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彼女は俺のファンだよ……
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「昌代(まさよ)ね、ヒロトの為にいっぱい仕事して、お金貯めてコレ買ったのよ!」
古いアパートの一室で、笑顔の昌代はヒロトに黒い紙袋を差し出す。ヒロトは笑顔で「サンキュー」と受け取り中身を取り出した。中身はヒロトが欲しがっていた有名銀製品のブランド製で、シンボル的な十字架のデザインだ。そのずっしりと重いブレスレットを、ヒロトはカチャリと腕にはめた。
「んーー、やっぱり思った通りだ。俺にピッタリだろう?」
少し浮かれているヒロトは、ブレスレットがはまった左腕を高々と掲げる。それを見てうっとりとしている昌代は、ヒロトの腕に抱きつき上目遣いで猫撫で声を出す。
「今日は朝まで昌代の部屋に居れるよね? 朝までエッチしよう……」
ヒロトの長い髪を指に絡める昌代をジッと見つめたヒロトは、「朝までね……」とゆっくりと唇を重ねていった。
激しい交わりの後、昌代の部屋のベッドで寝ていた二人だったが、入り口の古いドアの方から、ドンドンと大きな音がしていることに気が付く。ボーッとする頭を左右に振り、ドアの方を見たヒロトは、「うるせえなあ!」と声を上げた。
すると横で寝ていた昌代がブルブルと震えだし、顔面蒼白になっていく。ヒロトは「え? どうしたんだ……?」と尋ねるが昌代は口をパクパクと開けて「こ、殺される!」と叫ぶ。状況が飲み込めないヒロトが昌代の両肩を掴んだ時に、入り口のドアがドカッという音と共に開く。古いので鍵も簡単に壊されたのだろう。
「おーー! 昌代、お前舐めた事してくれたなあ!」
スキンヘッドで眉毛のない男が室内に土足で入ってきた。その後ろから数人の「いかにも」な風貌の男達が次々と入ってくる。
「や、ヤクザ……!」
驚いたヒロトは立ち上がって逃げようと思ったが、全裸だったことに気が付き、そのまま立ち上がることは出来なかった。
スキンヘッドの男はズンズンとヒロトと昌代が全裸でいるベッドに近づいてきて、大きな手を振りかざし昌代の顔に平手を打ち込んだ。
パーン
乾いた音と共に衝撃で昌代は吹っ飛び、ベッドの上に無残に転がる。
「ちょ、アンタ! 何するんだ! 女相手に!」
ヒロトは思わず声を上げて男の手を掴む。その様子に周りのヤクザが「てめえ!」と声を荒らげるが、スキンヘッドの男はスッと手を上げて周りのヤクザを黙らす。
「お前は誰だ? 昌代の男か?」
スキンヘッドの男は氷の様な目でヒロトを睨み付ける。ヒロトは「ひぃーー!」と声を上げそうになったが、グッと堪えて口を開いた。
「……昌代は俺のファンだよ」
「……ファン?」
男はゲラゲラと大声で笑い出し、「兄ちゃんファンが居るのか?」と告げた。ヒロトは馬鹿にされている事を理解し、ムッとして男を睨み付ける。
「昌代はなあ、どうやらお前に貢ぐ為に、自分が働いている風俗店の金庫から金を盗んだんだ」
「はあ? え、どう言うこと……?」
ヒロトは昌代の方に振り返り昌代に尋ねるが、昌代は顔をドロドロにして、涙と鼻水で濡らしながら泣いているだけだった。
古いアパートの一室で、笑顔の昌代はヒロトに黒い紙袋を差し出す。ヒロトは笑顔で「サンキュー」と受け取り中身を取り出した。中身はヒロトが欲しがっていた有名銀製品のブランド製で、シンボル的な十字架のデザインだ。そのずっしりと重いブレスレットを、ヒロトはカチャリと腕にはめた。
「んーー、やっぱり思った通りだ。俺にピッタリだろう?」
少し浮かれているヒロトは、ブレスレットがはまった左腕を高々と掲げる。それを見てうっとりとしている昌代は、ヒロトの腕に抱きつき上目遣いで猫撫で声を出す。
「今日は朝まで昌代の部屋に居れるよね? 朝までエッチしよう……」
ヒロトの長い髪を指に絡める昌代をジッと見つめたヒロトは、「朝までね……」とゆっくりと唇を重ねていった。
激しい交わりの後、昌代の部屋のベッドで寝ていた二人だったが、入り口の古いドアの方から、ドンドンと大きな音がしていることに気が付く。ボーッとする頭を左右に振り、ドアの方を見たヒロトは、「うるせえなあ!」と声を上げた。
すると横で寝ていた昌代がブルブルと震えだし、顔面蒼白になっていく。ヒロトは「え? どうしたんだ……?」と尋ねるが昌代は口をパクパクと開けて「こ、殺される!」と叫ぶ。状況が飲み込めないヒロトが昌代の両肩を掴んだ時に、入り口のドアがドカッという音と共に開く。古いので鍵も簡単に壊されたのだろう。
「おーー! 昌代、お前舐めた事してくれたなあ!」
スキンヘッドで眉毛のない男が室内に土足で入ってきた。その後ろから数人の「いかにも」な風貌の男達が次々と入ってくる。
「や、ヤクザ……!」
驚いたヒロトは立ち上がって逃げようと思ったが、全裸だったことに気が付き、そのまま立ち上がることは出来なかった。
スキンヘッドの男はズンズンとヒロトと昌代が全裸でいるベッドに近づいてきて、大きな手を振りかざし昌代の顔に平手を打ち込んだ。
パーン
乾いた音と共に衝撃で昌代は吹っ飛び、ベッドの上に無残に転がる。
「ちょ、アンタ! 何するんだ! 女相手に!」
ヒロトは思わず声を上げて男の手を掴む。その様子に周りのヤクザが「てめえ!」と声を荒らげるが、スキンヘッドの男はスッと手を上げて周りのヤクザを黙らす。
「お前は誰だ? 昌代の男か?」
スキンヘッドの男は氷の様な目でヒロトを睨み付ける。ヒロトは「ひぃーー!」と声を上げそうになったが、グッと堪えて口を開いた。
「……昌代は俺のファンだよ」
「……ファン?」
男はゲラゲラと大声で笑い出し、「兄ちゃんファンが居るのか?」と告げた。ヒロトは馬鹿にされている事を理解し、ムッとして男を睨み付ける。
「昌代はなあ、どうやらお前に貢ぐ為に、自分が働いている風俗店の金庫から金を盗んだんだ」
「はあ? え、どう言うこと……?」
ヒロトは昌代の方に振り返り昌代に尋ねるが、昌代は顔をドロドロにして、涙と鼻水で濡らしながら泣いているだけだった。
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