腸内に飛び散る。同時にヒロトの男根も膨張し、弾けるかのように白濁を噴出したのだった。
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