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最後のライブ
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ギリギリに会場入りしたヒロトは、慌てて衣装の入った荷物を控え室に置く。ヒロトは直前まで車内で時貞に抱かれており、「これで最後」との思いから、時間が過ぎても時貞から離れなかったのだ。そんなヒロトに気分を良くした時貞は、ヒロトを何度も絶頂に落とし、体内に白濁を流し込んだ。
直前にトイレに駆け込んだヒロトは、体内から時貞のモノを掻き出しす。羞恥心で顔を真っ赤にしていたヒロトだが、後孔に入れた自分の指の動きに快感を得てしまう程に、すっかりと時貞に身体を作り替えられていた。
ヒロトがステージに上がると、既に楽器のリハーサルは済んでいた。少し苛立っているライブハウスの音響担当に、「すみませんでした!」と謝るヒロト。そこから音合わせをしながら照明の調節をしていく。
キラキラ光るスポットライト。赤、緑、青、黄色と変わる照明を、ヒロトは寂しそうに見つめている。きっと、もう、ステージに上がることは無くなるのだろうと、少し感傷的になっているのだ。
「じゃあ、こんな感じでサビはいくから!」
「はい。お願いします」
ヒロトはシンプルなTシャツにダメージ加工のジーンズ姿で、ビジュアル系バンドマン特有のメイクもしていない。しかし、ステージに上がれば一際輝くオーラを放っており、その様子を近くで見ていたドラムのシンは嫉妬の炎を滾らせていた。
「なんでヒロトばかり目立つんだよ! 俺なんかドラムだから、ヒロトの陰に隠れて客から見えないんだぜ! ファンだってヒロトの半分以下だ……」
「まあ、アイツは俺たちと生まれ持っての才能が違うんだよ。メイクをしなくても美形で、男でさえたらし込めるんだからな……」
ケンの言葉に乾いた笑いをしながら「ハハハ、そうだった! アイツは男にも色目使ってるんだよなあ! しかも筋モンだぜ! 天性のジゴロだよ!」と、吐き捨てるように言うのだ。
そんな二人の愚痴を離れた場所で聞いていたタカは、「クソが! だからお前らは二流止まりなんだよ」と壁を蹴る。そしてステージ上でリハーサルをしているヒロトを、ネットリとした熱い視線で見つめるのだった。
時貞との交わりの熱を身体に残しているヒロトは、本人の意思とは別に艶めかしく身体を動かす。マイク越しに聞こえる甘い吐息は、タカの下半身を滾らせた。
「タカーー! こんな感じで良いか?」
少し心配そうな顔をしているヒロトに、タカは満面の笑顔を向ける。
「ああ、お前はいつでも最高だ……!」
****
時貞は開演後に店員の案内でVIP席に現れた。ヒロトはそれをステージ上から確認し、少し辛そうな顔をする。それに気が付いたタカはVIP席を睨み付けるのだ。
一曲目はアップテンポの曲で、二曲目三曲目とノリの良い曲が続く。三曲目が終わった後に、ヒロトは少し寂しそうな顔でMCを始めた。
「えっと……。久しぶり……。フォルトゥナのホームのライブに来てくれてありがとう。えっと……」
珍しく言葉に詰まるヒロトを、客席のファンが心配そうに見つめていた。
「ヒロトーー! 頑張れ!」
客席の誰かの声に「ありがとう」と返すヒロトは、少し涙ぐんでいた。今日ライブの後に、タカと一緒に逃亡するのだ。もう、このステージに戻って来る事はない。今までのライブの映像が走馬灯のように脳内に蘇るヒロトは、直ぐに言葉を発せなかった。
「ごめんね……。何だか、今までの事を思い出して……。今日は、どうしても良いライブにしたいんだ……。だから……!」
少し言葉に詰まったヒロトにスポットライトと共に、会場中の視線が集まっている。ヒロトは、フーッと息を吐いて口を開いた。
「だから! 最高のライブにしようぜーー! 盛り上がるぜ、お前ら!」
ヒロトの言葉の後にギターの激しい旋律が続くのだった。
そんなステージの様子を、黙ってジッと見つめる時貞。手に持っている吸いかけのガラムの煙草は、パチパチと音を立てている。
「おい! ライブが終わったら直ぐに出入り口全部に見張りを置け! ただし、堅気さんには迷惑を掛けるなよ」
時貞は側に居るスキンヘッドの組員に命令する。すると組員は「了解しました」と無表情で返事をした。時貞はステージのヒロトをジッと見つめる。
ステージで歌を歌っているヒロトは、何だかキラキラと輝いているようだ。そんなヒロトに「カナリヤ、お前は俺のモノだ」と呟きながら、時貞は煙草を口に咥え深く吸い込むのだった。
直前にトイレに駆け込んだヒロトは、体内から時貞のモノを掻き出しす。羞恥心で顔を真っ赤にしていたヒロトだが、後孔に入れた自分の指の動きに快感を得てしまう程に、すっかりと時貞に身体を作り替えられていた。
ヒロトがステージに上がると、既に楽器のリハーサルは済んでいた。少し苛立っているライブハウスの音響担当に、「すみませんでした!」と謝るヒロト。そこから音合わせをしながら照明の調節をしていく。
キラキラ光るスポットライト。赤、緑、青、黄色と変わる照明を、ヒロトは寂しそうに見つめている。きっと、もう、ステージに上がることは無くなるのだろうと、少し感傷的になっているのだ。
「じゃあ、こんな感じでサビはいくから!」
「はい。お願いします」
ヒロトはシンプルなTシャツにダメージ加工のジーンズ姿で、ビジュアル系バンドマン特有のメイクもしていない。しかし、ステージに上がれば一際輝くオーラを放っており、その様子を近くで見ていたドラムのシンは嫉妬の炎を滾らせていた。
「なんでヒロトばかり目立つんだよ! 俺なんかドラムだから、ヒロトの陰に隠れて客から見えないんだぜ! ファンだってヒロトの半分以下だ……」
「まあ、アイツは俺たちと生まれ持っての才能が違うんだよ。メイクをしなくても美形で、男でさえたらし込めるんだからな……」
ケンの言葉に乾いた笑いをしながら「ハハハ、そうだった! アイツは男にも色目使ってるんだよなあ! しかも筋モンだぜ! 天性のジゴロだよ!」と、吐き捨てるように言うのだ。
そんな二人の愚痴を離れた場所で聞いていたタカは、「クソが! だからお前らは二流止まりなんだよ」と壁を蹴る。そしてステージ上でリハーサルをしているヒロトを、ネットリとした熱い視線で見つめるのだった。
時貞との交わりの熱を身体に残しているヒロトは、本人の意思とは別に艶めかしく身体を動かす。マイク越しに聞こえる甘い吐息は、タカの下半身を滾らせた。
「タカーー! こんな感じで良いか?」
少し心配そうな顔をしているヒロトに、タカは満面の笑顔を向ける。
「ああ、お前はいつでも最高だ……!」
****
時貞は開演後に店員の案内でVIP席に現れた。ヒロトはそれをステージ上から確認し、少し辛そうな顔をする。それに気が付いたタカはVIP席を睨み付けるのだ。
一曲目はアップテンポの曲で、二曲目三曲目とノリの良い曲が続く。三曲目が終わった後に、ヒロトは少し寂しそうな顔でMCを始めた。
「えっと……。久しぶり……。フォルトゥナのホームのライブに来てくれてありがとう。えっと……」
珍しく言葉に詰まるヒロトを、客席のファンが心配そうに見つめていた。
「ヒロトーー! 頑張れ!」
客席の誰かの声に「ありがとう」と返すヒロトは、少し涙ぐんでいた。今日ライブの後に、タカと一緒に逃亡するのだ。もう、このステージに戻って来る事はない。今までのライブの映像が走馬灯のように脳内に蘇るヒロトは、直ぐに言葉を発せなかった。
「ごめんね……。何だか、今までの事を思い出して……。今日は、どうしても良いライブにしたいんだ……。だから……!」
少し言葉に詰まったヒロトにスポットライトと共に、会場中の視線が集まっている。ヒロトは、フーッと息を吐いて口を開いた。
「だから! 最高のライブにしようぜーー! 盛り上がるぜ、お前ら!」
ヒロトの言葉の後にギターの激しい旋律が続くのだった。
そんなステージの様子を、黙ってジッと見つめる時貞。手に持っている吸いかけのガラムの煙草は、パチパチと音を立てている。
「おい! ライブが終わったら直ぐに出入り口全部に見張りを置け! ただし、堅気さんには迷惑を掛けるなよ」
時貞は側に居るスキンヘッドの組員に命令する。すると組員は「了解しました」と無表情で返事をした。時貞はステージのヒロトをジッと見つめる。
ステージで歌を歌っているヒロトは、何だかキラキラと輝いているようだ。そんなヒロトに「カナリヤ、お前は俺のモノだ」と呟きながら、時貞は煙草を口に咥え深く吸い込むのだった。
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