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可愛い顔してんじゃん

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「お、お前……! それって犯罪だぞ! その時貞ってやつは、お前の事を監禁してるんだ。警察に行けばヤツは捕まる!」


 怒りに満ちた顔のタカは、ヒロトをキツく抱きしめて「辛かったなあ」と涙を溢していた。しかし、その光景をヒロトは他人事の様に冷めた目で見ているのだ。タカに自分が時貞の家に借金を返すまで監禁されている事は話せても、それを身体で払っているとはヒロトは伝えなかった。


「昌代ってヤツの借金なんてお前には関係無い。借用書もないんだからな。今すぐにそこから出て警察に行くぞ!」


 タカはヒロトの腕を掴み、スタジオのドアから出ようとする。そこでハッとしたヒロトは「……ダメだ。そんなことしたら時貞が捕まるから」と、タカの手を振り解く。そんなヒロトを哀れむ目で見ているタカは、再度ヒロトを抱きしめた。


「可哀想に……。お前のそれはストックホルム症候群ってやつだよ。監禁されて一緒に過ごす内に、相手に好感を抱く錯覚に落ちるってやつだ……。大丈夫、俺がついて居るから! 俺が直してやるよ……」


 タカはヒロトをキツく抱きしめる。しかしヒロトは「ストックホルム症候群……」と呟き、ボーッとした顔をしていた。正か自分がテレビのドラマで見るような状況に陥っている事に、全く気が付いていなかったのだから。タカの言うように、錯覚で時貞に好意を持っているのだろうかと考えるヒロトは、時貞の顔を思い浮かべて胸が痛くなった。自分でも好意を持っている等という自覚は、これっぽっちも無かったのだからしょうがない。
 

「あ、でも……。警察は不味いんだ。それに、外には見張りも居るし……。時貞も車に乗って待っている。今は無理だよ……」


 ヒロトは虚ろな瞳で天井を見ていた。まだ、自分の置かれている状況が信じられないとでも言うように。


「……わかった。じゃあ、今度のライブの日に決行しよう! 俺に考えがある。東京から逃げて他の街に行けばいい……。バンドのメンバーには悪いけど、俺はお前を優先したいんだ。二人で住む場所を見つけて暮らせばいい……」


 タカは無抵抗のヒロトを抱きしめたまま、首筋に唇を落とす。しかしヒロトは無反応だった。それをチャンスとばかりに何度も首筋にキスをしたタカは、ギッと記憶の中の時貞を睨み付ける。


「お前は俺のモノだよ……、ヒロト」


****


 次のライブまでの間は、時貞に悟られないようにとヒロトは平常心を務める。時貞を安心させる為に、ヒロトは時貞のリクエストには全て応えていた。


 最近はヒロトを激しく後ろから突きながら、ヒロトに歌を歌わせるのを好んでいた時貞。ヒロトが絶頂のあまり途中で歌を止めてしまうと、時貞は貞操帯を取り出してのお仕置きをする。


「歌うのを最後まで止めるなって教えただろう……? しかも、さっきはサビのイイ所で、お前のアへ声たあ、なんつう興ざめだ!」


 背後からガツガツとヒロトの後孔に男根を突き刺す時貞は、ニタリと笑って手に持っていたスイッチを押す。


「ぎゃぁあああ! あぁぁぁ! やぁ……」


 ヒロトの貞操帯に取り付けられた電極が、ヒロトの敏感な男根にビリビリと刺激を送る。それはとてつもない衝撃で、ヒロトは視界が真っ白になっていくのを感じた。


「お……? ドライでイッたか? どMのお前には、どうやらこれはご褒美だなあ」


 時貞は背後からヒロトの胸の小さな突起を掴み、ギューッと強く摘まむ。そしてヒロトの耳元で「ココにピアスを開けてやろう」と告げるのだ。ヒロトは肩でゼエゼエと息をしながら、背後の時貞の方を振り返って「お、俺はマゾじゃ……ねえよ」と口を開いた。


「心配すんな……。お前は真性のマゾだよ。俺が保証してやる」


 時貞はヒロトの長い金髪を掴み引っ張る。痛みに顔を歪ませるヒロトの顔を舐める時貞は、更に腰の動きを速めていった。迫りくる吐精感に、時貞の男根は更に膨張していく。それを腸内で感じるヒロトは、「あぁ、大きく……なった」と甘い声を上げた。


「出すぞ……! 一滴一滴、全て味わえ……。んぁぁ、ぐぅ……がは!」


 時貞の雄叫びのような声と共にヒロトの貞操帯が外れる音がする。ヒロトの中に発射された白濁は、腸壁に連打するようにぶち当たっていた。ヒロトの男根からも勢いよく飛び出した白濁は、ベッドのシーツの上に飛び散っていくのだった。


****


 ヒロトが目を覚ますと、時貞の寝顔が横にある。最近は家で寝る事が増えた時貞は、時々眉間に皺を寄せているが、数時間はヒロトの横で寝ているようだった。


「こんな皺を寄せて寝ないといけないなんて、アンタはどんな生き方してんだよ……」


 寝ている時貞の眉間の皺を人差し指で撫でるヒロトは、ふと昔に聞いた子守歌を歌ってみた。すると時貞の眉間の皺が少しずつ解れていき、幸せそうな寝顔をみせるのだ。


「なんだ……。可愛い顔してんじゃん」


 時貞の寝顔を見ていたヒロトは、ゆっくりと顔を下ろしていき、時貞の唇に自身の唇を重ねる。


 そんな自分の行動に驚いたヒロトは、直ぐに時貞から離れて顔を両手で隠す。熱く火照る顔が、耳まで赤いのが自分でも分かるヒロトは、「ち、違う。これは、別に……」と呟きながら、ベッドから起き上がってバスルームへと向かったのだった。  
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